クボタだからできる農業者に寄り添ったトータルサポート
農業機械の開発や製造、農作物の生産、加工、消費など、包括的に農業者をサポートするクボタが2022年に立ち上げたのが、J-クレジット制度を活用した食料・農業領域におけるGHG削減活動の促進・拡大を目的とするサービス、『クボタ 大地のいぶき』だ。J-クレジット制度とは、省エネルギー・再エネルギー設備の導入や森林管理等によるGHG排出削減量、吸収量を「J-クレジット」として国が認証する制度。このJ-クレジット制度において「水稲栽培における中干し期間の延長」が新たな方法論として承認されたのを機に、クボタは、中干し期間の延長に取り組む農業者向けに技術面や手続き面での支援を開始した。
立ち上げから携わるカスタマーソリューション事業推進部の安達さんは、「農林水産分野におけるGHG排出量は日本全体の4%を超え、中でも水田から発生するメタンは国内のメタン排出量の約4割を占めています。中干しを慣行期間より7日間連続で延長するだけでメタンの発生量を3割削減でき、その削減量はJ-クレジットという環境価値となり、農業者の収入になります。地球にも農業者にも優しいこのサービスを、より多くの方と取り組んでいきたいという思いがありました」と語る。
本サービスに登録した農業者は中干し期間の延長を実施し、必要データを記録して提供するのみ。クボタがJ-クレジット創出の申請手続きを代行すると共に、創出されたJ-クレジットを全量クボタで買い取り、農業者の収入として還元する。カスタマーソリューション事業推進部長を務める利根川さんも、「J-クレジット申請のサポートだけでなく、環境に優しく、農業者が儲かる農業をトータルでお手伝いすることが私たちの使命だと考えています」と話す。
プロジェクトを担当するクボタのメンバー。左から順に三好さん、利根川さん、有賀さん、安達さん。
来訪客へのPRと商品の付加価値向上も
今回のプロジェクトは、有機農業やスマート農業など環境調和型農業に積極的に取り組んでいる越前市が、「クボタ 大地のいぶき」に問い合わせたのが始まりだったという。
「地元農業者と協力して中干し期間の延長によるGHG削減に取り組むと共に、創出したJ-クレジットを利用し、脱炭素に取り組む市内企業へ円滑な売買を促す。自治体やクボタのような組織が率先して枠組みづくりを行うことで、より良い地球環境づくりを推進できるのではないでしょうか」と、枠組み構築を推進した同部の有賀さんと三好さんも語る。
J-クレジット制度が定める削減量。数値は圃場の排水性に応じて変動する（農林水産省『「水稲栽培における中干し期間の延長」のJ-クレジット制度について』を基にクボタ作成）。
2024年時点で3軒の地元農業者が参加しており、2025年に約40haの農地を対象としてCO2換算で年間200tのメタンガス削減を見込む。さらに北陸新幹線「越前たけふ駅」近郊エリアの水田を活用することで、来訪客にも大々的にPRする。クボタと共にプロジェクトに携わる越前市環境農林部農政課の谷口さんも、「この取り組みが、環境負荷低減に貢献できることを多くの人に知ってもらいたいです。より多くの農業者が参加できるよう長期的に進めていきたいですし、農産物の付加価値向上につながることを期待しています」と話す。
2024年3月の北陸新幹線延伸により新設された「越前たけふ駅」前に広がる水田。来訪客へのPR効果に期待がかかる。
地域の脱炭素をクボタがサポートする
今後について安達さんは、「昨年と今年は慣行の中干し期間の記録をつける年ですが、制度の理解サポートや今後協賛してくれる農業者が増えるような活動もしっかり行っていきたいと思います。越前市と綿密に連携を取り、国の掲げる104万tのCO2削減に寄与していきたいです」と話す。地域の脱炭素を先駆けて達成しようという自治体にとって、越前市とクボタの取り組みは参考になるに違いない。
CHECK!!
【個別相談も承っています！】クボタでは取り組みの準備から企画、運営まで、環境に優しい農業に興味をお持ちの自治体様をトータルでサポートします。お気軽にお問い合わせ・ご相談ください。
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J-クレジット制度を活用した、地域で取り組む脱炭素PJ
『クボタ J-クレジット支援サービス 大地のいぶき』は参加費・手数料無料です。
取材協力
福井県越前市
問い合わせ先
株式会社クボタ カスタマーソリューション事業推進部
〒556-8601 大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
mail：kbt_g.j-credit@kubota.com
