蜜があるリンゴは甘い?リンゴの蜜について – マイナビ農業

マイナビ農業TOP > ライフスタイル > 蜜があるリンゴは甘い?リンゴの蜜について

ライフスタイル

蜜があるリンゴは甘い?リンゴの蜜について

蜜があるリンゴは甘い?リンゴの蜜について

2017年11月09日

「蜜入りリンゴ」と聞いただけで甘酸っぱいおいしいリンゴの味が思い浮かびます。「蜜」が入っている、と聞くと強い甘みを想像しますが、リンゴに入っている「蜜」の正体はもっと別の物です。リンゴの「蜜」の正体とは一体何でしょうか。

  • LINE
  • twitter
  • facebook
  • Google+
  • Hatena
  • Pocket

リンゴの蜜は自然とできるもの

蜜入りのリンゴは甘いと言われています。実際に蜜入りのリンゴは甘くておいしいのですが、出荷前のリンゴに人工的に何かを添加して付加価値を付けている、というわけではありません。リンゴの蜜は、熟していく上で起きる生理的な作用から作られるものです。

日光を浴びる事でリンゴはおいしい味を作り出す

リンゴは実を大きくするために、光合成で栄養を蓄えます。まず、葉に当たった太陽の光によってデンプンを作り出します。デンプンは、実に必要な成分ですので、速やかに果実の部分に届ける必要があります。そのため、リンゴの木はデンプンを「ソルビトール」という水に溶けやすい性質の糖アルコールに変えて、枝を経由して果実に送り届けます。

ソルビトールは果実の部分に届くと、再び色々な糖分に変化します。

■果糖

■ブドウ糖

■果糖+ブドウ糖→ショ糖

この他、ソルビトールが一度ブドウ糖に変わった後に再度デンプンに合成される事で、実を大きくします。果実にデンプンが引き寄せられるのは、種子が作り出す植物ホルモンの作用です。

秋になるとデンプンが糖に変わりリンゴが甘くなる

夏に日光をたくさん浴びる事で、果実が大きくなっていきます。そして秋になって種子が十分に成熟すると、今度は鳥や動物に食べてもらうために残ったデンプンが糖に変化して行き、果実が甘くなっていきます。

リンゴの甘みは、糖が作られる事で増して行き、同時に酸味の元である成分のリンゴ酸の減少も始まります。そうなると、酸味が低くなる事で更に相対的に甘みが増して行く事になります。甘みの材料は日光が作る事になるため、葉に多く日光を浴びたものほど果実に糖が蓄えられ、さらに収穫を遅くして、木の上で果実が糖を作る時間を長くしたものほど甘くなります。

この仕組みと時期が蜜入りリンゴが出来る鍵になります。

リンゴの蜜の正体はソルビトール

リンゴが大きく甘くなる過程で、葉が作って実に送り込んで来たソルビトール。実はリンゴの蜜の正体はこの成分です。ですが、ソルビトール自体には強い甘みはありません。

ではなぜ蜜入りのリンゴは甘いのでしょうか。

 蜜の正体ソルビトールとは

先にも書いた通り、葉がデンプンを果実に送るために糖アルコールに変えたものが「ソルビトール」です。

リンゴの甘さを作り出す素である成分ですが、他にも色々な働きを持っています。「ソルビトール」という名前を聞いたことがある、という方もいらっしゃるかもしれません。

実はソルビトールは、食品添加物としてもよく使われている成分なのです。口の中に入れると熱を吸収して涼やかさを感じさせる作用を持つので、それを利用してお菓子などの清涼剤として使われます。他にも保湿剤などにも使われます。カロリーが砂糖より低いので、甘味料として使われる事もありますが、甘み自体は砂糖の6割程度で、砂糖と同程度の甘さを得るためには砂糖より多く摂取する必要があります。

このようにソルビトール自体は甘くないはずなのに、なぜソルビトールである「蜜」が入ったリンゴは甘いのでしょうか。

 甘くおいしく実ると「ソルビトール」が果実にたまる

蜜入りのリンゴはおいしいりんごであるのは間違いないのですが、逆にいうと、必ず蜜が入らないとおいしくないのかというと、答えはNOです。品種によっては、糖度が高くおいしいものでも蜜が入っているとは限りません。蜜入りのリンゴができるポイントは、品種と収穫時期にあります。蜜が入りやすいリンゴの代表は「ふじ」です。

「ふじ」は日本のリンゴでも代表的と言っていいほど好まれる品種ですが、収穫時期は晩秋で気温が低くなっています。そのため、葉で作られたソルビトールが果実に送られても糖に変換する酵素の働きが鈍っています。また「ふじ」は元々糖度が高い品種であるため、酵素の働きが鈍るほかにも果実に十分な糖が蓄えられた結果、ソルビトールが余ってしまい「蜜」に見える状態で果実に蓄えられています。

 リンゴと蜜を巡る話

蜜が入りやすいとされる品種

■サンふじ(袋かけしていないふじ)

■スターキング

■北斗

■おいらせ

■ぐんま名月

「つがる」や「ジョナゴールド」「王林」などには、蜜が入りにくいと言われています。

 蜜入リンゴを選ぶコツ

同じ農園の同じ木で同じ時期に収穫しても、必ず蜜が入ったリンゴばかりとは限りません。光センサーで、ある程度の選別は可能となりましたが、蜜が入っているかどうかは基本的には切ってみないとわかりません。蜜が見えるものを選びたい場合「軸の周りにシワが多く寄っていて軸が太く、重く感じる物」が、蜜が入っている確率が高いと言われています。

また、注意点として蜜が入ったリンゴを長く貯蔵すると、蜜がリンゴに吸収されてしまい、目に見えなくなってしまいます。蜜が消えてしまった場合でも、甘さ自体は変わりません。

 海外では蜜入りリンゴは嫌われる?

日本では「蜜入りリンゴ」というと言葉のイメージもあって、付加価値ともなりますが、逆に海外では「ウォーター・コア(水の入ったリンゴ)」と言って、嫌がられることがあります。

理由としてソルビトールの成分の多くは水分であるため、果汁は多くなるのですが、完熟してからの日持ちは蜜が入らないものよりも落ちるとされる事があげられます。また海外では、長期保存して加熱調理する事も多く、生でおいしいリンゴは加熱調理すると水くさくベタついてしまい、味が落ちてしまう事も理由として考えられます。実際に蜜も度を越した量で入ると生食するとしても水くさく感じる事があります。

 おいしく食べるには乾燥を防いで早く食べきる

 リンゴはエチレンガスという、植物の成熟を促すホルモンを出す事でも知られています。このため、リンゴ同士がくっついていると早く傷みやすくなります。特に、蜜入りリンゴは入っていないものと比べると、比較的傷みが早いとされています。家庭の冷蔵庫では、あまり日持ちが見込めない事に加えて、他の野菜を早く傷ませてしまう原因にもなり得ますので、一つずつ新聞紙かラップに包んでポリ袋に入れて保存し、できるだけ早めに食べる事をおすすめします。

 

  • LINE
  • twitter
  • facebook
  • Google+
  • Hatena
  • Pocket

関連記事

カテゴリー一覧