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Uターンして始めたブルーベリー栽培。脱サラママの観光農園開業までの軌跡。

Uターンして始めたブルーベリー栽培。脱サラママの観光農園開業までの軌跡。

ブルーベリーのお花見に幼稚園の子どもたちを招いたら、「わあ!」と喜び駆け回り、でんぐり返りでキャッキャッ。摘み取り体験では、楽しそうなお客様同士の間で自然におしゃべりの花が咲いて…。そんな経験を笑顔で語ってくれたのは、出産を機に故郷の石川県小松市で「きらぼしファーム」を開園した小坂 佐枝子(こざか さえこ)さん。
会社員として働きつつ育児をしながら初めての農業に挑戦しようと思えたのは、世界初の養液栽培システム『ブルーベリーバッグカルチャーシステム』があったから。就農のきっかけとこれからの夢を伺いに、農園を訪れました。

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最短1年半で収穫OK!世界でも類を見ないブルーベリー栽培システムを開発

「食」を中心に世界と日本を結ぶオーシャン貿易株式会社 代表取締役会長 米田多智夫氏

『ブルーベリーバッグカルチャーシステム』を開発したのは、1973年創業のオーシャン貿易株式会社。ノルウェーサーモンをはじめ生鮮品の輸入を手がけるほか、日本初のタスマニア牛ハラミの輸入やブランド鮭『オーロラサーモン』の開発など、新領域を次々に開拓しています。

チャレンジ精神あふれる同社が生み出したのが、この養液栽培システム。独自開発の専用培地と液肥混入機等を組み合わせ、施肥と灌水、phを自動コントロール。全国どこでも失敗することなくブルーベリー栽培ができ、最短1年半で収穫可能という世界初のシステムです。

『オーシャン貿易』の詳細はこちら

『ブルーベリーバッグカルチャーシステム』の詳細はこちら

出会いのきっかけは子育てから。養液栽培のおかげでブルーベリー農園開業を決意

大阪で学生時代を過ごし、アパレル関係の会社員として働いていた小坂 佐枝子さんは、出産を機に故郷である石川県小松市へ戻りました。もともと植物や栽培に興味はなかった小坂さんですが、子どもが生まれ、家庭菜園で一緒に摘み取りをしようと苗を購入。まずはポットでいちごの栽培をしてみましたが、なかなかうまくいきません。次にブルーベリーを1本育ててみたら、市販の肥料とじょうろの水やりで実がたわわに。

小坂さん

品種もわからず、適当に買った苗にちゃんと実がついたのがうれしくて。子供も一緒に喜んで、食べたらおいしいし、ブルーベリーの花は小さくてとてもかわいい。育てているうちに愛着も湧いてきました。数年育ててみてブルーベリーが大好きになりました。ブルーベリー農家さんはどんなふうに栽培しているのだろうと興味が湧き、子どもと農園の摘み取り体験に出かけるようになりました。

ところが、プロが育てているはずなのに実の状態が良くないものがチラホラ。

小坂さん

農園によって差が出るのはなぜ?不思議に思い調べてみて、年によって実の状態や量・味にバラつきが多いのが地植え、 安定的に甘くておいしいのは養液栽培ということを知ったんです。それがわかれば養液栽培にチャレンジするしかない!と、ブルーベリーにハマり、栽培への興味も湧いてきました。

養液栽培を行っているブルーベリー園を探し、夫も巻き込みあちこちの農園へ。ネットで養液栽培のシステムを販売している会社も調べ、出会ったのがオーシャン貿易です。他社製品と比べた上で同社の『ブルーベリーバッグカルチャーシステム』を導入し、会社員を続けながら農園を開業することにしました。

小坂さん

夫も私も会社員で農業の経験はありませんが、偶然2人とも祖父母が米農家。子どもの頃に田んぼや畑で遊んだ記憶があったおかげか、農業を始めることに抵抗はありませんでした。夫も深刻に考えるというより、楽しいことをやろうという感覚で賛成してくれました。

100本からスタートとした農園。ぎゅうぎゅう詰めの見切り発車も直売所でまさかの完売!

ポットに専用の人工培地を充填し、苗木を植えつけたら、あとは点滴方式で各ポットに一滴ずつ灌水を行い、液体肥料も供給。最初に設定してしまえば、あとは365日機械が自動コントロールしてくれる『ブルーベリーバッグカルチャーシステム』。導入によって、冬場の剪定や春の摘果、防虫対策など栽培そのものに集中でき、不安なく新規就農に踏み切れたといいます。
一番苦労したのは土地の確保。広い土地で始めたかったけれど、なかなか思い通りにいきません。そこでまずは両親が所有する小さな土地を借り、通常より少なめのポット100本からスタートすることになったそう。

2022年に確保した土地は、駐車場と圃場を合わせて約1400坪。ここに600本のポットが並ぶ

ポットの間隔は70~80cm。ぎゅうぎゅう詰めの状態を見たオーシャン貿易の担当者から「株間が狭い」と心配されたそうですが、「売り上げ実績をつくって農地を借りたいから、できる限り多く!」と見切り発車。

小坂さん

2年目でちゃんと収穫できました。木が若いうちは若干味が薄いそうで、食べてみてそうかなとは思いました。それでも市販されているものに比べたら全然違う。「私がつくったブルーベリーの方が断然甘くておいしい」と自信を持ちました(笑)。収穫したものは農協の直売所で100g648円の値段で販売し、全て売り切ることができ、大好評でした。自分でこんなに美味しいブルーベリーをつくれるようになった事がすごく嬉しかったです。娘のつまみ食いが止まらず笑っちゃいました。

ブルーベリーには何十もの品種があり、『スプリングハイ』や『TH-605』など、500円玉大の大粒もあります。一般的な品種でも剪定や摘花方法にこだわって『ブルーベリーバッグカルチャーシステム』で育成すれば 市販品よりも大きさも味も高品質なブルーベリーができます。それらは「でかい粒が現れたぞ」と市場の仲買さんの間で話題になっていたとか。

小坂さん

家庭菜園で1本育てただけですから、なんの専門知識もありません。どの品種がいいのか、剪定はどうするのか、一から全て教えていただきました。葉に赤い斑点ができているのを見たときは、びっくりしてオーシャン貿易に電話。「これ、なんですか!?」とお聞きしました。「もう死ぬー」という勢いでしたね(笑)。それは斑点病で、致命的ではないと聞いてホッとしました。栽培に必要な設備や苗もオーシャン貿易から購入。導入後は電話のほか、写真や動画を撮影してSNSで共有し、アドバイスをもらえます。この手厚いフォローも心強かったです。
まずはオーソドックスな20品種から始め、品種ごとの生育状態や収量を日々観察してデータに集計。このデータが、後にポットを増やすときの貴重なベースになりました。

スイーツ、高校の課外授業、地域の未来を考える活動、そして家族。ブルーベリーがつなげた輪

「星碧」と書いて「きらぼし」と読ませる造語をブランドに。デザイナーさんと一緒に考えて決めた

100本で試験栽培を始めてから2年後、ようやく念願の広い農地を借りることができ、ポットは600本に。以前から考えていたスイーツ店とのコラボ商品の開発も本格化させ、地元の老舗和菓子屋さんや洋菓子店とともにパイやバウムクーヘンなどを開発して販売を開始しました。また、当初から考えていた摘み取り園の構想が実現し、2024年春にプレオープンに漕ぎつけました。このタイミングで勤めていた会社を退職し、専業農家として本格的な一歩を踏み出した小坂さん。

小坂さん

会社で経理をしていたので、数字の分析は慣れています。この先7年間の生活と農業経営を考えて計画も作成しています。

プレオープンで幼稚園の子どもたちを招くと、整然と並ぶポットの風景が珍しかったのか、歓声を上げながら園内を走りまわり、ブルーベリーの花を見て、お客さん同士が「きれい」「かわいい」と盛り上がっているのを見て、小坂さん自身もワクワク。その喜びは、ファームを超えて広がっていきます。また、近くの高校の課外授業に協力することになったそうです。

小坂さん

春から新一年生の課外授業に参加させてもらいました。最初の作業は草むしりからスタート。商品開発の企画が具体的になる頃には私は収穫で忙しかったので、生徒たちにはブルーベリーを託すかたちでしたが、自分たちで協力してくださる洋菓子店を見つけてきて、5つもの商品を作ったんですよ。商品はファーマーズマーケットで高校生と一緒に販売し、大好評でした。一次原料を生み出す農業の面白さが学びにつながったように思います。

「やってよかった。地域の子どもたちの成長に少しでも協力できたという充実感でいっぱいになりました、これからの展開にもワクワクします」と話します。また、地域の活性化に取り組む「こまつ未来創造塾」にも参加している小坂さん。地域課題をビジネスで解決していこうという自治体と商工会の取り組みに声をかけてもらいました。趣味で始めたブルーベリー栽培がこんなふうに広がっていくなんて、当初は想像もしていませんでした。

さらに、ブルーベリー栽培は家族の絆も強くしてくれたようです。
現在小学4年生の娘さんは、「ママが農家になった、かっこいい!」と言ってすすんで作業のお手伝いをしてくれているようです。同じく4年生の双子の息子さんも、きらぼしファームのTシャツを気に入って毎日着て通学し、すすんで作業のお手伝いをしてくれているようです。また、ファームを取り囲む防風柵は、会社員の夫が製作。コツコツと1人で単管を打ち込み約2年間もかけて完成させた防風柵が、小坂さんのブルーベリーを守っています。

娘さんも農園のお手伝いに積極的。コロナ禍で外出できないときもお手伝いをすることでストレス発散になったようだ。

来年はいよいよ摘み取り園のグランドオープン。農園の横にカフェもでき、お客様を迎え入れる準備は万端です。
大勢のお客様に来ていただきたいのはもちろんですが、小坂さんの頭の中ではすでに新たな構想が動き始めています。

小坂さん

収穫や摘み取り体験は6~8月だけなので、それ以外の時期をどうするかを考えています。独立を志す人のチャレンジショップとしてカフェを貸し出したり、スイーツの専門学校の生徒さんに実習場所として使ってもらったりする方法もありますね。自分たちで企画したお菓子をこのスペースで作り、実売していただいても面白そう!

『ブルーベリーバッグカルチャーシステム』を取り入れたことで、無理なく安定的なブルーベリーの栽培と農園経営に踏み出すことができた小坂さん。「このシステムを選んでよかった。ブルーベリーはきちんと手をかければ、20年後も収穫できるとか。毎年お世話の工夫をして結果が出るところが面白い。技術を高めて長くお付き合いできるので果樹栽培の楽しさが味わえますよ」と語ります。

ブルーベリー栽培に興味がある農業関係者、新規就農を考えている方、そして地域を元気にしたい自治体の方もぜひ、小坂さんの事例を参考に検討してみませんか。

『ブルーベリーバッグカルチャーシステム』の詳細はこちら

商品名

ブルーベリー人工培地養液栽培システム『ブルーベリーバッグカルチャーシステム』
初期導入コストの目安:100万円~600万円(税込)

お問い合わせ

オーシャン貿易株式会社 アグリ課
〒604-8134 
京都府京都市中京区六角通烏丸東入堂之前町254 WEST18 4階
TEL:075-255-2400
お問合せはこちら
https://www.oceantrading.co.jp/contact/?co-txt

取材協力

きらぼしファーム
石川県小松市林町み3番地
https://kiraboshiberry.com/

Instagram
https://www.instagram.com/kiraboshifarm/

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