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阪神淡路大震災からまもなく30年 植物の力で人の心に寄り添う「園芸療法」とは

阪神淡路大震災からまもなく30年 植物の力で人の心に寄り添う「園芸療法」とは

2025年は阪神淡路大震災から30年になる節目の年です。震災で壊滅的な被害を受けながら、一歩ずつ前に進んできた兵庫県。その復興の陰には、花と緑で人を癒やす園芸療法の存在がありました。阪神淡路大震災を機に、園芸療法士の育成のために立ち上げられた淡路景観園芸学校で、園芸療法・園芸療法士についてお聞きするとともに、園芸療法に活用されている「みんなのエコ菜園」の魅力を伺いました。

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阪神淡路大震災から来年で30年。兵庫の人の心に寄り添い、支えた園芸療法

1995年1月17日早朝に発生した兵庫県南部地震により引き起こされた阪神淡路大震災。
国内で初めて震度7が観測された大地震は、神戸市を中心とする阪神地域および淡路島北部に甚大な被害をもたらしました。一瞬にして家や建物が崩れ去り、がれきと化した街並みの映像を鮮明に覚えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、兵庫県の街や人は一歩ずつ復興への道を歩み、まもなく大震災から30年を迎える現在、元の姿を取り戻しつつあります。

復興のための街づくりとしてさまざまな取り組みが行われるなかで、家族や家を失った被災者の方々を癒やしたのが植物だったことをご存知でしょうか。すっかり姿を変えてしまった街でも、春になれば花が咲き、秋になれば果実が実る。そんな自然の営みを見て、人々は生きる気力を取り戻し、前を向いてきたといいます。
今回ご紹介する「園芸療法」は、そんな兵庫県の復興において、重要な役割を果たしてきた療法として知られています。

「震災後、仮設住宅に暮らす人々に向けて、空き地やプランターを利用して花を育てるボランティア活動が行われ、花が被災者の心を癒やし、コミュニティ形成や被災者の健康改善に大きな役割を果たすことが再認識されました。こうしたことがきっかけとなり、兵庫県は全国から受けた支援への返礼として園芸療法の実践者となる園芸療法士を育てることを決めました。そして全国で唯一、県知事が認定する園芸療法士を養成する園芸療法課程が本学で開講されたのです」

そう話すのは、淡路景観園芸学校 園芸療法課程/兵庫県立大学の教授を務める豊田正博(とよだ・まさひろ)さんです。

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淡路景観園芸学校 園芸療法課程 豊田正博教授。震災時は農業高校で教師を務めていた

「園芸療法の基盤となるのは『人は生まれながらにして自然や植物、動物を好む』(バイオフィリア仮説)という考えです。そのため園芸療法は万人に効果が期待できる療法とされ、一般の方はもちろん、病気や障害のために自分一人では植物や園芸の恩恵を受けるのが難しい方々にも広く適用されてきました。兵庫県ではこれまで150を超える医療・福祉施設で園芸療法が行われ、専門的な知識や支援技術を持った園芸療法士が、課題を抱える方々の健康改善、植物・園芸を通じた癒やしの提供に一役買っています」

全国からの支援への返礼、緑と景観のプロ育成を目的に立ち上げられた淡路景観園芸学校

淡路景観園芸学校 園芸療法課程の成り立ちは、先に豊田教授から紹介のあった通りですが、ここでは、なぜ淡路景観園芸学校が誕生したのかに触れたいと思います。

もともと兵庫県はランドスケープやビオトープに関心が高く、1993年ごろから景観園芸学校開学の構想がありました。
しかし、1995年に阪神淡路大震災が発生。淡路景観園芸学校は復興モデルプロジェクトの一つとして、震災から立ち上がるなかで、街づくり・地域づくり・緑づくりを担う人材の養成の場として位置づけられることになります。そして、1999年に学校教育法の制約を受けない兵庫県独自の景観と園芸を学ぶ学校として、震源地である淡路市に開学されました。

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兵庫県立淡路景観園芸学校。校舎屋上から見える美しい風景は「ひょうごの景観ビューポイント150選」にも選ばれた

「日本で初めて『景観園芸』という学際的学問分野を掲げて誕生した本学(の学生)は、兵庫県立大学大学院でもある景観園芸専門課程を417名が修了、園芸療法課程では269名(2023年3月現在)が園芸療法士として各地の医療、福祉現場などで活躍しています。本学が目指すのは世界で活躍できる緑・景観のプロであり、これらの知識を生かして地域経営のプロとなれる人材です。日本ではまだ知らない人も多い園芸療法ですが、アメリカやイギリス、韓国、中国、台湾など海外では広く浸透し、EU諸国ではグリーン・ケア、ソーシャル・ケア・ファーミングと呼ばれて認知症患者や障害者、元受刑者、心に問題を抱える子どもたちまで、幅広い人の心や体を癒やし、社会性を育む療法として知られています」と豊田教授。

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淡路景観園芸学校 園芸療法研究室 剱持卓也講師。自身も園芸療法士として医療機関などで勤務していた

豊田教授と同じ園芸療法課程で講師を務める剱持卓也(けんもち・たくや)さんもこう続けます。
「園芸療法による癒やしの効果はエビデンスからも明白で、PTSDなど心のケアを必要とする人が植物と関わることでより深い安らぎを得られることがわかっています。園芸療法士は国家資格ではありませんが、本学を卒業した園芸療法士は北海道から沖縄まで各地で活躍しており、植物を介して対象者と向き合うことで身体的・精神的・社会的な効果を提供しています」

園芸療法に最適!ワンストップで始められる「みんなのエコ菜園」

さて、そんな淡路景観園芸学校で活用されているのが、国土防災技術株式会社と大建工業株式会社が開発に取り組んだ「DWファイバー」です。木材を粉砕処理した繊維を土の代わりに栽培用培地として使える優れもので、農業や土木・造園工事に使えるほか、塩害を受けた防災林の土壌改良・再生にも役立てることができます。

そして、DWファイバーで培った加工技術を応用して新たに生まれた木質培地が「グロウアース」。土の代わりとして使える栽培用培地は水と肥料があれば、土と同じく農業・園芸に最適な栽培環境を整えることができます。

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培地が見えるよう「窓」を開けたプランター。中に見えるのが「DWファイバー」

「本学とDWファイバーの出会いは3年前。もともとご縁のあった造園会社から紹介を受け、興味を持ったのが導入のきっかけです。地産地消を目指し、県内産など国産の木材チップを使っているので出材元や加工経路が明確で安心できること、DWファイバーを使うことでこれまでは廃棄されていた端材を有効活用できることが魅力でした」と語るのは、淡路景観園芸学校で景観園芸専門員・インストラクターを務める上地あさひ(うえじ・あさひ)さん。

「園芸療法を実践する際、衛生面への配慮から土の持ち込みや使用を敬遠される施設が多いのですが、木質培地のDWファイバーなら手が汚れにくいので使いやすい。使い終わった後は燃えるゴミとして捨てることも可能です。しかも重さは土の約2分の1。軽く、1人でも扱いやすい点に引かれました」

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淡路景観園芸学校 景観園芸専門員 上地あさひさん。園芸療法の実習指導などを担当

DWファイバーやグロウアースの魅力をより多くの方々に広めるため、大建工業が新たに打ち出したのが「みんなのエコ菜園」というワンストッププランです。プランニングから販売、設置、保守管理、イベント企画までをパッケージにしたプランは建物内や敷地内のオープンスペースの価値向上に効果的。プランターや花壇はユニット化されているのでさまざまな場所にすぐに導入でき、屋上のスペース活用も簡単です。資材の準備や栽培のアドバイス、管理サービスなども付帯しており、淡路景観園芸学校を修了した園芸療法士と連携した園芸療法、ケアファームなどのプログラムも提供しています。

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淡路景観園芸学校のエントランスで訪問者の心を和ませるプランター。産学包括連携事業として「DWファイバー」を活用している

すでに各地で導入実績がある「みんなのエコ菜園」。オープンスペースや未利用地の有効活用、他とはひと味違うスペースの使い方をお探しなら、一見の価値があることでしょう。

興味のある方は、以下のお問い合わせ先までお気軽にご連絡ください。

園芸療法の特設ページはこちら

取材協力

兵庫県立淡路景観園芸学校

お問い合わせ先

大建工業株式会社
開発営業部 菜園事業担当
メールアドレス:info-saien@daiken.co.jp
URL:https://www.daiken.jp/eco-farm/

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