そもそもマルシェとは?意味や定義
マルシェ(marche)はフランス語で「市場」を意味する言葉です。日本では「ファーマーズマーケット」や「青空市」と同じような意味合いで使われており、生産者と消費者が直接顔を合わせて、商品の売買を行う場です。ビルのエントランス前広場や地下歩道を使った都市型マルシェ、駅前や商業施設の敷地内で行われる地域密着型マルシェなど形態はさまざま。場所は駅前や商業施設内、地元の祭りやイベントの会場に併設して開催される場合もあります。また、地域の伝統的な朝市などもマルシェのひとつと言えます。
フリーマーケットとの違い
フリマ(フリーマーケット)は「蚤の市」を意味する英語が基になっており、不用品が再販される場所です。主に自宅で使われなくなった中古品が多く販売され、掘り出し物を安く手に入れる楽しみも。リユース・リサイクルへの意識の高まりや物価高の影響もあり、人気です。最近ではマルシェとフリマを同時に行っているケースも多くあります。
フランスのマルシェとの違い
日本におけるマルシェは非日常的なもので、ごく短期間のイベントとして行われるものが大半です。一般的には不定期開催で、開催期間も短いのが特徴です。一方で発祥の地であるフランスでは、マルシェは「日常」そのもの。小さな街でもごく日常的に行われています。多くは開催される日や曜日、時間が決まっているためリピーターになりやすく、生産者と消費者の間に信頼関係も生まれやすい特徴があります。
マルシェに出店するメリット
常設の店舗を持つのに比べて低コストで、比較的気軽に出店できるのがマルシェの大きなメリットですが、他にもさまざまな利点があります。また、消費者と直接交流できるマルシェは、売上以外に多くの出会いや気付きを得る機会にもなります。
消費者と交流できる
マルシェは、自分たちの農作物を買って食べてくれる消費者と直接交流できる貴重な機会です。生の声は消費者のニーズや動向を知るヒントになり、リピーターからは味の感想などのフィードバックをもらえる場合も。マルシェで会話をして買ってくれたお客さまが定期的に通販で購入してくれるようになる等のケースもあるので、積極的にファンを増やす場としても活用したいものです。
また、興味を持って買ってもらえたり、おいしかった!という言葉が聞けたりするのはうれしいものです。お客さまの顔を見て直接コミュニケーションを取ることが、農作業のモチベーション維持につながるという生産者も多くいます。
商品を知ってもらえる
マルシェは商品を売る場所ですが、直接的な売り上げにならなくても、知ってもらうきっかけになります。マイナーな野菜や果物などは、まず実物を見て広く知ってもらう機会としてマルシェを活用するのもひとつの方法。農園や生産者の名前を覚えてもらうチャンスにもなります。目に留まりやすくなるようディスプレイやPOP、ノボリなども工夫してみましょう。
他の農家と交流できる
マルシェには多くの農家や生産者が集まります。地元開催のものはもちろん、遠方のマルシェに出店する場合は、これまでまったく交流のなかった同業者と知り合う機会も多くなります。情報交換ができたり、同じ志を持つ仲間が増えたりというメリットも見逃せません。
マルシェに出店するデメリット
マルシェへの出店にはさまざまなメリットがありますが、事前に知っておきたい注意点もあります。
マルシェごとに集客数が異なる
マルシェによって集客数はさまざまです。期待したほどお客さんが来ず在庫が余ってしまうこともあれば、早々に売り切れてしまい、もっと持って来れば良かったと後悔するケースも。事前にSNSで告知するなど、主催者任せにせず自分でも集客への工夫をしてみましょう。
天候の影響を受ける
マルシェ当日の天候は、当日まで分からないもの。特に屋外開催のマルシェでは、急な雨や寒さなどの影響で思ったほど集客数が伸びないケースもあります。また近年は季節を問わず暑さがネックになることもあります。痛みやすい野菜や果物、生鮮食品等を販売する場合は、適切な品質管理ができるよう準備が必要です。
準備や後片付けの手間がかかる
マルシェに出店するためには、商品に加えてディスプレイやPOPの準備や後片付け等の手間が掛かります。また、当日の出店作業と接客にも人手が必要になります。農作業とマルシェそれぞれに人員を配置できるよう、余裕を持った計画を立てましょう。特に初めての出店では予想以上に準備に手間取り、時間や費用が掛かる可能性もあります。
マルシェに出店する前の確認事項
マルシェへ出店する前にチェックしておきたい確認事項です。
開催内容や出店条件
コンセプトや出店のための条件はマルシェによって異なります。特定地域の生産者や、無農薬・有機栽培している生産者を優先などの条件が設けられていることも。主催者から出店希望者への事前面談が行われる場合もあります。
会場へのアクセス方法
駐車場の有無や駅からのアクセスなどは、集客数を左右する重要な要素です。駐車場が少ない、駅から遠いなどアクセスが悪い会場は客足が遠のき、出店の準備も大変になりがちです。また、特に首都圏などでは鉄道の路線によって客層が異なる点にも注意が必要です。客層に合わせて、販売する商品を調整しても良いかもしれません。
備品レンタルの有無
出店する区画の大きさに合わせて必要な備品を確認します。一般的にはテーブルや椅子、テント、電源などが必要になります。マルシェによってレンタル備品の有無が異なるので、早めに確認してみてください。
マルシェに出店する際の流れ
希望のマルシェに申し込む
出店したいマルシェの運営元に連絡し、申し込み手続きを進めます。ウェブサイトに出店条件などの記載がある場合は、詳細を確認します。過去の開催実績なども参考になります。
書類・面接審査を受ける
一般的には、自社の概要や出店希望動機、店舗の内容、取り扱い商品などを申し込みフォームに記入して申請します。出店申し込みと同時に書類審査が行われ、マルシェによっては面接審査もあります。審査に通過すると、マルシェへの出店が確定します。特に人気のマルシェでは、申し込みが殺到して抽選となるケースもあります。
備品をそろえる
割り当てられた販売スペースに設置する什器やテーブル、椅子、電源などを準備します。主催者が用意しているレンタル備品が無い場合は全て出展者が自分でそろえる必要があります。あえて無骨なコンテナを使うのか、おしゃれなかごに盛るのかなど、商品に合わせたディスプレイも工夫してみてください。
PRのためのPOPやチラシ、QRコード付きのショップカードなどの販促用グッズも合わせて準備しましょう。コストが気になる場合も、まずはInstagramアカウントのQRコードを掲示するだけでも良いので積極的に告知をしてみましょう。
自分たちでマルシェを主催するには?
自分たちでマルシェを主催することもできます。やるべきことは多いので、知り合いの農家などの協力者を見つけ、運営の役割分担をして進めると効率的です。
マルシェの開催場所を確保する
レンタルスペースなどを探して、マルシェの開催場所を確保します。コンセプトや時期によって、適した場所を選びます。
出店者を募る
ウェブサイトやSNS、ポスターなどを使ってマルシェの出店者を募集します。マルシェのテーマやコンセプトに沿った出店者を集めましょう。
保健所で手続きをする
必要に応じて、管轄の保健所で手続きを行います。
食品を調理・加工して提供するには飲食店営業の許可が必要ですが、一般的に地域の祭りなど公共性の高い行事では仮設設備での臨時営業が認められるとされています。自治体によって必要な手続きやルールが異なるため、詳細は管轄の保健センター・保健所等に問い合わせてください。
必要な備品をまとめる
テントやテーブル、什器などの大きなものから、レジ袋や値札、ごみ袋、包装用の新聞紙やチラシなどの細かいものまでマルシェ用の備品を準備し、まとめます。電源の確保も重要です。特に電子決済システムの利用に欠かせないタブレットやスマートフォンの充電ができる環境を整えておきましょう。簡単な備品チェックリストを作ると効率よく管理できます。
POPやチラシを作成する
自ら主催者となる場合は、マルシェそのものの告知を充分に行う必要があります。
近隣の店舗や取引先などにポスターを掲示させてもらう、チラシを配布するなどして広く周知しましょう。自分の店を出す場合は、店のPOPやチラシ、ショップカードなどと合わせて準備します。
ホームページやSNSで告知する
開催日が決まったら、自分のウェブサイトやSNSで告知します。目に付きやすい場所にマルシェに関する投稿を固定するのも効果的です。告知を見た知人やフォロワーがSNSで拡散してくれる可能性もあるので、分かりやすく必要な情報を網羅した投稿を心掛けたいものです。
決済方法を準備する
マルシェ当日の決済方法を準備します。キャッシュレス決済が広く浸透している現在、現金をあまり持ち歩かない消費者も増えてきました。現金だけでなく、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済などを利用できる電子決済システムも導入すると消費者に喜ばれます。AirPayやSquareなどのシステムが広く使われています。
マルシェを活用して販路拡大を!
実店舗を持つのに比べて低コストで、比較的気軽に出店できるマルシェ。顧客から商品に対する意見が聞けたり、近隣住民への認知を広げられたりと、売り上げだけでは測れないメリットもあります。市場調査や販路拡大の機会として、マルシェを活用してみてください。