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売り上げ年8億円の農業法人がM&Aで企業のグループ入り、決め手は「対等な補完関係」

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

売り上げ年8億円の農業法人がM&Aで企業のグループ入り、決め手は「対等な補完関係」

農家が法人化することが普通になったことで、新たに可能になった経営の選択肢がある。株式を売却するなどして別の企業グループの一員になり、さらなる発展のきっかけをつかむことだ。農業法人のM&A(合併・買収)がうまくいくには何が必要か。株式会社今井ファーム(兵庫県淡路市)の事例からそのことを探ってみたい。

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人手とスペース不足で成長にブレーキ

今井ファームは創業が1981年。8ヘクタールの畑でタマネギを育てているほか、淡路島の他の農家が作ったタマネギも仕入れて販売している。企業的な経営に移行するため、2018年に株式会社を設立して法人化した。

今井ファームの強みは二つある。一つは創業者である今井一男(いまい・かずお)さんが磨き上げた栽培技術。20数年前に魚が主な原料の有機肥料を使い始めると品質が格段に高まり、地元の道の駅でファンをつかんだ。

もう一つは息子の今井剛(いまい・つよし)さんの提案で10年あまり前に始めたネット販売だ。楽天やアマゾンに出品したことで、売り上げが当時の年700万円から飛躍的に拡大。2024年1月期は8億円に達した。

収穫したてのタマネギ

はたから見れば、順風満帆の成長と映るだろう。ただ同社はあるジレンマを抱えていた。注文が殺到すると出荷作業が追いつかず、出品をセーブすることが度々起きていたのだ。人員も作業場などのスペースも足りなかった。

最大の課題は、地元で人手を確保することの難しさにあった。法人化したとき3人だった従業員を少しずつ増やして、10人を超えるまでになっていた。だがそれでは対応できないほど、同社の商品にはニーズがあった。

どうすれば可能性をフルに発揮できるのか。その答えとして浮かんだのがM&Aだった。ただ当初は、自らほかの会社を買収するつもりだった。

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