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カタバミとは? クローバーとの違いや駆除方法を解説!

鮫島 理央

ライター:

カタバミとは? クローバーとの違いや駆除方法を解説!

一族繁栄の象徴として、家紋として用いられてきた歴史もあるカタバミ。ヨーロッパではキリスト教の復活祭の時期に咲くことから、「喜び」という花言葉もつけられています。そんなありがたい由来のあるカタバミですが、庭や駐車場などで繁殖してしまう厄介な雑草としても有名。再生力と繁殖力が高く、しっかり根こそぎ駆除しないと再生してしまうことから、対処に苦慮している方も多いのではないでしょうか。本記事では、カタバミの駆除方法や抑制方法、クローバーとの違いまで詳しく解説していきます。ぜひ本記事を参考にして、カタバミをうまく管理できるようになってくださいね。

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カタバミとはどのような花?

カタバミは学名Oxalis corniculata(オキザリス コルニクラータ)といい、カタバミ科カタバミ属に属する植物です。
5枚の黄色い花弁の花を暖かい季節に咲かせ、開花後に小さな角のような果実をつけます。また、学名のコルニクラ―タは「小さな角」の生えたという意味で、この果実に由来した名前です。

カタバミは地下に根茎をもつ多年草で、葉が食べられたように半分に欠けている様子から「片食み(かたばみ)」、「片喰(かたばみ)」と呼ばれるようになったと言われています。
また、カタバミはその繁殖力から縁起の良いものとして考えられており、「剣片喰」のように家紋のモチーフとしても用いられてきた歴史があります。

実はカタバミは少量であれば食べることもでき、葉をかじるとすっぱい味がします。この酸味の正体はシュウ酸で、ホウレンソウに豊富に含まれていることで知られる成分ですが、食べ過ぎは体に良くありません。

余談ですが、シュウ酸にはサビを落とす力もあり、青銅や真ちゅうのものをカタバミの葉で磨くと、サビが落ちてピカピカになります。

カタバミとは葉が半分という意味

カタバミは強い光を浴びると、葉を半分に折りたたんで日光を浴びる量を調整するという面白い機構を持っています。この半分に折りたたんだ状態が、葉を半分食べられた状態に見えるという理由から、「片食み」「片喰」という名前になったと伝えられています。
「酢漿草(かたばみ)」と書くこともありますが、これは中国語名に由来する言葉です。

再生力や繁殖力が高い

カタバミは地下部に根茎をもつ多年草で、再生力や繁殖力が非常に高い植物です。
草むしりをしていると、途中で茎や根が折れ、株を全て取り除くのが難しく、地下に根茎が残ると、そこからまた再生するほど再生力が高いのです。生える場所を選ばない繁殖力から、雑草として扱われることも多く、厄介者とされることも少なくありません。

またカタバミの果実は2cmくらいの大きさで、果実が熟すとパチンという破裂音とともに、辺り一面に小さな種をばらまきます。ちょっとした衝撃でも破裂するので、放っておくとどんどんカタバミは繁殖していくのです。

花言葉は「喜び」「輝く心」

カタバミの花言葉は、「喜び」「輝く心」。
「喜び」は、カタバミがヨーロッパでは、キリスト教の復活祭の時期に咲くことに由来しています。現地ではカタバミをハレルヤと呼ぶこともあるそうです。

「輝く心」は、カタバミの葉で青銅や真ちゅうの祭具を磨くとサビが落ちて、ピカピカになったことが由来と言われています。

毒性は低いが長期摂取は厳禁

カタバミに含まれるシュウ酸は、長期間にわたって摂取すると、尿道結石などを引き起こす原因となったり、カルシウム供給に影響を与えるため、栄養不足につながったりすると考えられています。

なおカタバミ自体はあまり毒性は高くないと考えられており、地域によっては湯がいたり、塩でもんでシュウ酸を抜いたりして、食用にされることもあるようです。また生薬として消炎作用や解毒、下痢止めとして使われています。

カタバミの駆除方法

ここでは繁殖してしまったカタバミの駆除方法を紹介します。
カタバミは再生力・繁殖力が高いので、駆除する際は中途半端にせず、しっかり根こそぎ取り除かなくてはいけません。

除草剤を使う

一番簡単な方法は、除草剤を使うやり方です。
徹底的に除草したい場合は、液体タイプの除草剤(根まで効果のあるタイプ)を散布し、地上部と根っこを枯らします。次に、長期間効果のある粒剤タイプをばらまくと、長期間にわたって除草することができます。
なお、芝生などに生えたカタバミを除草したい場合は、選択性のある除草剤を使いましょう。

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球根を掘り出す

薬剤を使わない場合は、地道に手作業で駆除しましょう。
カタバミは地下茎が残っていると、そこから再生してしまいます。
根っこが切れないようにスコップで掘り出し、株を丸ごと抜いてしまいましょう。

駆除するのに適している時期

カタバミの駆除は、花が咲いている時期の5月~10月ごろに行うと良いでしょう。
カタバミは花が咲き終わると、果実ができて種がこぼれるようになります。踏んだり触ったりするだけでも種を広範囲に飛ばしてしまうので、種が飛ぶ時期に駆除すると、駆除時の衝撃で種が辺り一面に広がってしまいます。

カタバミの繁殖を防ぐ方法

カタバミの繁殖を防ぐ方法はいくつかあります。
おすすめの方法について、それぞれ詳しく説明していきます。

砂利を敷く

庭や駐車場などでは、砂利を厚めに敷くことでカタバミの発生を抑えることができます。
砂利を敷くと、光が遮られるため、雑草の種が発芽しにくくなります。また、光合成を妨げることで、成長が遅くなり、除草が楽になるでしょう。

なお防草シートを敷いてその上に砂利を敷くと、より高い効果が期待できます。

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グランドカバーを植える

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地面をはうように伸びる、タイム、タピアン、アイビー、ワイヤープランツなどの植物が向いています。

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芝と芝の間を密にする

芝生の庭の場合、雑草が生える余地がないように、芝と芝の隙間(すきま)をなくすことも重要です。また、定期的に芝刈りを行って、芝生を整えると同時に、雑草も刈ってしまいましょう。

人工芝にする

雑草は少しでも土があると、いつの間にか生えてきます。
どうしても草を生やしたくないという場合は、防草シートを敷いた上に人工芝を設置すると良いでしょう。

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防草効果のある除草剤を使う

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長期間カタバミをはじめとした雑草を生やしたくないという場合は、雑草が育ちにくい環境を作ることが大切です。

除草剤の中でも、長期間雑草の抑制効果が続く粒剤タイプのものを定期的に散布すると、次第に雑草が生えにくい環境になっていきます。
なお除草剤には、効果を発揮する植物を選ぶことができる薬剤があります。芝生や庭で使用する場合は、生育中の作物を傷つけないようしっかり薬剤を選んで使いましょう。

カタバミについてよくある質問

カタバミについてよくある質問をまとめました。

カタバミとクローバーの違いは何ですか?

カタバミはカタバミ科、クローバーはマメ科の植物なので、見た目は似ていますが全く別の植物です。

見分け方としては、花や葉っぱの形で判断します。
カタバミの花は花びらが5枚で構成されているのに対し、クローバーは楕円(だえん)状の小さな花びらが沢山集まって一つの花を形作っています。
また、カタバミの葉は模様がなく、ハート型をしています。一方クローバーは白い線の模様が入っており、葉先にかけて丸くなっています。

カタバミは食べられますか?

カタバミは地域によって食用されることもあるようです。ですが、葉や茎にシュウ酸が含まれており、長期にわたって摂取したり、一度にたくさん食べたりすると健康を害する恐れがあります。

もし食用する場合は、よく煮たり、塩でもんだりしてシュウ酸を抜いてからにしましょう。

カタバミを食べるとどのような効能がありますか?

カタバミはビタミンCが豊富で、肌の健康や、免疫機能を維持するのを助ける働きがあるようです。

ただし、シュウ酸も多く含まれているため、絶対に体に良いというわけではありません。
食用というより、生薬として使われることの方が一般的なようです。生薬としての効能は、消炎作用、下痢止めなどがうたわれています。

草の生えにくい環境づくりがカギ

観賞用として栽培されることもあるカタバミですが、再生力と繁殖力が強く、管理をミスしてしまうと、意図せず庭などに広がってしまうこともあるでしょう。
カタバミは広がってしまうと除草が大変なので、砂利を敷く、防草シートを使うなどして、草の生えにくい環境を作ることが大切です。

もし庭や駐車場にカタバミを見つけたら、ぜひ本記事を参考にして対応してみてくださいね。

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