テラス栽培用の2本の苗から始まったブルーベリー農家への道

「あいさいベリーLABO」代表・野田一也さん
愛知県愛西市。木曽三川に隣接した湿地帯で、江戸時代から蓮根の一大産地として知られています。しかし農家の高齢化はこのエリアでも例外ではなく、後継者不足に加えて、湿地帯という特殊な土壌で、水管理の難しさや機械化しにくいことから、放棄地も徐々に増えています。
祖父母がこの地で蓮根をメインに農業を営んでいたという野田さん。

ではなぜブルーベリーだったのか?
そのきっかけは意外でした。職場に近かった名古屋市内にマンションを購入、そして結婚。結婚3周年の2012年にそのマンションのテラスで何か育てようという話になり、2鉢購入したことが事の始まりでした。その翌年、豊田市稲武のブルーベリー農園を訪れたことが、野田さんの人生を大きく変えることになります。

野田さんはすぐにブルーベリー栽培の研究を始め、テラスには50個のポットが並びます。農家登録ができていなかったため、母の名義で1.5反の農地(畑)を借りて600本のブルーベリーを栽培するまでに手を広げていきます。ただこの時は独立行政法人の職員だったため、土日だけ名古屋から愛西へ通って栽培していました。
持ち前の探究心から選んだバッグカルチャーシステム

大学時代に健康教育やスポーツ生理学を学んでいた野田さんは、探究心旺盛で研究熱心。仕事に生かせると思った合格率5~10%の社会保険労務士試験にも合格。一度熱中すると止まらない性格は、植物生理学についても深く勉強。テラス栽培の時から自作で養液を作るなど、試行錯誤を重ねていました。本格的にブルーベリー狩り農園を作ることになった2021年に、オーシャン貿易株式会社との付き合いが始まります。



野田さんと談笑するオーシャン貿易株式会社・前川さん(左)
野田さんは2024年3月に独立行政法人地域医療機能推進機構を退職し、4月に「あいさいベリーLABO」を設立。この時点で、1400本をバッグカルチャーシステムで栽培することに。ポット栽培はもちろん、土耕栽培も含めて40ヶ所以上の農園で、150品種以上を実際に実食してデータにまとめ、その中から選出したというから驚きです。
さらに、これまでの栽培経験から天敵であるコガネムシ対策や植え付け時の容易さの観点から、リサイクル繊維の培地をアクアフォームの上に乗せるなど、野田さんオリジナルの方法も採り入れています。

「野田さんは当社製品の使い方も独自に研究されており、その結果をフィードバックしてもらっています。我々にとっても学ぶことが多く、よりよい製品づくりのための強力なパートナーさんでもあります」(オーシャン貿易・前川さん)


販売方法や販路拡大で差別化を図る

野田さんは、今後ますます増えるであろうブルーベリー農園との差別化にも力を入れています。その一つが、農園の横に設置した冷蔵できる自動販売機での生ブルーベリーの販売です。冷えた生ブルーベリーの美味しさがクチコミで広がり、シーズン中はこれを購入するためだけに訪れる常連さんも増え続けているそうです。
また、加工品もよくあるブルーベリージャムではなく、名古屋の小倉バターをヒントにブルーベリーバタースプレッドを開発。自動販売機で年中販売しています。


販路拡大戦略として、昨年2025年4月に先行してリニューアルオープンした愛西市の道の駅「HASUパーク」の産直市場には、生ブルーベリーだけでなく、加工品も出品。今年4月の全面フルオープン後には、冷凍ブルーベリーの販売も検討しているそうです。
さらに、マーケティングの観点から、あいさいベリーLABOで栽培される生ブルーベリーの総称「あいさいベリー」やオリジナルマスコットキャラクター「ベリにゃん」を商標登録しています。「ベリにゃん」については、ぬいぐるみやLINEスタンプを作ったりしてSNSで発信。認知度が徐々に上がっているといいます。

農園オリジナルマスコットキャラクター「ベリにゃん」
一方で、自社の農園経営にとどまらず、同規模の養液栽培を行うブルーベリー農園7軒(現在9軒)で「purpule lab.(パープルラボ)」というグループを立ち上げ、今年2026年8月8日のブルーベリーの日には、名古屋市内でブルーベリーフェスティバルを開催する計画が進行中。全国でも珍しい、「ブルーベリーフェス」が開催される予定です。

purpule lab.メンバーの皆さん
また、愛西市では「あいさい農泊推進協議会」が発足。主体構成員として活動を行うそうです。

オーシャン貿易と共に追求を続けていきたい
ポット栽培も土耕栽培も経験してきた野田さんに違いを尋ねると、ハイブッシュでは収量自体に大差はないとのこと。その点では粘土質でハイブッシュの栽培が難しい愛西市ではポット栽培は最適と判断したと言います。味の違いは品種による違いが大きく、オーシャン貿易は、ライセンス契約が必要な「パテント品種」と呼ばれる希少な品種を持っているため、希少価値が高く、味の良いブルーベリーが作れるメリットは大きい。加えて、通常収穫まで4、5年かかるところ、最短で1年半で収穫可能となることも野田さんには魅力でした。

ブルーベリーの質を上げ、業界全体を盛り上げようとするその取り組みとそれを支えるバックカルチャーシステムの今後から目が離せません。
商品名
ブルーベリー人工培地養液栽培システム『ブルーベリーバッグカルチャーシステム』
初期導入コストの目安:100万円~600万円(税込)
お問い合わせ
オーシャン貿易株式会社 アグリ課
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