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【GRA岩佐大輝 × ワークスタイルクリエイター藤野 貴教 対談・後編】伝統と革新、情報と感情が並立する農業へ

【GRA岩佐大輝 × ワークスタイルクリエイター藤野 貴教 対談・後編】伝統と革新、情報と感情が並立する農業へ

最終更新日:2017年12月15日

農業に先端技術を掛け合わせる「Agritech(アグリテック)」が広がる昨今、AIやディープラーニングなどのテクノロジーは、農業にどのような影響をもたらすのでしょうか。先端技術を駆使し、高級いちごを生産する株式会社GRA代表の岩佐大輝(いわさひろき)さん、「人工知能の進化と働き方の変化」を研究テーマとし、ご自身でも農業体験の事業を運営する株式会社働きごこち研究所代表取締役の藤野貴教(ふじのたかのり)さんの対談をお届けします。
後編では、テクノロジーが農家の働き方や消費者にもたらす変化についてお話をうかがいます。

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テクノロジーが匠の技の継承につながる

テクノロジーの活用は、農業従事者の働き方にどのような影響を与えるのでしょうか?

岩佐:まず、非常に月並みな答えですけど、時間的な余裕ができることで、農家の視野がより広がると思っています。

僕がイチゴ農家になった頃は、休みは1年に1回、元日しか休むことができないと師匠に言われました。365日、常にイチゴは変化するので、農業から離れることができないんです。そうすると、個人として新しいことに挑戦しようとか、外の世界に何かを発見しに行こうとか、そういったことを考えなくなるんですよ。

テクノロジーを使って農業を行うメリットの一つは、農家が組織的に動くようになり、時間に余裕ができることです。実際に私が経営するGRAは週休2日とることができて、夏休みも一週間以上連続で取ることができます。農業をしながら様々な人たちに会うことができ、新しい情報が入ってくるようにしています。

藤野:僕が考える働き方の変化は、「下積み」がなくなるのではないか、ということです。

漁業の例でお話しすると、これまでの漁師の方々は50年近くかけて培った勘を頼りに、魚群探知機に映る魚影がマグロなのかどうか判断していました。それに対して、ディープラーニングと呼ばれるAIの画像認識・予測技術を利用して、予測精度を上げることができる武器を得たことで、経験の浅い若い人がたった1年でマグロを獲れるようになった事例があります。

今後も、下積み時代を経験すること自体は必要だと思います。ただ、これまでのように、学び方の効率を問わずに「とにかくいいから黙ってやれ」みたいなことは通用しなくなる。データを活用して、学びのスピードを上げていかないと、若い人が育つ前に、経験を持ったベテラン漁師の方が物理的に絶えてしまうんです。

岩佐:農業でも同じことが起きています。もっと言えば、テクノロジーを通じて匠の技術を効果的に学習できることは、後継者不足問題の解決にもつながります。

以前は農家の子どもが親元で長期間修行し、やがて後を継いだり独立したりする、という暗黙のルールがありました。しかし、社会の移り変わりに従ってその生態系が崩れてきています。農作物の価格低下やライフスタイルの変化で、農家のなり手が減っているんです。

弟子をとって一子相伝や以心伝心、という慣習が通用しなくなってきている時代において、匠の技術の継承のためにも、テクノロジーが必要になると思います。

藤野:そういう「匠の技」のようなものがなくなっていくのは悲しいですよね。最近、僕に田植えを教えてくれた年配の農家さんが亡くなりました。もっと色々なことを教わりたかったので、残念でなりません。

岩佐:それは残念ですね。藤野さんにお米作りを教えてくれた方のように、知識を有する作り手はどんどん高齢化しています。そして作り手が亡くなったら、もう二度と作れない農作物は沢山あるんです。

農業の巧みな技術を受け継ぎ、おいしい野菜を残していくために許された時間は、そう長くありません。先人たちが培ってきた知識を守り、後世に伝えるためにも、テクノロジーはもっと使われるべきだと思っています。

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