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アイガモロボで除草コストを大幅に削減 橋波アグリサンシャインが歩む地域農業の未来

アイガモロボで除草コストを大幅に削減 橋波アグリサンシャインが歩む地域農業の未来

島根県東部、出雲市の南端に位置する佐田町橋波(さだちょうはしなみ)地区。緑深い山々や清流「神戸(かんど)川」の自然に囲まれたこの地域で、水稲をはじめホウレン草や葉ボタン、エゴマやブロッコリーなど、一年を通して豊かな農作物を栽培しているのが「農事組合法人 橋波アグリサンシャイン」です。同法人は2022年、アイガモ農法にヒントを得た自動抑草ロボット『アイガモロボ』を試験的に導入。雑草抑制の効果や今後の米作りへの期待などを聞きました。

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有機・減農薬栽培で地域に愛される農産物 大敵は”雑草”

「橋波アグリサンシャイン」の立ち上げは1993年。地域の農業を守るために、各農家で所有していた農業機械を共有化し、水稲の受託事業をスタートさせました。
その5年後に法人化し、現在は平均年齢38歳ほどの従業員が中心となり、うるち米や酒米、飼料用米などの水稲をメインにハウスや露地で様々な野菜を生産しています。

安心・安全でおいしい農作物を届けたい」との思いから、有機栽培や減農薬栽培にも早くから着手。水稲のきぬむすめとつや姫、エゴマは「有機JAS認定」を受け、水稲全品種とホウレン草は島根県独自のGAP認証制度「美味(おい)しまねゴールド」を取得しています。

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土づくりから栽培管理まで徹底して丁寧に作られた橋波アグリサンシャインの島根米

「ここは出雲市中心部よりも標高が高くて、昼夜の寒暖差がある。水がきれいで土質もいいから、昔からおいしい米ができます」。
そう話すのは、組合長の大谷健二さんです。

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「環境型保全農業」を掲げる橋波アグリサンシャインの大谷健二組合長

大谷さんたちが手がける水稲栽培の総面積は約20ha、そのうち約3haが有機栽培米です。ニーズが高まっている有機栽培のお米ですが、大敵ともいえるのが雑草
これまでは、田植えが済むとすぐに除草機と手作業で対処していましたが、営農部の三島大地さんは「朝から夕方まで一人で機械を動かして、丸2日かかるんです」と話します。

「除草機を使うと、植えたばかりの苗を機械が踏み潰すこともあって『せっかく植えたのに』と落ち込みますね」。大谷さんも「我が子に泥をかけるようなもので、心苦しいことです」と悩んでいたようす。

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「除草機は技術が必要な上、時間もかかるし精神的にあまりよくないです」と話す三島さん

除草ではなく抑草する!アイガモ農法から考案された頼れるロボット

除草の課題を解決すべく、「橋波アグリサンシャイン」が井関農機株式会社の小林省吾さんとともに導入を目指したのが自動抑草ロボット『アイガモロボ』です。
アイガモロボとは、アイガモ農法(アイガモのヒナを水田に放つことで、雑草の生育を抑えるもの)を参考に約10年前から開発が進められ、2022年から全国各地で実証実験が始まった最新ロボット。島根県内では昨年14台が試験的に導入されていて、小林さんが導入のお手伝いをしています。

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「つや姫」の田植えが終わったばかりの圃場を、自由自在に動き回る「アイガモロボ」

使い方はとてもシンプルです。
「田植え後の圃場にロボットを入れてスマホアプリで圃場の形を設定すれば自動で航行始め、スクリューが水田を濁らせて太陽光を遮ります。雑草が光合成しにくい環境を作るんです」と小林さん。
さらに、濁った土が堆積して柔らかい層(トロトロ層)を作り、雑草の種を埋没化。雑草の発生抑制を期待できます。

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形成されたトロトロ層※「Amoni」より

同法人では、有機栽培米の圃場に昨年初めてアイガモロボを投入。当初は「稲をなぎ倒すのではないかと不安だった」ということですが、小林さんからの丁寧な説明を受けて効果を期待。
アイガモロボットの特性を活かしていった結果、十分な抑草効果を実感したと言います。

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ロボ引き上げ時の様子。抑草効果がよくわかる※「Amoni」より

そこで三島さんは、「深くて除草機が入らない、もっと条件がハードな圃場(約4,500㎡)で、今年も実験してみたい」と申し出て、今年は違う条件の圃場でアイガモロボを使うことにしました。
「一度入れたら3週間くらいそのままほったらかしで大丈夫です」と使いやすさを教えてくれた三島さん。「ロボットに搭載の太陽光パネルで自家発電しながら、毎日6時から18時まで勝手に動き回ってくれます。スクリューは苗に触れても影響の少ない特殊設計だから、株の根元を傷める心配もありません」。

現時点でも効果は期待通りで、「深い田んぼの除草はアイガモロボ一択なのではないか」とのこと。
また、スマホと連動させることで、アイガモロボの動きを確認したり、あぜ側に呼び寄せたりすることも可能だそうです。

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端末に入れた専用アプリから「アイガモロボ」の設定・操作や確認ができます

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除草の手間を大幅に削減! ランニングコストの心配も不要

アイガモロボの説明を初めて受けた時、「アイガモ農法は知っているけど、ロボになったってどういうこと?」と感じた三島さん。大谷さんも「本当に効果があるのか」と半信半疑だったそうです。
しかし、アイガモロボを入れた圃場と入れない圃場を比較してみると、明らかに雑草が少なく、収穫したお米の出来も上々だったそう。また、アイガモロボが動き回る期間は、苗を倒してしまうサギの飛来が例年ほど見られなかったとも言います。

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隣接する30aの圃場で幼穂形成期の雑草量を比較。栽培期間の除草回数も1回から3回に削減しました※「Amoni」より

もっとも嬉しいメリットは、田植え後の除草はもちろん、稲刈り前に行うヒエの穂の刈り取りなど、人間が圃場に入って行う作業が大幅に減ったこと。「その間、別の仕事ができるし、太陽光で自家発電するアイガモロボはランニングコスト面でも優秀環境を守りながら良い農作物を作るという、私たちの方針にもマッチしています」と三島さん。今後の期待感も大きいそうです。

各地で行われた実証実験の影響なのか、アイガモロボの注目度はどんどん高まっていて、島根県のほかにも全国各地で稼働しています。
トロトロ層ができやすい土質であれば、田植えの時期が3週間以上ずれている圃場に投入するなどの工夫で、アイガモロボ1台で複数圃場の抑草対策ができるそう。
有機栽培米に取り組む農家に欠かせないアイテムになるかもしれません。

自動抑草ロボット「アイガモロボ」 使い方紹介の動画

若手メンバーが力を結集して、これからの橋波地区の農業を支えていく

出雲市の山里に拠点を置く「橋波アグリサンシャイン」ですが、三島さんをはじめUターンなどで就農する若手メンバーが増加しています。
三島さんは「うちの法人は何でも挑戦してみて!という方針で、若い人にチャンスをくれます。私はもともと京都でデザイン系の仕事をしていましたが、平均年齢が低く同年代のメンバーが多かったこともあり、未経験でも入りやすかったです」と話します。

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「ここ数年、若手の組合員が増えて地元の人も大喜びです」と大谷組合長

今後の営農に関しては、「恵まれた環境を守りながら、法人として収益を出していくことが目標です。それが故郷を守ることにつながってほしい」と抱負を語る三島さん。同じ出雲市の他地域と比べると、橋波地区の耕作放棄地はほとんどなく、高齢化などで米作りができなくなった約80%の農家の土地を同法人が引き受けて米・野菜栽培に活用しています。

「耕作放棄地の減少に、今後はアイガモロボが大きな役割を担うようになるかもしれません」という三島さんの言葉に、水田をけなげに動き回るロボットのさらなる可能性を感じました。

【取材協力】

農事組合法人 橋波アグリサンシャイン
住所:島根県出雲市佐田町下橋波111‐1
電話:0853-85-2325

【企業情報】
井関農機株式会社
〒116-8541 東京都荒川区西日暮里5丁目3番14号
TEL:03-5604-7602 FAX:03-5604-7701

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