秋田県で一番“でっかい”由利本荘市ってどんなところ?
秋田県の南西部に位置する由利本荘市は、約74,000人が暮らしを営む自然豊かなまちです。2005年に1市7町が合併したことで誕生した同市の面積は1,200平方キロメートルほどもあり、その広さはなんと、神奈川県の約半分!西に日本海、南に鳥海山、中央を1級河川の子吉川が流れ、四季折々の美しい風景が訪れる人を魅了します。
首都圏からは飛行機利用で羽田空港から秋田空港まで約1時間という好アクセスなのもポイント。広い市内には本荘地域と矢島地域を繋ぐ由利高原鉄道が走り、車窓からはのどかな田園風景や雄大な鳥海山を望むことができますよ。
雪国・秋田の中でも比較的温暖な気候の由利本荘市ですが、沿岸部と山間部では気候条件が大きく異なるのが特徴です。長く続く海岸線には道川海水浴場、本荘マリーナ海水浴場、西目海水浴場の3つの海水浴場があり、美しい日本海を満喫することができます。山間部の冬の積雪は多いところでは1メートルを超え、シーズンを迎えるとウィンタースポーツを楽しむ大勢の人で賑わうなど、年間を通してアクティビティを楽しめるのも由利本荘市の魅力の1つです。
広い土地ならではの多彩な農畜産物
広い面積と地域によって異なる気候を活かし、由利本荘市では水稲をはじめ、野菜、果樹、花き、畜産などさまざまな農畜産物が育まれています。水稲は「あきたこまち」、「ひとめぼれ」の他、新品種「サキホコレ」が作付けされ、中でもコシヒカリを超える極良食味品種をコンセプトに開発されたサキホコレは、2021年から2年連続で食味ランキングA評価を取得しています。
園芸野菜ではアスパラガスやミニトマト、果樹はリンゴ、ブルーベリーが栽培され、近年ではシャインマスカットの栽培も増えています。また、花きも年々売り上げを伸ばし、「秋田鳥海りんどう」はブランドりんどうとして出荷額2億円を誇っています。
由利本荘市を語る上で欠かせないのが、ブランド牛「秋田由利牛」です。鳥海山の澄んだ空気と土地の牧草や稲わらによって健康的に育まれた黒毛和牛は適度に引き締まった肉質と赤肉の中にきめ細やかな脂肪を持ち、サシまで美味しいのが特徴。プロの料理人からも高い評価を得ています。
このように、1つの市で多彩な農畜産物が育まれている由利本荘市には、農業を支援する制度が充実しています。その1つが由利本荘市移住就農体験事業です。
由利本荘市の農業&暮らしを体験しよう!
由利本荘市では、農業に興味がある方や新規就農希望者を対象に、移住就農体験事業を実施しています。原則2泊3日のスケジュールで市内の生産者を訪問し、農作業体験をすることで、将来の農業経営計画の参考にしたり、移住就農後の生活を具体的にイメージすることができます。
農業体験は畑作、稲作、 花き、果樹、酪農、畜産から選ぶことができ、交通費や宿泊費のサポートもあります。詳細は下記、マイナビ農業インターンシップを参照してくださいね。
体験ではどんな人から学べるのか、由利本荘市で新規就農をした先輩ファーマーはどんな営農をしてるのか、気になる方も多いことでしょう。次は、同市で就農をした先輩ファーマーを紹介しましょう。
シャインマスカットの産地化を目指す、就農6年目の果樹農家の現在地
由利本荘市の西目地区で果樹農園を営む齋藤 諒汰(さいとう・りょうた)さんは、リンゴ(250a)、ブドウ(45a)、モモ、ウメ(各5a)を栽培する就農6年目のファーマーです。地元の高校を卒業後、秋田県農業研修センターで果樹栽培を学び、祖父が営む果樹園に新規就農をしました。
「幼い頃から身近にあった農業をやるのは自分にとっては自然な流れでした。高齢から離農した方の園地を祖父が手掛けるようになり、栽培面積が増えたことも就農のきっかけになりました」
と、話す齋藤さんは就農初年度に新たな取り組みとしてブドウ栽培を開始しました。植樹から7年を迎えた現在は、シャインマスカットを含めた8種類の品種を栽培しています。
「JA秋田しんせいがシャインマスカットの産地化を目指す取り組みをしており、新規就農者のための研修制度が充実しています。高値で取り引きされるシャインマスカットは経営安定にもつながるため、しっかり技術を習得して高品質なシャインマスカットを作り続けることが目標です」
シャインマスカットの房を一つひとつ手に取りながら※摘粒(てきりゅう)作業をする齋藤さんの表情は真剣そのもの。摘粒を誤ると粒が押し合って潰れてしまうため、シャインマスカット特有の大きな粒が形成されなくなってしまうからです。
※摘粒:実が肥大化した時に潰れそうな内向き果や傷果、小さい粒などの不要な粒を取り除く作業
「摘粒はやり直しがきかない作業なので、最も神経を使います。難しさもありますが、自分の手で形を作るのは楽しいですよ」
そう笑顔で話す齋藤さんの将来の夢は、観光農園を作ること。高齢化や担い手不足から離農をする生産者が増えるなか、園地を守り、地域に産業をもたらしたいと言葉を続けます。
「離農する方が一定数いることは事実ですが、ここ数年、若手生産者や新規就農者が増え、地域の果樹栽培は盛り上がってきています。この波を次世代につなげるためにも自分がロールモデルとなり、農業の魅力ややりがいを発信していきたいと考えています。夏は海、冬はスノーボードと楽しみもたくさんある由利本荘市は、農業をやるにものんびり暮らすのにもぴったりな土地です。ぜひ、共に農業を盛り上げていきましょう!」
力強い齋藤さんの言葉からは土地を愛する優しさと、農業への熱い思いが感じられます。栽培品目に果樹を検討している新規就農者にとって、齋藤さんの生きたアドバイスは、きっと励みになることでしょう。
就農2年目の新米ファーマーが目指すこれからの農業。規模拡大に向け、奮闘中!
「体を動かすことが好きな自分にとって、自然の中で仕事ができる農業は天職です」と、明るい笑顔で話す吉田 真大(よしだ・まお)さんは、由利本荘市出身の就農2年目の新米ファーマーです。現在、2棟のハウスでミニトマトを栽培しています。祖父が営む農業を小さい頃から見てきた吉田さんは高校卒業後、岩手県立農業大学校に進学。卒業後は地元に戻り、新規就農を果たしました。
「施設栽培を選んだのは、気候に左右されないことが一番の理由です。これからの農業を考えるうえでも、センシング技術などの発展が目覚ましい施設栽培は、長く無理なく営農ができると思いました」
と、将来を見据えて施設栽培に取り組む吉田さんは、就農初年度で反収3tを達成。新規就農者としては驚異的な数字と部会でも高く評価されました。それを実現しているのが吉田さんの弛みない努力と向上心です。かん水管理をはじめ、追肥や病害虫対策を適期に行うことを徹底しており、作業はとても丁寧です。
「就農2年目で順調に収量を伸ばせているのは、もともとあった地力のおかげという面もあります。今後は新しい技術も取り入れながらより高品質なミニトマトを育てていきたいです」
と、抱負を語る吉田さんは、ミニトマトの収穫を終えた秋以降、スナップエンドウを作付けする予定とのこと。また、来春に新設するハウスには環境制御システムを導入し、換気やかん水の自動化に取り組むことで、作業の効率化を目指しています。
「農業大学校卒業後、雇用就農も考えたのですが、信頼を得るためには最初から地元で就農をした方が良いという先輩のアドバイスを受け、由利本荘市で新規就農をしました。国や自治体の補助金、JAの営農指導など手厚い支援のおかげで孤立感を感じることなく、今に至っています。わからないことはなんでも教えてくれる祖父やベテラン生産者は本当に頼りになる存在です。由利本荘市ならきっと、自分らしい農業を見つけることができますよ」
現在22歳の吉田さんはすでに若手リーダーの風格を放っています。その背景にあるのは高い向上心とあくなき探究心です。手間や努力を惜しまないその姿勢は近い将来、地域農業を牽引する存在になることでしょう。
由利本荘市で見つける、自分らしい農業
「四季折々の美しい景色と豊かな自然が広がる由利本荘なら、きっと自分らしい生き方が見えてくるはず。由利本荘市での新規就農や暮らしに興味がある方はぜひ、移住就農体験に参加してみてくださいね」
と、移住就農体験への参加を呼びかけるのは由利本荘市農業振興課担い手支援班の佐藤 未咲(さとう・みさき)さんです。今回お話を伺った齋藤さんや吉田さんとの気さくな会話からも、行政がJAや生産者と協力しながら地域農業活性化に取り組んでいる姿を垣間見ることができました。
ベテラン生産者が新規就農者を支える由利本荘市には、助け合いの心が根付いており、地域住民や行政も、移住就農者をあたたかく出迎える風土があります。自分らしい農業との出会いを求め、まずは移住就農体験に参加してみてはいかがでしょう。
■お問い合わせ■
由利本荘市 産業振興部 農業振興課 担い手支援班
〒015-8501 秋田県由利本荘市尾崎17
TEL:0184-24-6234
FAX:0184-22-5107