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アジアでいちばん農薬基準が厳しい台湾向けのいちご産地づくりに初挑戦【令和5年度補正予算GFP大規模輸出産地生産基盤強化プロジェクト】

アジアでいちばん農薬基準が厳しい台湾向けのいちご産地づくりに初挑戦【令和5年度補正予算GFP大規模輸出産地生産基盤強化プロジェクト】

2024年10月17日、福岡県久留米市で「第一回北部九州いちご輸出サミット」が開催されました。このサミットを主催した「北部九州いちご輸出促進協議会」は、福岡県久留米市で福岡のブランドいちご「あまおう」を国内最大規模で栽培している「株式会社Uluu Japan」・「うるう農園」が中心となり、2024年2月に発足した新しい組織です。「株式会社UluuJapan」・「うるう農園」・「福岡ストロベリーパーク(あまおう生産者組合)」・「佐賀県 産業労働部 流通・貿易課」・「佐賀県 産業労働部 産業グリーン化推進グループ」・「株式会社日本農業」がメンバーに名を連ねています。今回は、同協議会の代表を務める古賀百伽さんに、活動状況や今後の展望についてお話を聞かせていただきました。

「北部九州いちご輸出促進協議会」は「令和5年度補正予算GFP大規模輸出産地生産基盤強化プロジェクト」を活用しながら、いちごの輸出を強化しています。

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北部九州いちご輸出促進協議会

・品目:いちご
・協議会長:株式会社Uluu Japan 古賀 百伽さん
・場所:福岡県
・輸出先:台湾、タイ、シンガポール、香港、マレーシア

北部九州いちご輸出促進協議会について

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うるう農園の商品

北部九州からアジアへ。いちごの輸出を通じて地方創生を実現

国内屈指のいちご産地である筑後川流域を中核とした北部九州。この地域でいちごを大規模に輸出する産地を形成し、「稼げる農業」による地方創出を実現することを目指して、2024年2月、「北部九州いちご輸出促進協議会」が発足しました。

協議会の代表を務める古賀百伽さんは、ご主人の智樹さんとともに2017年に就農し、翌2018年からいちご栽培を開始。2019年には福岡県の特別栽培認証を取得し、その年から2022年までの4年連続で「じゃらん九州人気いちご狩り施設グランプリ」に輝きました。順調に規模を拡大してきたものの、新型コロナウイルスの影響でいちご狩りの営業が制限される中、通販事業に注力。結果として通販事業が主力事業へと成長しました。また、未曽有の円安を受け、2022年12月から、香港やシンガポール、台湾への輸出事業を開始しました。

古賀さん

輸出の最低ロットは1パレット。640パックのいちごが必要です。私たちの生産数では心もとなかったため、周辺の農家さんに声をかけ5軒の農家で『福岡ストロベリーパーク』を立ち上げました

福岡という地の利を活かし、その日収穫したいちごをその日のうちに届ける仕組みを構築。さらに、台湾市場の厳しい農薬基準に対応することで、輸出事業の拡大に成功しました。一方で、生産規模の限界を受け、地域全体での生産体制拡大を目指し、福岡県や佐賀県、商社などの協力を得て、2024年2月、「北部九州いちご輸出促進協議会」が発足しました。

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北部九州いちご輸出促進協議会

官民連携で築く、いちご輸出の新たな時代

本協議会は、株式会社Uluu Japan、株式会社うるう農園、福岡ストロベリーパーク、佐賀県、株式会社日本農業で構成。いちご栽培技術の確立や物流コストの削減など、輸出拡大の基盤づくりに取り組んでいます。また、これらの活動をバックアップするための「いちご輸出大規模産地形成推進会」の設立準備も進められています。

北部九州いちご輸出促進協議会の取組内容

台湾市場の厳しい基準に対応する栽培技術と品質管理

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うるう農園 ハウス内

協議会では、台湾市場の厳しい残留農薬基準をクリアした高品質ないちごの輸出を推進しています。現在、約1400軒のあまおう農家のうち、台湾への輸出可能な栽培を行うのは5軒のみ。「うるう農園」は、福岡県の特別栽培認証を取得し、農薬や化学肥料の使用量を大幅に削減しています。しかし、台湾ではさらに厳しい規制が課されており、使用可能な農薬の選定や天敵利用、捕虫器の活用など、環境にやさしい栽培技術の普及に努めています。

ブランド力向上と旧正月等の需要で広がる輸出の可能性

近年、韓国産や中国産の果物の品質が向上。台湾以外の国への輸出は価格競争となりつつあります。このため、輸出のハードルが高い台湾市場への輸出拡大は、日本産いちごのブランド力向上につながります。さらに、減農薬いちごの需要が高いシンガポール市場や、欧米諸国への展開も期待されています。また、国内ではクリスマスや年末年始に向けて需要が高まり、価格が上昇しますが、中国や台湾、韓国、マレーシアなどでは旧正月に向けた需要増加が見込まれます。このように、国内価格が落ち着く時期に輸出先で価格が上昇することで、安定した収益が見込める点も輸出の大きなメリットなのです。

輸送課題を乗り越える梱包資材や新品種の開発を

「あまおう」は、その優れた味わいで国内外での高い人気を誇っていますが、比較的やわらかい品種であるため、輸送中に痛みや変形が生じやすいという課題があります。また、温暖な時期には鮮度を保つことが難しく、例年4月頃を境に輸出を停止しています。これらの課題を解決するため、輸出に適した梱包資材の開発や、輸送耐性の高い新品種の開発が求められています。

「食味が現地の好みに合致」「果実及び果皮が硬い」「病害虫への抵抗性に優れる」等の性質を持った品種開発のために農研機構(※)、佐賀大学、関係自治体等の協力を得ながら取り組んでいきます。青果のみならず、加工食品の開発にも取り組んでいく予定です。
※国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

韓国視察やアジア各国での販促活動で広がる輸出の未来

2024年5月、協議会のメンバーは韓国・釜山郊外のいちご産地を視察。「韓国では国を上げた技術向上と輸出促進に取り組んでおり、若者の新規就農者も増えていることを知りました。また、大規模ないちご団地も存在し、協議会のメンバーたちは多くの学びと刺激を得て帰国。日本も負けてられない!と、改めて感じるきっかけとなりました」と古賀さん。同年10月にはシンガポールで開催された展示会にも参加し、取引先を大幅に拡大。2025年1月には、タイや台湾での販促活動も予定しており、さらなる輸出先開拓に取り組んでいます。

北部九州いちご輸出促進協議会の今後

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福岡ストロベリーパークの商品

売上倍増で切り開く、地域農業の新たな可能性

協議会全体として、香港・台湾・タイ・シンガポール・マレーシアとの取引額として2024年度は約2,500万円、2025年度の目標は倍の約5,000万円に設定されています。
今後も輸出事業を通じて地域農業の新たな可能性を切り開き、持続可能な発展に向けたモデルケースとなることが期待されています。

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各国の取引額・取引量(2025年の数値は目標値)

有機JAS認証取得や新農場開設など果敢に挑戦!

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古賀百伽さん

協議会の中核を担う「うるう農園」は、2027年の有機JAS認証を目指す一方で、2025年には佐賀農場の開設を予定しています。これによって、グループ合計の耕作面積は1.9haに拡大。

古賀さん

これまで取り組んできた減農薬栽培の技術やノウハウを共有し、協議会全体の品質向上を図り、さらなる輸出促進に取り組んでいきます

古賀さんご夫妻を中心とした協議会のチャレンジはまだ始まったばかり。今後のさらなる発展に注目が集まります。

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