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今年の夏はブルーベリーを堪能しよう!観光農園や道の駅、スーパーで買える人気のブルーベリー25種をブルーベリー農家の息子が解説

itoh.tomohiro

ライター:

今年の夏はブルーベリーを堪能しよう!観光農園や道の駅、スーパーで買える人気のブルーベリー25種をブルーベリー農家の息子が解説

輸入ものの冷凍ブルーベリーではなく、摘みたての国産フレッシュブルーベリーを食べた経験はありますか?私は自分で摘んだブルーベリーを初めて食べた時の衝撃と感動を今でも覚えています。それまで抱いていた酸っぱいイメージが一気に吹き飛んで、甘味と酸味の絶妙なバランスに魅了されてしまったのです。そこで本記事では、ブルーベリーン農家の息子でもある筆者が、この夏におすすめなブルーベリーの品種をご紹介!それぞれの味わいや特徴について解説していきます。

急速に家庭になじんできたブルーベリー

ブルーベリーが身近になった一番の理由は「人工培地養液栽培」の確立だと考えます。おいしいブルーベリーが容易に栽培できるようになったことで生産者が激増し、毎年6月ごろになるとブルーベリー農園の摘み取り体験がテレビで特集されるようになりました。

筆者の実家(愛知県新城市)では20年ほど前に両親が地植えでブルーベリーを育てはじめたのですが、当時はとても珍しがられました。しかし、現在では近隣にたくさんの生産者がいて、シーズンになると地元の道の駅にさまざまな種類のブルーベリーが並ぶようになっています。

ブルーベリーの品種はなんと300種以上!

そんなブルーベリーは日本だけでなく世界中で広がりを見せ、品種の数は300〜400とも言われています。長く人気を保っている品種もありますが、新たな品種も次々と発表されています。2020年には京都大学と公益財団法人かずさDNA研究所、そして米国農務省の国際共同研究によって137品種のゲノム解析が行われ、そこで得られた貴重なデータを元に品種改良が更に進むことが期待されています。

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ブルーベリーの人気品種25種をご紹介!

今回の記事では、観光農園や産地の道の駅、スーパーなどで食べられる人気のブルーベリーを25種紹介していきます。筆者の視点からになりますが、大きさ、甘さ、酸味、食感も数値化してみました。

ただし、ブルーベリーは同じ樹になる実でも大きさがかなりまちまちで、完熟具合によって甘みや酸味、風味、食感まで変わります。また、甘味と酸味のバランスがとても重要で、甘味が強ければおいしいというわけではないのがブルーベリーの面白いところ。

食感に関してもパリッとしたものや柔らかなもの、ジューシーなものなど、食べる人の好みに大きく左右されるため、あくまで目安としてくださいね。

それでは系統別に25種、はりきって行ってみましょう!

サザンハイブッシュ系統

近年、急激に発展しているのがサザンハイブッシュ系統です。ブルーベリーの原種は暑さに弱かったのですが、耐暑性を備えた品種が続々と登場しています。

サザンハイブッシュ系統の登場によってペルーの砂漠エリアがブルーベリー畑に変わり、たった15年ほどで世界トップシェアを争う生産国にのしあがるという現象も起きています。

ユーリカ

大きさ:★★★★★
甘 味:★★★★★
酸 味:★★★
食 感:★★★★

原産国:オーストラリア
収穫時期:6月上旬〜

オーストラリアのMBO社が2010年に発売した品種です。粒の大きさとパリッとした食感が特徴です。ブルーベリーの収穫時期は6月〜8月が一般的なのですが、主要生産地の浜松ではハウス栽培によって何と1月からユーリカの出荷が始まります。

オニール

大きさ:★★★
甘 味:★★★★
酸 味:★★★★
食 感:★★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:6月上旬〜

1987年にノースカロライナ州立大学と米国農務省の共同育成で発表された品種です。皮が薄めで滑らかな舌ざわりが特徴で、甘みも感じられます。病害虫に強く育てやすいためブルーベリー栽培の入門品種としても人気があります。

スノーチェイサー

大きさ:★★★
甘 味:★★★★★
酸 味:★★
食 感:★★★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:6月上旬〜

2005年にフロリダ大学で開発・発表された品種です。皮が薄いためパリッとした食感で、酸味が少ないので濃厚な甘みがより強く感じられます。実の大きさはそれほど大きくなく中程度です。

トワイライト

大きさ:★★★★★
甘 味:★★★★
酸 味:★★★
食 感:★★★★★

原産国:オーストラリア
収穫時期:6月中旬〜

オーストラリアのMBO社が育成した品種です。とても大粒で500円玉サイズの実ができることもあります。実も硬めでパリッとした食感を楽しめます。日本ではブルーベリーの苗木販売で有名な大関ナーセリーが扱っています。

シャープブルー

大きさ:★★★★
甘 味:★★★★
酸 味:★★★
食 感:★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:6月中旬〜

フロリダ大学のシャープ博士による育成で、1975年に発表された品種です。酸味より甘味が強く、果肉が柔らかくジューシーです。丈夫で育てやすく、果実生産量も高いので多くの観光農園で育てられています。

サンシャインブルー

大きさ:★★
甘 味:★★★★
酸 味:★★
食 感:★★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:6月中旬〜

1979年にフロリダ州のエリオット博士によって発表された品種です。実は小さめですが甘みは強く感じられます。1本でも実を付けやすい自家結実性があり、耐暑性・耐陰性も高いのでベランダ栽培に適しています。

ミスティー

大きさ:★★★
甘 味:★★★★
酸 味:★★★
食 感:★★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:6月下旬〜

フロリダ大学の育成で、1990年に発表された品種です。豊産性で収穫量が非常に多く、九州南部や沖縄などの温暖なエリアに向いています。実は硬めで裂果が少なく、甘酸っぱいブルーベリーらしい味わいです。

ノーザンハイブッシュ系統

筆者が最も好きなのがこの系統です。甘味の中にしっかりと酸味も感じられ、ブルーベリーならではの爽やかな風味も楽しめます。大きさ・品質ともに優れている「ビッグセブン※」と呼ばれる7品種があるのですが、その全てがノーザンハイブッシュ系統です。
しかし北方系のノーザンハイブッシュは暑さに弱く、温暖化の影響で育てられる地域が少なくなっていくような状況です。近い将来、東北や北海道でのみ栽培されるようになるかもしれません。

※コビル/バークレイ/アーリーブルー/ブルークロップ/ハーバート/ブルーレイ/コリンズの7品種

バークレイ

大きさ:★★★
甘 味:★★★
酸 味:★★★
食 感:★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:6月中旬〜

1949年にアメリカで発表された古い品種で、育てやすくおいしい「ブルーベリーのビッグ7」のひとつに選ばれています。穏やかな酸味で食べやすく、病害虫にも強いため家庭菜園でも根強い人気があります。

ブルークロップ

大きさ:★★★
甘 味:★★★
酸 味:★★★★
食 感:★★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:6月中旬〜

1952年に発表されたブルークロップも「ブルーベリーのビッグ7」のひとつ。甘みと酸味のバランスが良く、世界で最も人気がある品種です。耐寒性と病害抵抗性が強く、収穫量も多いのが世界で支持される秘密です。

ブルーレイ

大きさ:★★★★
甘 味:★★★
酸 味:★★★★★
食 感:★★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:6月下旬〜

1955年に発表された古い品種で、ノーザンハイブッシュ系統ながら耐暑性に優れているため日本でも広く栽培されています。「まるでリンゴのよう」と形容される独特の風味があり、果実の裂果も少ない優良品種です。

デューク

大きさ:★★★
甘 味:★★★
酸 味:★★★
食 感:★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:6月上旬〜

米国農務省とニュージャージー州立農業試験場が共同で育成し、1986年に発表された品種です。皮が硬めで鮮度保持性が高いのが特徴です。グラフにするとオール3の評価ですがバランスが良くとてもおいしいブルーベリーです!

スパルタン

大きさ:★★★★
甘 味:★★★★
酸 味:★★★
食 感:★★★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:6月上旬〜

1977年にアメリカで発表されたブルーベリーの代名詞と言えるような品種です。食べ応えがあり、パリッとした食感。甘味と酸味のバランスが良く爽やかな風味を楽しめますが、枯れやすく栽培が難しい貴重なブルーベリー品種です。

チャンドラー

大きさ:★★★★★
甘 味:★★★
酸 味:★★★★★
食 感:★★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:6月下旬〜

米国農務省の育成で1994年に発表された超特大のブルーベリー品種です。果肉が柔らかめなので桃のようなフルーティーさを感じます。500円玉サイズになることもあり、その大きさから観光農園でも人気があります。

エリザベス

大きさ:★★★★
甘 味:★★★
酸 味:★★★★
食 感:★★★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:6月下旬〜

アメリカ・ニュージャージー州でクランベリー・ブルーベリー園を経営していたW.エリザベスさんによる選抜で1966年に発表された品種です。皮が薄く、香りが強いのが特徴で、上品かつ極上の風味と表現されています。

リバティ

大きさ:★★★★
甘 味:★★★★
酸 味:★★★★
食 感:★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:7月上旬〜

2003年にミシガン州立大学から発表された比較的新しい品種ながら、収穫後の日持ちがいいため世界中でシェアを伸ばしています。多くの観光農園で導入されているので、フレッシュかつ芳醇(ほうじゅん)な味をぜひ試してみてください。

ラビットアイ系統

ラビットアイ系統で特筆すべきは、その生命力(樹勢)の強さです。上へ上へとグングン伸びていきます。ハイブッシュ系に比べると酸味が少なく、色も濃いめでコクのある味わいです。
実が幼いときに赤く色付くためラビットアイという名前が付いたと言われています(諸説あり)。とても育てやすく、実が赤から紫色に変わっていく様子を観察するのも楽しい系統ですよ。

ティフブルー

大きさ:★★★★
甘 味:★★
酸 味:★★
食 感:★★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:8月上旬〜

1955年に発表された古い品種ですが、今なお人気があります。交配親が共に野生からの選抜種で、ラビットアイ系統の多くがティフブルーから交配されています。完熟果はとてもおいしいのですが、雨が降ると裂果しやすいという弱点があります。

ホームベル

大きさ:★★★
甘 味:★★★
酸 味:★★★
食 感:★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:8月上旬〜

米国農務省とジョージア州沿岸平原試験場による共同育成で1960年に発表された歴史ある品種。小ぶりだけど甘い実がたわわに実り、病害虫にも強いので家庭菜園にもおすすめです。

ブライトウェル

大きさ:★★★★
甘 味:★★★
酸 味:★★
食 感:★★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:7月上旬〜

米国農務省とジョージア州沿岸平原試験場による共同育成で1981年に発表されました。ラビットアイ系統の中でも特に生食に向いている品種です。完熟すると酸味がほとんどなくクセもないスッキリとした味わいです。

フロリダローズ

大きさ:★★★★
甘 味:★★★★
酸 味:★★★
食 感:★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:7月中旬〜

2002年にフロリダ大学が発表したフロリダローズは、熟しても実が紫色にならずにローズピンクになるとても珍しい品種です。豊産性があって甘みと香りが高いのが特徴で、写真映えするので観光農園でも人気です。

タイタン

大きさ:★★★★★
甘 味:★★★
酸 味:★★★
食 感:★★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:7月下旬〜

アメリカ・ジョージア大学のネスマイス博士によって2012年に発表された特大品種です。ブルーベリーの中でも最大級の果実がたわわに実り、ラビットアイ系統にありがちな舌に残るザラザラ感が少ないのが魅力です。

デライト

大きさ:★★★★
甘 味:★★★★
酸 味:★★
食 感:★★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:7月下旬〜

ジョージア州沿岸平原試験場と米国農務省との共同育成によって1969年に発表された品種です。暑さにとても強くフルーティーな味わいの品種で「青リンゴのよう」と形容される爽やかな風味を感じられます。

ラヒ

大きさ:★★★★
甘 味:★★★
酸 味:★★★
食 感:★★★

原産国:ニュージーランド
収穫時期:7月下旬〜

1992年にニュージーランド園芸食品研究所で発表された品種です。果実の表面が白っぽく見えるブルームが多く、収穫後の日持ちが良いのが特徴です。マオリ語で「大きい」「たくさん」といった意味があります。

フクベリー

大きさ:★★★★
甘 味:★★★★
酸 味:★★★★
食 感:★★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:8月中旬〜

日本ブルーベリー協会の福田俊さんが育成し、2006年に農林水産省へ品種登録申請された品種です。甘さと酸味のバランスが良く、皮も薄いのでハイブッシュ系に似た雰囲気があるとてもおいしいブルーベリーです。

ハイブリッド系統

アメリカを中心に研究が進むブルーベリーは、異系統の交配によって「ハイブリッド」と呼ばれる系統も生み出されています。ハイブッシュ系統とラビットアイ系統の掛け合わせやハイブッシュ同士の掛け合わせによるユニークな特徴を持つ品種が発表されています。

ピンクレモネード

大きさ:★★★
甘 味:★★★★
酸 味:★★
食 感:★★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:6月下旬〜

ノーザンハイブッシュ系とラビットアイ系を交雑して育成された品種で、2005年に米国農政省から発表されました。美しいピンク色のビジュアルとレモネードのような風味が印象的で、観賞用としても人気があります。

レガシー

大きさ:★★★★
甘 味:★★★★
酸 味:★★★★
食 感:★★★★

原産国:アメリカ
収穫時期:6月下旬〜

1993年に米国農務省とニュージャージー州立農業試験場が共同で発表した品種で、ノーザンハイブッシュ系とサザンハイブッシュ系のハイブリッド。暖地から寒冷地までの幅広い地域で栽培が可能です。

筆者オススメの3種はこちら!

・スパルタン
・ユーリカ
・ホームベル

ブルーベリーの観光農園で見つけたら必ず試してほしいのが、次の3つの品種です。まずはそのおいしさからキング・オブ・ブルーベリーと評される「スパルタン」。栽培が難しいため、ブルーベリー生産者にとってチャレンジングな品種でもあります。
そしてユーリカはここ数年で一気に市場に出回り始めた大粒でおいしい超早生のブルーベリー。他の品種に先駆けてフレッシュなおいしさとパリッとした食感を堪能できます。
3つ目のホームベルは、ジャムにしたときに真価が発揮されます。小粒だけど濃密な甘味がしっかり乗っているので、手作りジャムをヨーグルトやパンに加えると最高の気分になれますよ♪

注目を集めるユニークな3種はこちら!

・ピンクレモネード
・フロリダローズ
・チャンドラー

テレビでブルーベリー農園が特集されると、かなりの確率で紹介されるのが上記の3品種です。ピンクレモネードとフロリダローズは完熟しても紫色にならず、美しいピンク色になるためSNS映えします。ピンクレモネードはアメリカの園芸ショーで最高の新品種の名誉を受けた品種でもあります。
そして、500円玉レベルまで大きくなるチャンドラーは、インパクト抜群の存在感。観光農園でも大いに目立つので子どもにも人気です。

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クラフティとはフランスの伝統お菓子のことで、カスタード生地をフルーツと一緒にタルトなどの型に流し込んで焼いたもの。温かいままでも冷やしてもおいしいので、ちょっと時間が空いた時に作っておきたいですね。

この夏は、ブルーベリー農園でたくさんの品種を試してみよう!

この10年ほどで全国に広がったブルーベリーの観光農園では、さまざまな品種を食べ比べすることができます。同じ系統でも風味や舌ざわりに違いがあることや、同じ樹に実ったブルーベリーでも大きさや甘さに大きな違いがあることに驚くと思います。

ブルーベリーの観光農園は6月中旬ごろにオープンして8月下旬ごろにシーズンを終えるところが多いのですが、実は、旬の時期が品種ごとに細かく異なるので体験できる品種が時期によって変わります。ぜひシーズン中に何度か足を運び、お気に入りの品種を探してみてください。

シーズンの中でも筆者がおすすめするのが、ジューシーなノーザンハイブッシュ系統が最盛期を迎える6月下旬〜7月上旬ごろと、ラビットアイ系統が最盛期を迎える8月初旬ごろ。ラビットアイは加工にも向いているので、ぜひ家庭に持ち帰ってジャムやお菓子にも活用してみてください。

8月のお盆を過ぎるとスズメバチが一気に増えるので、小さなお子さんがいるご家庭はシーズンの早い時期に摘み取り体験を楽しむのがおすすめです。この夏は、ぜひフレッシュブルーベリーの素晴らしさに出会ってみてください!

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