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「農家も社会性が大事だよ」個人販売と共同出荷を両立させた農家が助言

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

「農家も社会性が大事だよ」個人販売と共同出荷を両立させた農家が助言

農家を継いだとき、自分ならではの特色を出したくなるのは自然な心情だろう。でも代々やってきたことを、新たな挑戦が超えるとは限らない。栽培品目を地域の伝統的な作物に絞り、周囲の仲間とグループをつくって経営を発展させたベテラン農家、伊東蔵衛(いとう・くらえ)さんに話を聞いた。

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落ち葉堆肥で世界農業遺産に認定

伊東さんの農場「江戸屋弘東園」は、サツマイモの生産が盛んな埼玉県三芳町にある。面積は4.3ヘクタールで、サツマイモとお茶を中心に栽培している。

農場は三芳町の「三富(さんとめ)新田」という地域にある。江戸時代に川越藩主の柳沢吉保(やなぎさわ・よしやす)が開墾した農地だ。「新田」と名前にあるが実際は畑で、落ち葉で堆肥(たいひ)を作り、サツマイモを育て始めた。

2023年はこの地で農業を続けてきた生産者たちにとって特別な年になった。代々守り続けてきた栽培方法が、「武蔵野の落ち葉堆肥農法」として国連食糧農業機関(FAO)から世界農業遺産の認定を受けたのだ。

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各地で離農が進む中で、伊東さんが約30年前に立ち上げた「三芳町川越いも振興会」は当初からほぼ人数が変わっていない。会員それぞれに後継者もいる。地域の農法が世界農業遺産に認定されたことは、伊東さんたちの取り組みのさらなる追い風になった。

落ち葉でつくった堆肥

品目を絞って伝統の作物に回帰

ここで伊東さんの歩みをふり返ってみよう。伊東さんは現在73歳。地元の農業高校を卒業すると実家で就農し、父親のもとで農業を始めた。

まず考えたのは「周りの人と違うものを作れば、売れるんじゃないか」ということだった。

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