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【畑作向け】除草の最適解とは? 作物別に考える雑草対策と省力化の実践例

【畑作向け】除草の最適解とは? 作物別に考える雑草対策と省力化の実践例

土と向き合う以上、切っても切れない関係にあるのが雑草対策です。厄介なことに、季節や地域、土質、作物などによって、生えてくる雑草の種類や対策方法が異なるので頭を悩ませます。また、農業を経営しているとなれば、コストパフォーマンスや効率性の観点を踏まえて、複合的な視点で雑草と向き合わなくてはいけません。今回は、畑作向けの雑草対策を中心に、除草の基本から、実体験を交えた作物別の対策について解説していきます。

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除草の基本

「除草」と一言でいっても、皆さんが思い浮かべる除草方法は人それぞれだと思います。庭先菜園や家庭菜園をされている方であれば、手で引っこ抜いたり、鎌を使うのをイメージすると思います。はたまた、規模が大きくなれば、草刈り機や除草剤などを活用して、短時間で効率的に処理する方法を思い浮かべるでしょう。
そこで、まずは雑草対策の基本として、除草方法とそのパフォーマンスを、「コスト」「時間」「体力」の観点でみていきます。

機械や除草資材等を活用した除草対策は数多くありますが、大分類としてはこの3つのパターンに分けられます。

1. 成長を抑制する

物理的な雑草対策の多くは、成長を抑制する方法が一般的です。例えば、「マルチ」の場合、地表面を覆うことで、光や空気、雨水などを遮り、雑草種子の発芽や成長を抑えています。他にも「カルチ」と呼ばれる作業機を活用した「中耕除草」は、畝や株の間の表土をかき混ぜて、発芽直後の雑草が根付くのを抑制します。また、カルチの爪によって根っこが切れたり、浮かした雑草が乾燥して、雑草を枯死させることも期待できます。

<成長を抑制する除草方法>

3_成長を抑制する除草方法

2. 枯らす・分解する

雑草を枯らすといえば、除草剤を想像する方が多いと思います。大面積を経営する農業者であれば、除草剤を活用する方も多いでしょう。特に、選択性除草剤のように、特定の雑草のみを枯らす剤は、現場で重宝している方も多いと思います。一方で、雑草を枯らす方法は、除草剤以外にもいくつかあります。一つは、熱によって枯らす方法。二つ目は生理障害を誘発させて枯らす方法です。いずれも、農作物が混在する場所で実践するのは難しいですが、農機具庫の周辺やコンクリートの隙間から生えてくる雑草、法面などの除草対策として、活用できる術があるかもしれません。

4_枯らす・分解する除草

3. 刈り取る・取り除く

雑草を除去するといえば、草を根っこから引っこ抜いたり、草刈機で刈り取る、直接的かつ物理的な対策を指します。しかし、当然のことながら、雑草を完全に「除去」するのは、かなり難しいことです。例えば、雑草を根っこから引っこ抜いたとしても、その草に付いている種子が圃場に落ちてしまえば、その種子から雑草が成長してきます。また、草刈機を使用する場合、雑草の成長点(※1)よりも下を刈り取らなければ、刈り取ったところから、再び雑草が成長してしまいます。そのため、「刈り取る」や「取り除く」という対策は、前述の「成長を抑制する除草方法」に近い側面があります。

5_除去する・取り除く除草

雑草そのものの細胞分裂が活発に行われ、新しい葉や茎、根を生み出す再生の中枢箇所を指します。この「成長点」の位置は植物によって異なり、茎先端、地表近く、地中(地下茎)など多岐にわたります。そのため、対策をしたい雑草の成長点を意識して、除草方法を選ぶのも重要です。

除草方法①農業用マルチ

ここからは、よく活用する4つの除草手法について、メリットとデメリットを中心に解説していきます。

農業用マルチには厚さや長さ、材質などさまざまな種類があり、近年では土にすき込める生分解性マルチの普及が進んでいます。実際に私の農場でもほとんどを生分解性マルチに切り替えており、回収や廃棄の手間を大幅に削減できていますが、メーカーや材質配合によって分解速度が異なるため、作物によっては適さない場合もあり、使用前に製品スペックの確認が重要です。一方で、農業用マルチは株元までシートで覆える点が大きな利点であり、専用作業機を使えば広い面積でも効率的に展張・除草が可能です。さらに、整地からマルチ展張、施肥、播種までを一体で行えるシーダーマルチなどの作業機を導入すれば、管理作業の省力化を大きく進めることができます。

農業用マルチ(ビニールタイプ)

メリット
・色や厚さ、長さ、幅を選択できる
(色や厚さによって、遮光率や地温を変えられる)
・生分解性マルチと比較してコスト低
・耐久性が高い
・長期間栽培に適している

デメリット
・回収や処分に手間とコストがかかる
・回収する際に専用機械や資材が必要になる場合がある
・シートの押さえが弱いと強風で飛ばされる可能性がある
・害獣などによって破られると、そこから雑草が生えてくる

農業用マルチ(生分解性タイプ)

メリット
・残渣と一緒にすき込めるため、回収の手間がかからない
・廃プラの削減に貢献できる

デメリット
・色や厚さのバリエーションが少ない
・ビニールタイプのマルチと比較してコスト高
・長期保管ができない(分解が進んでしまう可能性あり)
・基本的には受注生産のため、計画的な発注が必要になる
・マイクロプラスチックが与える生態系への影響が懸念されている
・シートの押さえが弱いと強風で飛ばされる可能性がある

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除草方法②グランドカバープランツ

グランドカバープランツは、地表を植物で覆って光を遮り、雑草の発生を抑える方法(リビングマルチ)です。あわせて、土壌改良や侵食防止の効果も期待できます。代表例はクローバー、ライ麦、ヘアリーベッチなど。

また、異なる植物を組み合わせる「コンパニオンプランツ」もあり、病害虫の抑制や生育促進に加え、雑草対策にも有効です。例えば、こんにゃく栽培では畝間にライ麦を植え、土壌水分を調整して根腐病のリスクを下げる取り組みが行われています。

メリット

・雑草が生えづらくなる
・表土の流出防止につながる
・乾燥防止になる
・微生物の活性化につながる

デメリット

・効果が出るまでに時間を要する
・マルチよりは効果が低い
・種苗費がかかり、作物によっては高額
・繁殖力が強く、後処理に苦戦することがある
・茂ってくると湿気が籠り、湿害の原因になる可能性がある

8_こんにゃくの雑草対策

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除草方法③除草剤

除草剤の特徴

はじめに、除草剤には農業に使えるものと、そうでないものがあります。農業で使える除草剤を「農耕地用除草剤」、その逆を「非農耕地用除草剤」と呼びます。(※2)農耕地用除草剤は、農薬取締法に基づいて農薬登録されているものが該当し、作物や動植物への薬効・薬害・安全性などを審査し、基準を満たしているもののみが、農業で使用できると定められています。農薬登録のある除草剤は、容器や包装に記載されている「農林⽔産省登録第○○○○○号」という表記で判断でき、この登録番号が表記されていれば、農業で使用可能です。

(※2)非農耕地用除草剤を農業で使うとどうなるの?

農作物の栽培や付随する用途で非農耕地用除草剤を使用するのは、農薬取締法改正法第11条で禁止されています。違反者には、3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、または、両方が科せられます。家庭菜園や自宅の庭で使用した場合も、法律違反となるため注意が必要です。

ここからは除草剤の種類や効果、特徴について解説していきます。まずは、処理方法の違いについてみていきましょう。

・土壌処理型

圃場に散布(or散布&混和)すると、土壌表面に有効成分の処理層を形成します。それが雑草の根や芽から吸収されて、種子の発芽を抑制するというメカニズムです。雑草が発芽する前から発芽直後にかけて散布すると効果的です。

メリット
・初期防除として効果を発揮し、雑草が伸びる前に処理できる
・作物の播種及び定植前後で使えるものが多い
・作物選択性が高い薬剤が多い(対応作物の適応範囲が広い)

デメリット
・すでに生えている雑草には効果がない
・土壌条件によって効果が変わる
※散布前後で乾燥や多雨に見舞われると、効果が下がる可能性がある。
・有効期間が限定的(薬効が徐々に低下する)

・茎葉処理型

処理したい雑草の葉や茎に直接散布すると、葉脈や根など機能を破壊し、雑草を枯死させます。薬剤がかかったところだけ効く「接触型」と、植物内に浸透する「浸透移行型」などがあります。

メリット
・生えている雑草に対して即効性が高い
・対応する雑草の種類が多い
・ラウンドアップのように、地下茎や根まで枯らす薬剤がある

デメリット
・種子に効かない製品が多い
・重複散布や濃度などによって薬害が出やすい
・適合等を間違えると、作物まで枯らしてしまう
・栽培する作物が、処理したい雑草と同科の場合、対応できない

・ハイブリッド型

土壌処理型と茎葉処理型の効果を合体させた除草剤を指します。

メリット
・即効性が高く、持続性も高い
・シャワー型が多く出回っており、散布が比較的容易

デメリット
・比較的値段が高め
・長期残効性への懸念が高く、圃場内ではあまり使えない


除草剤の種類・処理方法について(解説)

除草剤の適応範囲

除草剤には特定の雑草のみに効果を発揮する「選択性除草剤」と、植物全てに効果を発揮する「非選択性除草剤」が存在します。圃場で使う際は、基本的に選択性除草剤の使用をおすすめします。

選択性除草剤

作物には影響を与えず、特定の雑草だけを枯らす除草剤です。
<代表例>
・セレクト乳剤:イネ科雑草のみを枯らす。特にスズメノカタビラに有効
・ナブ乳剤:イネ雑草のみを枯らし、浸透移行性のある除草剤

枯れないオヒシバの除草対策は?おすすめ除草剤「ナブ乳剤」の特長・使い方など紹介

非選択性除草剤

接触した植物をすべて枯らす除草剤です。荒れた農地や圃場周辺(畦畔など)の管理に適しています。
<代表例>
・ラウンドアップ:グリホサート系
・タッチダウン:グリホサート系
・ザクサ:グルホシネート系

除草剤の形状

大きく分類すると、液剤と粒剤に分けられ、それぞれ使いやすさだけでなく、安全性や効き方などに違いがあります。

粒剤

主に土壌処理型の除草剤に多いタイプです。

特徴
・粒のまま散布、または水に溶かして使用(例:水和剤・顆粒水和剤)
・飛散(ドリフト)しにくく、安全性が比較的高い
・水分を含んでから効くため、効果が出るまでやや時間がかかる
・広範囲に散布する場合は専用の散布機が必要になることもある

液剤

除草剤の中で最も一般的なタイプです。

特徴
・原液または希釈して使用(製品ごとの用法に従う)
・背負型噴霧器やスプレーヤーで広範囲に散布しやすい
・一方で、飛散(ドリフト)のリスクが高いため風向・風速に注意が必要

液剤の種類
同じ液体でも、製法の違いにより効果や性質が変わります。
・液剤:水に溶ける成分をそのまま液体化したもの
・乳剤:有効成分を油に溶かした原液
・フロアブル剤:微粒子を水中に分散させたもの
・マイクロカプセル剤:成分をカプセルで包み、徐々に効くようにしたもの


形状ごとの使い方(解説)

除草方法④草刈機

草刈機の種類(製品)

除草の代名詞ともいえる草刈機ですが、用途によって様々なモデルがあります。今回は草刈り機の種類や特徴について簡単にご紹介していきます。

刈払機(肩掛式・背負い式)
10_刈払機(マイナビ農業記事より引用)

乗用型草刈機
11_乗用型草刈機

自走式刈払機(歩行型)
12_自走式草刈機(歩行型)

自走式草刈機(斜面特化型)
13_自走式草刈機(斜面特化型)

ラジコン草刈機
14_ラジコン草刈機

ロボット草刈機
15_ロボット草刈機(マイナビ農業の記事より引用)

自走式除草機(レーザー除草)
16_自走型レーザー除草機

トラクター装着型作業機
17_トラクター装着型作業機(マイナビ農業の記事より引用)

草刈機の種類(駆動方式)

エンジン式

通常のガソリンや混合ガソリンなどで駆動する方式です。多くの草刈機はこのエンジン式を採用しています。

電気コード式

コンセントから電源を取り出し、モーターで駆動する方式です。稼働範囲が限られますが、燃料を補給する必要がなくメンテナンス性にも優れています。

バッテリー式

バッテリーを装着し、モーターで駆動する方式です。エンジン式と比べて静音性に優れており、持ち運びが便利です。

PTO駆動方式

トラクター装着型の作業機(モアコンディショナー)は、トラクターのPTOから動力を出力し、作業機へ伝達しています。

刈刃の種類

刈払機の場合

金属刃(チップソー)
パワフルで硬い雑草や小枝にも対応します
ナイロンコード
「刃」ではなく「コード」のため安全性が高く、柔らかい草に最適です
樹脂刃
プラスチック製で金属刃とナイロンコードの中間的な特徴を持ちます

自走草刈機の場合

フリーナイフ
可動式の刃が回転しながら草を刈ります。石や障害物に当たると刃が逃げる構造になっているため、機械への負荷が少なく、刃の消耗も抑えられます。

バーナイフ(固定ナイフ)
固定された数枚の金属刃がロータリー方式で回転して草を刈ります。硬い草に被われた荒れ地などに適しています。

ハンマーナイフ
刈取部に小さなナイフが多数吊り下がり、高速で回転して草を粉砕します。背の高い草にも対応でき、刈取り後の草の飛散が比較的少ないことが特徴です。

ロータリーブレード
円盤型のブレードが水平に回転することで、草を巻き込みながら刈ります。乗用型の草刈機に多く採用されてます。

私の農園は、まだ就農して間もないため、新しい機材に投資をするハードルが非常に高い状況です。そのため、既存機械の応用(カスタム)を前提に、効率的な除草体系を確立していきました。結果として、従来の除草方法と比較して約80%の省力化が実現できています。

レタス農家の除草レポート!

北海道で農業を始めて3年目。現状としては、設備投資に回せる資金は少なく、いかにして節約するかが経営の軸になっています。一方で、規模拡大を図るには省力化が必須であり、作業時間の多い播種、定植、収穫、そして除草のどこかで機械化を図っていく必要がありました。

当初は、育苗の手間を削減するためにセル苗に変更し、定植の機械化を検討していました。しかし、全てを揃えると400万円近くの投資が必要になるため、予算の観点で見送らざるを得ない状況でしたので、除草を省力化する方向に舵を切ります。それも、専用機の導入ではなく、既存機械を応用(カスタマイズ)して、投資を可能な限りしない方向で検討しました。

栽培形態
19_スペック

事前課題

・レタスの年間作業時間が約1,300時間
・そのうち、除草に占める時間の割合は約3~4割
(時期によって異なるが、合計で約700時間程度を除草に費やしていた)
・これまでは、歩行型のミニ耕うん機と立鎌を活用して、圃場を歩きながら除草していた
・夏場の成長スピード(雑草)が早く、過酷な環境下での除草作業が苦になっていた
・ミニ耕うん機を使用した場合、処理スピードは約10分/100m。10aを1台で処理するのにかかる時間は約50分と、処理スピードが決して高いとはいえなかった。

oppo_32

改善したこと

・歩行から乗用型の機械に移行し、処理スピードと労力の削減を図る
・乗用型にして、真夏の作業負担を大幅に軽減する

条数や畝の寸法は変えないという前提で、トラクターによる除草を検討しました。馬鈴薯の培土専用機として使用していた、ヤンマーのハイクリアランス型トラクター(AF226)を活用し、有効幅約120cmの4条マルチを跨げるかチャレンジした結果、ギリギリ跨げることが判明。

23_トラクターによる除草の機械化2

培土機を取り外し、「カルチ」としてカスタマイズしました。畝の両端に植えているレタスを傷つけないよう、爪の角度や差込深さなどを調整し、なんとか圃場で使えるようになりました。トレッド(正確にはタイヤの内側から内側の幅)がマルチの幅とほぼ同じため、作物を踏みつけないよう、操作技術を高める必要がありますが、そこは腕の魅せどころです。
24_改善後

結果発表!約80%減に成功

・除草に要していた時間を約80%減
・年間約700時間の除草作業が、年間200時間を切るようになった
・肉体的なストレスから解消され、炎天下でも気軽に作業ができる
・畝幅を狭ばめられ、10aあたりの植え付け本数が約250本ほど増えた

結果として、除草の労力を大幅に低減できただけでなく、10aあたりの収量を増やすことにも成功しました。このように、新たな投資をせず、既存の機械を応用して省力化が実現できるのを、身をもって感じた筆者の経験でした。

余談
レタスの除草対策として、農業用マルチが多く活用されていますが、長野県や北海道では全面マルチ(全マル)が多く採用されています。除草以外にも病害や排水対策の意味合いもあり、レタスの生育環境を改善する総合的な対策資材として、私たちも導入を検討しています。

25_全面マルチ栽培

除草前の考え方

ご紹介したように、「除草」と一言でいっても、様々な手法や考え方があります。それらを選択する上で、まず重要なのは、ご自身の経営規模や経営方針、また所有する道具などを的確に把握することだと、私は考えています。

26_検討フロー

例えば、「有機JAS」の認証取得を目指しているにもかかわらず、適合外の除草剤を使う方は、まずいないでしょう。それと同じように、始めに自分たちが何を目指していて、何を改善したいのかを明確にすと、不必要な投資を抑えられると考えています。新しい機材や設備などを導入するとなれば、当然のことながら資金が必要になります。「その判断が、今後の事業の方向性に合っているのか」「現場がそれを求めているのか」「既存の機械で応用できるのではないか」など、じっくりと整理する時間を作ってみるといいかもしれません。

<参考>農地畦畔における草刈り“ゼロ化”管理の省力化技術

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