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有機栽培の極上肥料! 自家製発酵鶏ふんで豊かな畑をつくる【DIY的半農生活Vol.44】

和田 義弥

ライター:

連載企画:DIY的半農生活

有機栽培の極上肥料! 自家製発酵鶏ふんで豊かな畑をつくる【DIY的半農生活Vol.44】

茨城県筑波山のふもとでセルフビルドした住まいに暮らし、約3.5反(35アール)の田畑でコメや野菜を栽培するフリーライターの和田義弥(わだ・よしひろ)が、実践と経験をもとに教える自給自足的暮らしのノウハウ。わが家の畑は、夏草でつくる堆肥(たいひ)や米ぬか、薪(まき)ストーブの灰など、身近に手に入る資材で地力を維持している。その中でも、野菜の肥料分としてとくに頼りにしているのが、飼っているニワトリから得られる鶏ふんだ。10羽のニワトリから手に入る鶏ふんは、年間にすると約120キロ。敷料(しきりょう)と混じって発酵した鶏ふんは、わが家の畑にとって欠かせない、極上の有機質肥料である。

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身近な有機資材で地力を維持する

毎年、冬の間に畑に堆肥や肥料をまく。わが家で使っているのは、主に次のようなものだ。

・夏草や野菜の残渣(ざんさ)、生ゴミを積み上げてつくる堆肥
・踏み込み温床が分解した落ち葉堆肥(腐葉土)
・薪ストーブの灰
・米ぬか
・鶏ふん

夏草や野菜の残渣を積み上げて発酵・分解させた自家製堆肥

これらで基本的な土づくりを行い、あとは野菜の生育を見ながら、気が向いたときに自家製のボカシ肥(米ぬかと鶏ふん、もみ殻を混ぜて発酵させたもの)をちょぼちょぼとやるくらい。すべて身近に手に入るもので、しかもタダ。有機栽培やオーガニックといえば聞こえはいいが、私にそんな高い意識はない。これで野菜がちゃんと育つのだから、それ以上のことをやる理由がないだけだ。そりゃ、スーパーに並ぶような形のいい立派な野菜はできないが、家族が食べる分としては十分。多少の虫食いがあっても気にならない。

冬の畑で育つ紫色のカリフラワーとダイコン

わが家の自家製堆肥・肥料の中で、最も栄養素が多いのは鶏ふんだ。肥料としてホームセンターなどに売られている鶏ふんを参考にすると、成分量は窒素3%、リン酸5%、カリ3%程度。3要素がバランスよく含まれ、加えてカルシウムも10~15%程度と豊富だ。卵用鶏では、卵殻を硬くするためにエサにカキ殻などのカルシウムを混ぜるが、その一部がふんとして排出されるためである。

牛ふんや馬ふんなど、ほかの家畜ふんと比べても、鶏ふんはきわめて栄養に富んでいる。そのため、牛ふんや馬ふん、豚ぷんが主に土壌改良を目的とした堆肥として利用されるのに対し、鶏ふんは作物に養分を供給するための肥料として扱われることが多い。

市販の発酵鶏ふん。成分あたり最も安価な肥料

ニワトリの体が栄養豊富なふんを生む

では、なぜ鶏ふんはそれほど栄養素が豊かなのかというと、ニワトリならではの生態に理由がある。ウシやウマが草食なのに対してニワトリは雑食で穀類、肉類、魚類、虫など何でも食べて栄養に変えられる。一般的な飼料には、エネルギー源となる穀類を中心に、植物性の油かす類、糟糠(そうこう)類(ぬかやふすまなど)、大豆かすや魚粉などのタンパク質源、カキ殻などのミネラルが含まれている。これらはいずれも、有機質肥料の原料そのものといえる。ニワトリはそれらを体内で消化・吸収したのち、取り込み切れなかった栄養分をふんとして排せつしているのだ。

青草をついばむニワトリ。そのフンでまた植物が育つ

もうひとつの理由は、消化器官の機能である。ウシやウマ、ブタなどの哺乳類に比べ、鳥類であるニワトリは体が小さく、栄養を吸収するための腸管も短い。また歯がないため、食べたものは筋胃という器官で細かく砕かれて腸に送られるが、口で咀嚼(そしゃく)できないため消化が進みにくい。加えて消化物が腸を進むスピードも速いため、エサとして取り込んだ栄養素を十分吸収しきれないのだ。つまり、食べたものの成分の多くが、ふんとして排せつされてしまうのである。
ちなみにブタも雑食だが、消化吸収能力はニワトリよりはるかに優れているため、ふんに残る栄養素は鶏ふんほど高濃度ではない。

さらに、鳥類の特徴として、ふんと尿の排せつ、交尾、産卵といった行為は、総排せつ腔(くう)と呼ばれるひとつの器官ですべて行われる。哺乳類のように、ふんと尿がそれぞれ別々に排せつされるのではなく、混じったひとつのものとして出てくるのだ。ニワトリのふんは全体的に黒っぽい色をしているが、一部に白い部分があり、それが尿の成分である尿酸である。尿酸は土壌中で分解されてアンモニアを生じ、それが植物の栄養素である窒素源になる。

ニワトリの消化器官。歯がないため食べたものは筋胃で細かく砕かれる。食材でいうところの砂肝。そのうは食べたものを一時的に貯蔵しておく器官。腺胃は食べたものを消化液と混ぜ合わせる器官

なお、産卵もふんと同じ総排せつ腔から行われるが、卵にふんが付着することはないのでご安心を。そこは体の仕組み上、きちんとできている。産卵されたばかりの卵は、ニワトリの体温が残ってほんのり温かく、ほおずりできるくらいきれいだ。もちろん、ふんの臭いもしない。

平飼いだからこそ使いやすい鶏ふん

ニワトリは1日に約140グラムのふんをする。歩きながらでもするし、夜に止まり木で休んでいるときもする。だから、止まり木の下はふんがたまりがちだ。山になっていたらレーキで広げてやれば、ニワトリが足で地面をひっかいてかき混ぜてくれる。中には産卵箱に入って休むものもいるが、そうすると産卵箱の中にふんがたまってやっかいである。毎日掃除してやらないと、産卵した卵にふんが付いてしまうのでよろしくない。

夜は高いところで休む習性がある。その下にふんがたまる

ふんは約75%が水分なので、実質の重さは30~35グラム/日。1年では約12キロになる。わが家には今、10羽のニワトリがいるので、ざっと120キロの鶏ふんが手に入る。
ホームセンターなどに肥料として売られている鶏ふんは養鶏場で、ふんだけが分別されて回収される。一方、私のような平飼い養鶏では、鶏ふんといっても鶏舎や放牧場の敷料と混じっており、ふんそのものを取り出せるわけではない。混じった状態のものを集めて畑に施用する。しかし、これが実に都合がいい。

小屋の床にもみ殻やわらなどを敷いておくとふんと混じって発酵する

なぜなら、鶏ふんはC/N比(炭素と窒素の割合)が6~8と低く、それだけだと悪臭が発生しやすいが、C/N比の高い敷料のわらやもみ殻と混じることで窒素と炭素のバランスが整い発酵しやすくなる。
ニワトリはエサを探すために地面を足でひっかく習性があり、それによってふんと敷料が混ぜ合わされると、さらに発酵が促される。嫌な臭いも一切感じない。また、敷料と混ざることで本来、鶏ふんにほとんど含まれていない繊維質が補われ、土壌の水はけや水持ちといった物理性を改善する効果も期待できる。

敷料と混じって発酵した鶏ふんを取り出して畑に施用する

鶏ふんが混じった敷料は、半年から1年ほどで取り出し、ふるいにかけて未分解の有機物を取り除いてから、そのまま畑に施用するか、ボカシ肥の材料にする。今度の週末、それをやる予定だ。畑に施用したらクワや耕運機で耕し、土によくなじませておく。野菜の種をまくのは、それから1カ月後である。
鶏ふんの活用法については、拙著「畑で使える!有機資材とことん活用術」(山と渓谷社)にも詳しく書いている。こちらもどうぞよろしくお願いします。

畑で使える! 有機資材とことん活用術(山と渓谷社)

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