キャベツ王国・嬬恋村で農業デビュー! 現地の生産者に聞く就農のリアル【前編・環境について】
日本有数のキャベツ産地として知られる群馬県嬬恋村。自然豊かな高原地帯で育まれるキャベツは、昼夜の寒暖差が生む甘みとみずみずしさで全国に知られています。今回は、就農希望者にも注目されるキャベツ栽培の魅力について、産地ならではの強みや働き方、手厚いサポート体制を、嬬恋村の田代地区で活動する農事組合法人かんらんAgriの中澤美穂さんに話をうかがいました。
■中澤美穂さんプロフィール
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嬬恋村にある「かんらんAgri」に所属し、キャベツ栽培に従事している。つまごい働きやすい環境づくり協議会のメンバーとして、就労環境の改善に積極的に取り組む。 |
キャベツの名産地、嬬恋村はどんなところ?
キャベツで有名な嬬恋村は、ウインタースポーツ、アウトドア、夏の避暑地や移住先としても人気です。気になる嬬恋村の環境について聞いてみましょう。
新規就農
希望者
中澤さん
まず自然が豊かで、四季折々の自然の中で過ごせます。軽井沢への交通の便が良いので、休みの日にお出かけもできるのも魅力だと思います。軽井沢へ行くとアウトレットがあってショッピングを楽しめます。
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暮らしと自然が近い高原地帯
新規就農
希望者
中澤さん
高原地帯なので感覚的に春が遅く、5月ぐらいに桜が咲きます。平地の1ヶ月後ぐらいに開花するので鯉のぼりと一緒に桜が楽しめます。昔は雪と桜と鯉のぼりが同時だったこともありました。
新規就農
希望者
中澤さん
最近は温暖化の影響もあってやや暑いですが基本は涼しいです。夜、暑さで寝苦しいことがないので家にエアコンがありません。夏はキャベツの一番の繁忙期です。
キャベツの話は後でじっくり聞くとして、秋の楽しみは何ですか。
新規就農
希望者
中澤さん
紅葉がきれいです。秋の味覚のきのこもおいしいですよ。
新規就農
希望者
中澤さん
雪は積もっても豪雪地帯ほどではありませんが、夜間の気温が最も低いときはマイナス10℃になるので結構冷えますね。
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雪遊びもできる嬬恋村の冬
新規就農
希望者
中澤さん
畑が雪に覆われて使えなくなるので、次のシーズンの準備だったりとか、機械のメンテナンスをしています。業務量はかなり減るので、休みの融通は利きやすいですよ。
新規就農
希望者
中澤さん
スノーボードは平日に半日で行けます。スノートレッキングをする人もいます。
自然豊かで四季がはっきりしていて、ウィンタースポーツや季節の味覚が楽しめるのはいいですね。
新規就農
希望者
中澤さん
温泉も多いです。私のおすすめは万座温泉で、秘境感が気に入っています。
キャベツだけでない?嬬恋村の農業について
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嬬恋村の特産物、夏秋キャベツの収穫
嬬恋村の農業といえばキャベツが有名ですが、他にはどんな農作物が育てられているのでしょうか。また、キャベツ栽培に適した環境や就農について、地域の農業事情に迫ります。
キャベツが有名ですが、それ以外にどんな農作物がありますか。
新規就農
希望者
中澤さん
キャベツ以外では、夏はトウモロコシです。寒暖差がある土地柄なので甘くておいしいです。秋口になると、特産品の花豆を煮豆や甘納豆にして食べます。ジャガイモもよく作られていますね。
キャベツ生産者は、そういった作物も作っていたりしますか。
新規就農
希望者
中澤さん
はい。大規模に作られている方もいれば、自分のお家で食べる分だけの方もいますが、大体皆さん作っていると思います。
嬬恋村のどういった環境がキャベツ栽培に適しているのでしょうか。
新規就農
希望者
中澤さん
高原地帯なので寒暖差が大きく、キャベツが水分を溜め込みやすく、みずみずしくて甘いものができます。また、近くに浅間山という火山があって、その黒土が水をよく貯めるいい土なので嬬恋のキャベツはおいしいと言われています。
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嬬恋村から見て南の方角にある浅間山(標高2,568m)
新規就農
希望者
中澤さん
キャベツは涼しい気候で育つので、一般的には冬から春に出回りますが、高原地帯の嬬恋は、夏秋キャベツといってほかの産地とは出荷時期が違うことが強みです。
キャベツは日本各地で作られていますが、就農するなら嬬恋の魅力は何ですか。
新規就農
希望者
中澤さん
協力機関の嬬恋農業協同組合が中心になってコミュニケーションの場を作ってくださるので、困ったときに相談しやすいと感じます。キャベツをメインにした農家さんがとても多いエリアならではだと思います。移住就農される方はまだ少ないので、農地の確保に向けたサポートなど、支援制度づくりはこれからさらに整ってくるのではないでしょうか。
就農するのであれば、まず法人で働いてみるのがいいかもしれませんね。
新規就農
希望者
中澤さん
そうですね。新規就農者の迎え入れや、現在働いている方も働きやすい職場であるように、地域のキャベツ農家数軒で「つまごい働きやすい環境づくり協議会」を組織したところです。キャベツ農家の元で働いてみたいという人はもちろん、将来独立を目指している人も生き生きと働けるよう、さまざまな取り組みを行っていく予定です。
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キャベツ栽培を働きながら学べる絶好の環境
嬬恋村のキャベツ生産者や農業法人を知る
嬬恋村の環境や農業がわかったところで、実際に働く先として選択肢になるキャベツ生産者や農業法人について聞いておきましょう。
新規就農
希望者
中澤さん
嬬恋村には約500軒のキャベツ農家や法人があると聞いています。群馬県最西部の田代地区が最も多く、私たちかんらんAgriの畑もこの地区にあります。
新規就農
希望者
中澤さん
本当にさまざまです。従業員を雇用している会社形態の農家さんもありますし、個人事業主で外国人実習生を数名入れてやっているアットホームな農家さんもあります。キャベツのほかに花豆などを出荷していたり、加工品を作るなど、6次化産業に取り組んでいる生産者さんもいます。
その中で、かんらんAgriさんはどのような法人ですか。
新規就農
希望者
中澤さん
キャベツ栽培がメインの小さな会社です。日本人4名、外国人実習生5人がメンバーです。オンオフのメリハリがはっきりしている雰囲気です。オフシーズンには社員旅行もあります。
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絶景のキャベツ畑が仕事場
ありがとうございます。キャベツをはじめとする嬬恋村の農業のイメージが湧いてきました!
新規就農
希望者
次の記事では年間スケジュールや繁忙期、働き方などについて詳しく紹介します。