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農泊を中心にした観光振興、イタリアに学ぶ地域連携と優遇税制

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

農泊を中心にした観光振興、イタリアに学ぶ地域連携と優遇税制

新型コロナウイルスの影響が和らぎ、国内旅行や外国人の訪日が盛んになっている。そこで期待されるのが、農泊をはじめとした農村観光の活性化だ。農泊を盛り上げるには何が必要なのか。日本ファームステイ協会の皆川芳嗣(みながわ・よしつぐ)さんにインタビューした。

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農泊の品質を評価

皆川さんは1954年生まれで、東京大学を卒業し、農林水産省に入った。林野庁長官などを経て、2012年に農林水産事務次官に就任。2015年に退職した。現在は日本ファームステイ協会の理事長のほか、農林中金総合研究所の理事長、日本農福連携協会の会長理事も務めている。

日本ファームステイ協会は2018年の設立で、会長理事を務めているのは福島県知事の内堀雅雄(うちぼり・まさお)さん。農家民宿による活性化を目指す地域などを対象に、「農泊品質評価支援制度」を手がけている。

具体的には、宿泊施設の安全・安心や価格帯、農家レストランや農産物直売所との連携、外国人の受け入れ態勢などを評価し、一定の基準を満たせばその施設に認証書を発行する。施設の運営の業務改善や情報発信に役立ててもらうのが目的だ。

では皆川さんへのインタビューの内容に移ろう。

進化した旅行は農村への滞在型

――日本ファームステイ協会の設立の経緯を教えてください。

以前から、農山漁村にもっと人が来てほしいと思っていました。農水省を退官した後、他の省庁のOBたちと会う機会があり、「都会の人が農村に泊まるのを常態化したい」という話で盛り上がりました。

そうした中、楽天トラベルの元執行役員で、持続可能な観光による地域振興を目指す「株式会社百戦錬磨」の代表の上山康博(かみやま・やすひろ)さんから「所得水準がある程度高まった社会の旅行は、物見遊山的なものではなく、農山漁村への滞在型へと進化していく」という話を聞きました。

団体旅行ではなくて、少ない人数である場所に長期で滞在する。そんな旅行の実現を後押ししたいと思い、立ち上げたのが、日本ファームステイ協会です。上山さんはいま協会で代表理事の立場にあります。

皆川

皆川芳嗣さん

教育旅行とリゾート法の限界

――農泊の関連で、日本にはこれまでどんな活動があったのでしょうか。

小中学生が何泊か農家などに泊まって、農山漁村の暮らしを体験する「教育旅行」があります。私が子どものころからある活動です。農家たちの大変な熱意に支えられていましたが、ボランタリーの側面が強く、多くはビジネス的な取り組みではありません。

教育旅行を通じて子どもたちは、「農家の素の姿」を知ることができます。

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