クレソンとは?
クレソン(オランダガラシ、学名: Nasturtium officinale)は、水中や湿地に生育する多年草で、アブラナ科に属します。クレソンというのはフランス語由来の言葉で、日本にはオランダから持ち込まれたということもあり、和名ではオランダカラシといいます。ヨーロッパから中央アジア原産で、辛みがあり、肉料理の付け合わせによく使われます。水を好む植物で、水耕栽培に向いています。繁殖力が非常に旺盛で、自生していることも少なくありません。茎は水辺に横にはい、葉は複葉で、初夏には白い小花を咲かせます。
クレソンの栽培歴
クレソンは4月~5月の春ごろと、9月の秋ごろの2回ほど種まき・植え付けの機会があります。植え替え、挿し芽についても同じ時期に行いましょう。気温や環境にもよりますが、植え付け後1カ月ほどで収穫できるサイズまで育ちます。クレソンは冷涼な気候を好む作物なので、真夏の暑い時期は苦手です。また、冬の寒さにも強くないので、各シーズンの終わりごろに植え付けを行う際は、急な気温の変化に注意しましょう。
クレソンの種まき
クレソンはもともと川辺や湖畔など、砂地の水辺で育つ作物です。
そのため、種まきの際には川砂と培養土を半々に混ぜた苗床を使うとよいでしょう。
また、地植えせずプランターで育てる場合は、プランターに直接種まきしても構いません。
種まきの時期
種まきの時期は、4月~5月の春ごろと、9月の秋ごろの年2回になります。
発芽適温は20℃前後なので、種まき時期でも気温の高低がある場合は、トンネルや寒冷紗(かんれいしゃ)、苗床の保管場所を工夫するなどしましょう。
種まきの方法・コツ
川砂と培養土半々で作った苗床にスジまきしましょう。
苗の高さが4~5センチほどになったら植え替えするので、スジ同士の間隔は10センチあればよいでしょう。
植え付けるスジの深さは1センチほどあれば良いので、割り箸や園芸支柱で溝を作ってあげましょう。種まき後は、軽く土で覆いましょう。
栽培の注意点
クレソンの種は非常に小さく、雨風などで簡単に流れてしまうので注意しましょう。
また、発芽するまでは水やりをこまめに行うことも大切です。根が張るまでは、霧吹きで水やりを行い、ある程度成長したらジョウロで優しく水やりしましょう。
クレソンの植え付け
クレソンの植え付け時期は、4月~5月・9月と、種まき時期と同じです。
クレソンは水を好む作物ですので、プランター・地植えどちらの場合も、水切れさせない環境づくりが大切です。また水耕栽培にも向いている作物なので、好みの栽培方法を選ぶとよいでしょう。
プランターの場合
◯必要なもの
・苗
・植木鉢またはプランター(底が浅く、幅広いものがオススメ)
・ハーブ用の培養土
・鉢底ネット
・鉢底石
◯植え付け方法
1.植木鉢に、鉢底ネットを敷き、鉢底石を設置します。
2.培養土を半分くらいまで入れます。
3.鉢を揺らして土をならします。
4.植え付け穴を作り、苗を植え付けます。このとき軽く根の先端をほぐすと良いでしょう。
5.植え付けた苗の上から軽く土を盛って、グラグラしないように少し固めます。
6.水やりをします。
◯注意点
鉢は通気性の良い素焼きのものを使い、用土には排水性の良いものを選びましょう。
受け皿をおいて水を張る方法もありますが、こまめに水替えする必要があります。水やりを丁寧に行えば受け皿はなくても大丈夫です。
複数の株を植え付ける時は、株間を20センチ取りましょう。
また、鉢やプランターを置くときは、すのこやブロックなどの上に置き、通気性を確保しましょう。エアコンの室外機などの近くには置かないようにしてください。
地植えの場合
自生するクレソンもいるくらいなので、地植えでの栽培もいくつかポイントを押さえれば難しくありません。
もともとクレソンは水辺を好む作物なので、栽培中は水切れさせないようにしましょう。
また、夏の暑さには弱いので、高地では日の当たるところでも良いですが、平地では半日陰になるところに植えるとよいでしょう。
なお、植え付けの際に肥料は必要ありませんが、痩せた土地の場合は緩効性肥料を一握り入れると生育が良くなります。
水耕栽培の場合
クレソンは水耕栽培で育てることもできます。
水耕栽培用のキットを使うと便利ですが、ペットボトルなどで自作しても良いでしょう。
◯用意するもの
・水耕栽培キット(ペットボトルなど自作のものでも良い)
・水耕栽培の苗や種
・液体肥料
・ロックウールやスポンジなど
まず水耕栽培キットを組み立て、栽培容器に水と栄養液を適切な比率で混ぜます。次に、クレソンの苗を用意するか、種をスポンジなどに植えます。
日差しが足りない場合はライトで光を当ててあげましょう。また水位を定期的にチェックして、必要に応じて水や液体肥料を追加しましょう。
クレソンの栽培管理
クレソンは草勢があることもあり、栽培管理はそれほど難しくありません。
基本的には、次の三つのポイントを押さえれば十分でしょう。
・水やりについて ・肥料のタイミングについて ・剪定・摘芯について |
それぞれ詳しく解説していきます。
水やり
湿地帯や川辺を好むクレソン。プランターや地植え栽培での水やりは、こまめさが大切です。
土の表面が乾いたら、たっぷり水やりしましょう。
プランターの場合、受け皿に水を張って底面から吸水させても構いませんが、水はけの悪い土だと根腐れしてしまいます。受け皿を使うのは川砂などの混じった水はけの良い土を使っている時にオススメの方法です。また、受け皿の水は毎日取り替えないと虫が湧いたり、カビたりしてしまうこともあるので注意しましょう。
肥料について
基本的にクレソンにはあまり肥料は必要ありません。
例外として、土壌が痩せている場合には元肥として緩効性肥料を一握り、栽培中に株の元気がなくなってきた時、気温が高い時に液体肥料を与えるとよいでしょう。
剪定・摘芯
クレソンの剪定は、収穫を兼ねて行います。また、地際の弱い葉や黄色く枯れている葉は随時取り除きましょう。
詳しくは、クレソンの収穫と併せて後ほど解説します。
クレソンの摘芯は、株高15センチくらいになったら行いましょう。茎の先端を摘み取ることで、脇芽が出やすくなります。脇芽を育てていくと、柔らかい葉がたくさん収穫できるようになります。
収穫時期になると、花のつぼみもつくようになります。花が咲くと茎葉が硬くなってしまうので、摘み取ってしまいましょう。
クレソンの収穫
収穫のタイミングは、株高が20~30センチくらいになった頃です。
剪定バサミで切り戻しも兼ねて収穫しましょう。切る位置は、株の3分の1の高さあたりが良いです。
花が咲くとまずくなるので、早めに収穫しましょう。
クレソンの植え替え方法
プランターや鉢植え栽培の場合、クレソンの植え替えをすると、より大きな株に育てることができます。
クレソンは多年草なので、年々根の張りが増え、プランターが窮屈になってきます。
4月~5月または9月ごろに、一回り大きなサイズのプランター・鉢植えに植え替えましょう。
植え替えの際、ひどく絡まった古い根っこや、傷んだ根っこ、変色した葉などは取り除いてしまいましょう。
植え替えた後はしっかり水やりを行い、根が活着するまでは慎重に様子を見ましょう。
クレソンの増やし方
クレソンは、種まきのほか、挿し芽でも増やすことができます。
挿し芽をする場合は、15センチほどの長さの健康な茎を切り取って使います。
切り取った茎を、水または培養土に挿し込むと、1週間ほどで白い根っこが出てきます。
発根するまではデリケートなので、長時間の直射日光を避け、半日陰に置くと良いでしょう。
発根後は、苗のようにプランターへ植え付けて育てていきましょう。
クレソンにつく害虫
クレソンは比較的害虫に強い作物ではありますが、アブラムシやハダニ、コナガ、アオムシなどが天敵です。それぞれどのような害虫か、簡単に説明します。
アブラムシ
葉や茎に吸着して植物の樹液を吸い取ります。アブラムシの排せつ物は、糖分を多く含みどろっとしています。これが黒カビや病気の原因となることがあります。
ハダニ
超微小なダニの一種で、主に葉の裏側に生息します。ハダニは葉の汁を吸い、葉が黄色くなったり、白い斑点が出たりすることがあります。
コナガ
体長は最大10ミリで、若齢のうちは鮮やかな緑色ですが、成長すると濃い緑になります。葉の裏面から食い破り、表側の薄皮と葉脈を残すようにして食害します。
アオムシ
体長は最大30ミリで、淡い緑色をしています。葉に穴を空けながら食害するため、葉がボロボロになります。
どの害虫も、トンネルを作ったり、農薬を使ったりすることで防除ができます。害虫が繁殖して被害が大きくなる前に、しっかり予防を行いましょう。
リボベジでも楽しめるクレソン栽培に挑戦してみてください!
草勢があり、水切れしなければすくすくと育ってくれるクレソン。複雑な栽培管理もいらず、ベランダ菜園やキッチンでの水耕栽培にも向いている頼もしい野菜です。
ステーキなど肉料理の付け合わせとしてのイメージが強いクレソンですが、サラダやおひたしなど主役としても十分食卓で活躍できる能力を持っています。
種や苗から育てることが一番良いですが、スーパーで買ってきたクレソンの残りからでも、リボベジとして栽培を楽しむこともできますよ。
ぜひ本記事を参考にして、クレソンの栽培に挑戦してみてください。