さまざまあるキャベツの種類
キャベツはヨーロッパ原産のアブラナ科アブラナ属の野菜で、古代ギリシャ・ローマ時代から食用とされてきました。日本へは江戸時代末期に伝わり、明治時代に本格的な栽培が始まりました。戦後に消費が急増し、身近な野菜のひとつになりました。和名は甘藍(かんらん)と言います。
キャベツには作型による分類と種類による分類があります。作型は、春まき型(3~6月播種、7~10月収穫)、夏まき型(6~8月播種、11~4月収穫)、秋冬まき型(9~10月播種、4~7月収穫)があり、一年を通して市場に出回っています。
ここでは、キャベツの種類ごとの特徴を紹介します。
春キャベツ
春玉とも呼ばれ、巻きが緩く、葉はみずみずしく柔らかいので、サラダなどの生食用にも向いています。秋冬まき型がこれに当たり、3〜5月が出荷の最盛期です。愛知、神奈川、千葉が主な産地。
冬キャベツ
寒玉とも呼ばれ、巻きが固く、形は扁平。葉は厚く甘みがあり、煮崩れしにくいので煮込み料理に向いています。夏まき型がこれに当たり、11〜3月が出荷の最盛期です。愛知、神奈川、千葉が主な産地。
夏秋キャベツ
夏から秋に収穫され、春キャベツと冬キャベツの中間的な特徴があります。
巻きはしっかりとしてずっしり重く、葉はみずみずしく柔らかで甘みが強く、生食にも加熱調理にも適しています。春まき型がこれに当たり、8~9月が出荷の最盛期です。群馬県嬬恋村をはじめ、岩手、北海道、長野が主な産地。冷涼な高原地帯で栽培されるため、高原キャベツとも呼ばれています。
グリーンボール
丸玉とも呼ばれ、小ぶりで丸く、葉の中まで緑色をしています。肉厚のわりに柔らかく、生食に適しています。秋まきは4~5月、春まきは6~9月が出回り時期。茨城県、長野県が主な産地です。
芽キャベツ
キャベツの芽ではありません。キャベツの一種で、茎にピンポン玉大に結球したわき芽を大量に付け、1株から50〜60個収穫することができます。ほろ苦さが特徴で、加熱調理すると甘みが引き出されます。出荷時期は11~3月で2月が旬。静岡が主な産地です。
紫キャベツ
赤キャベツとも呼ばれます。一般的なキャベツと比べて肉厚で巻きも堅い。葉の表面は紫色ですが葉肉は白。ピクルスや料理の彩りに多く利用されています。生産量は少ないながらも、全国各地で栽培され、周年で出回っています。
キャベツの栄養成分
ビタミンC、カルシウムなどの栄養成分が豊富です。アミノ酸スコア(食品に含まれる必須アミノ酸のバランス)も高く、キャベツ特有の栄養素としてビタミンUが含まれています。ビタミンUは、キャベジンとも呼ばれるビタミン様物質で、胃炎や胃潰瘍などの回復に効果があるとされています。
また、紫キャベツにはポリフェノールの一種であるアントシアニンが含まれています。
春キャベツの選び方
春キャベツの選び方のポイントを紹介します。
巻きが緩い
巻きが緩くふんわりとしたものを選ぶと、おいしいキャベツに出会えます。
芯の切り口が黄色っぽい
芯の切り口が黄色っぽいものが新鮮なキャベツです。時間が経つと芯の切り口は緑色になり、更に芯の切り口が黒ずんだり、割れているものは鮮度が落ちている可能性があります。
鮮やかなグリーンの葉
葉が鮮やかなグリーンで張りと艶のあるものは、新鮮で栄養価も高く生食に適しています。
ふんわり軽い
一般的に春キャベツは、冬キャベツほどの重さはありません。巻きが緩くふんわりとしていて見た目の割りに軽いものが、葉が柔らかく生食に向いています。
冬キャベツの選び方
冬キャベツの選び方のポイントを紹介します。
巻きがしっかりと固い
葉がしっかりと巻かれて固く詰まっているものは、煮崩れしにくく、甘くておいしいキャベツです。
芯の切り口が白い
新鮮なキャベツを選ぶには、芯の切り口が白く500円玉程度の大きさのものが良いでしょう。、芯が黒ずんでいたり、割れているものは鮮度が落ちている可能性があります。
ずっしりと重さがある
手に持ったときずっしりと重いものは、水分をたっぷり含んだみずみずしいキャベツです。
外葉が濃い緑色
カロテンは外葉に多く含まれているので、一番外側の葉が濃い緑色で艶があり、外観が良いものを選ぶと、栄養価の高いキャベツに出会えます。
オールシーズン通用するキャベツ選びの基本
芯の大きさが適度
丸ごとのキャベツは、芯の直径が500円玉大のものが良質です。小さいものは成長し切れておらず青臭い可能性があり、大きいものは生長が進みすぎて苦みが強い可能性があります。
外葉が緑色で厚みがある
外側の葉が濃い緑色で厚みのあるキャベツは、十分な光合成で栄養を多く蓄えていると考えられます。
カットしたキャベツの選び方
半分にカットされたキャベツは、芯の短いものを選ぶと主な可食部である葉の割合が多くなります。切り口が白いものが新鮮です。
キャベツの保存方法
キャベツは中心から水分が抜けていくので、包丁の刃先で芯をくりぬき、湿らせたキッチンペーパーを詰めた後にポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します(保存期間の目安:2~3週間)。 使うときは外の葉からはがして使うと長持ちします。カットしたものは湿らせたキッチンペーパーなどで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。
丸ごとのキャベツは、新聞紙で包んで冷暗所に置いても構いません。
キャベツの見分け方で外せない3つのポイント
1.形で見分ける
春キャベツはふんわりと巻いて球形か縦長、夏秋キャベツは球形のものが多く、冬キャベツは巻きが固く扁平な楕円形をしています。
2.色で見分ける
春キャベツは、内部まで葉が黄緑色をしています。夏秋キャベツは外側が緑色で内側にいくほど白っぽくなります。冬キャベツは、内部の葉が白っぽい色をしており、寒さで外葉にアントシアニンが生成されて紫色になることがありますが、品質には影響ありません。
3.重さで見分ける
春キャベツは見た目より軽いもの、夏秋キャベツと冬キャベツはずっしりと重さを感じるものが良質です。
冬キャベツと春キャベツ、選び方は真逆
キャベツは通年出回る野菜ですが、季節ごとの品種で選び方のポイントが大きく異なります。冬キャベツは巻きがしっかり詰まり、ずっしりと重く、芯が白く小さいものが良品。煮込み料理にぴったりの甘く濃厚な味わいが楽しめます。一方、春キャベツは巻きが緩く、ふんわりと軽く、葉がみずみずしく柔らかいものが新鮮な証。サラダなどの生食に向いています。このように「しっかり重い」が良い冬キャベツと、「ふんわり軽い」が良い春キャベツでは、選ぶ基準が正反対。季節に合わせた見分け方を知ることで、よりおいしくキャベツを味わうことができます。