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農業高校の教科書が役に立つ「農文協・農業書センター」おすすめの5冊

農業高校の教科書が役に立つ「農文協・農業書センター」おすすめの5冊

農業と農村文化の情報拠点として、東京都千代田区神保町に店を構える「農文協・農業書センター」。農業はもちろん、漁業、林業、畜産業など、その道のプロに役立つ専門書が並び、一般書店ではあまりみかけないユニークな品揃えが自慢です。今回は就農希望者、農や食に関心のある方に、一般書店では入手しにくい、この店ならではのおすすめの本を店長の荒井操(あらいみさお)さんに5冊選んでいただきました。

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新規就農の準備に「農業高校用 教科書シリーズ」

「農業を始めてみたいけれど、どこから学べばいいかわからない、と悩む就農希望者へおすすめの本はどんなものがありますか?」とうかがうと、荒井さんの答えはズバリ、農業高校で使われている「教科書」でした。販売許可がないため、一般書店では販売されておらず、書店で手に入るのは教科書を発行する農文協運営の農業書センターだけなのだそうです。

農業科学基礎、環境科学基礎、生物活用、農業情報処理などの座学の学びはもちろん、家庭菜園にも役立ちそうな野菜、作物、果樹の栽培を学べる教科書もあります。

「中学を卒業したての高校生を対象に作られているので、理解しやすいうえに、内容も充実しています。作物の栽培方法はもちろん、農機具の扱いや経営についてなど、教科書を読んでおけば農業の基礎をしっかり学べると思います」と荒井さん。

全く同じ内容の書籍が「農学基礎セミナー」シリーズとして一般書店で売られていますが、価格はこの教科書の2倍。教科書ならおトクに農業の基礎を学ぶことができます。

「教科書」シリーズ
発行:農山漁村文化協会
定価:野菜 940円/果樹 1,100円/草花 910円/農業情報処理 985円/農業経営 1,035円(すべて税別)

小さなアグリビジネスを目指す「小さい農業で稼ぐコツ」

30アールの小規模農場で無理なく上手に稼ぐコツを、ホテルマンから農家に転職した著者の西田栄喜(にしだえいき)さんが伝授する「小さい農業で稼ぐコツ」。

西田さんは、小規模であれば農機具や施設の初期投資をかけずとも、「鍬一本でできるはず」という考えをもとに、一般的な農家の1/10程度の規模で農業をスタート。作物の栽培から、加工、販売までを一手に行い、幸せに暮らすために必要な分だけの収入を得る「ミニマム主義」で家族経営の農業を実践しています。農業の大規模化、企業化とは真逆な発想であるとともに、古くから家族総出で営まれてきた、日本の農業のあり方を再認識させてくれる本です。

「新しく農業を始めようと思う人に、最初の一歩を踏み出すための勇気を与えてくれる本です。特に、加工から販売に至る6次産業化まで目指す人におすすめです。インターネットを使って販売するコツなども書かれています」。

本書の序文で、著者の西田さんは、読んだ人が「日本の農業ではなく、自分の農業に未来を感じてほしい」とエールを送ります。これから農業を始めたいと思う人の背中を押してくれる一冊です。

「小さい農業で稼ぐコツ」
著者:西田栄喜
出版:農山漁村文化協会
定価:1,836円(税込)

家庭菜園に役立つ「畑の達人」

エダマメ、オクラ、キュウリ、スナップエンドウ、トマト、ナスなど、家庭菜園でお馴染みの野菜について、栽培のコツをわかりやすく解説する指南書で、園芸書では異例といえる30万部越えのベストセラーです。

異なる特性の作物を一緒に植えて病害虫を防ぐ、 コンパニオンプランツやバンカープランツ、畑を耕さず種や苗を植える不耕起栽培など、なるべく農薬を使わずに栽培するテクニックも紹介されています。第2弾の続編では、伝統野菜や山菜、穀類やキノコなど、家庭菜園としては珍しい作物を追記してバージョンアップされています。

プロ仕様というより「家庭菜園のレベルがアップするちょっとしたコツがわかる便利本」と荒井さんはいいます。もともと農協の組合員に直販される商品で、農業書センター以外では手に入らない本のため、見逃せない一冊といえそうです。知る人ぞ知る家庭菜園のバイブルを手に入れて、野菜作りに差をつけてみてはいかがでしょうか 。

「土づくりひとつで味が違う 畑の達人」
著者:麻生健
出版:エイブル
定価:2,160円(税込)

農業の可能性を感じる「コトノネ別冊 自然栽培party」

「農福連携」という言葉をご存じでしょうか。障害のある人が農業で働いて、自立できる場を作る取り組みをいいます。三つ子が脳性マヒで生まれたことをきっかけに、障害者福祉の仕事をするようになった佐伯康人(さえきやすと)さんは、子ども達が大きくなった時に自立できるよう、“奇跡のリンゴ”で知られる木村秋則(きむらあきのり)さんの指導のもと自然農法による農業を始めました。

「自然栽培パーティー」とは、この取り組みを全国の障害者施設に広めるとともに、日本の休耕地40万ヘクタールのうち、せめて1万ヘクタールだけでも生きた田んぼや畑に戻そうというプロジェクトです。

「障害のある人の仕事は単純作業に限られていて、一ヵ月にもらえる工賃も驚くほど安いのが現状です。一年を通して様々な仕事がある農業であれば、一人一人に合った、やり甲斐のある仕事ができますし、工賃の向上も望めます。佐伯さんのすごいところは、そうした取り組みを全国に広げたところです」。

自然栽培パーティーの活動は季刊誌「コトノネ」に連載されてきましたが、2016年4月に開催された「第一回農福連携 自然栽培パーティー全国フォーラム」を記念して、これまでの記事を別冊としてまとめたのが本誌です。障害のある人に限らず、生活に困窮している人、生きづらさを感じている人などにも、 自立の機会を与えられる農業。社会が抱える様々な困りごとを解決する糸口になることを知る一冊といえます。

「コトノネ別冊 自然栽培party」
発行:はたらくよろこびデザイン室
定価:650円(税込)

地域の食文化や歴史を知る「日本の食生活全集」全50巻

農文協が日本各地の家庭から食の情報を調べ上げ、10年の歳月をかけてまとめた伝統食の集大成。47都道府県とアイヌの1巻に索引2巻を加え、全部で50巻あります。2013年に和食がユネスコの無形文化遺産に登録されましたが、選考の際に参考書籍として本書が使われたそうです。各巻のタイトルに「聞き書」とあるように、その土地の気候風土や年間行事、暮らしのなかで受け継がれてきた伝統食を、地域に暮らす高齢者から聞き書きして作りあげています。

同じ県内でも、県央、県北、県南などの地域別に分けたうえで、普段の日、行事の日、素材や季節など、細かな項目をたててわかりやすく構成されているのがわかります。雑煮の餅が丸だったり四角だったり、地域毎に違う食の伝統がどのように醸成されていったのか、背景となる気候風土や文化についても丁寧に記されています。

「たとえば静岡県一つとっても、東と西では気候風土が全く違います。採れる農産物も違うので、食文化も違ってきます。真ん中辺りを流れる大井川を挟んで東と西の食文化に分かれるという、民俗学的にもユニークな場所でもあります」。

餅を入れない徳島の雑煮、畑に掘った穴に寝かして作る宮城の土納豆、歯を痛めるほどかたい石川の堅豆腐など、見れば見るほど面白いご当地食が満載。まずはご自分の出身地の一冊を開いて、知っているようで知らない“県民食あるある”に出会ってみてはいかがでしょうか。

「日本の食生活全集」全50巻
発行:農山漁村文化協会
定価:1巻 2,983円(税込)、全50巻セット149,148円(税込)

農業書センターでは、この他にも農と食に関する興味深い本とたくさん出会えます。最新情報については、 ホームページに掲載されています。気になる情報を見つけて、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

農文協・農業書センター
東京都千代田区神田神保町2-15-2 第一冨士ビル3階
http://www.ruralnet.or.jp/avcenter/

田舎の本屋さん(インターネット書店)
http://shop.ruralnet.or.jp/

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