2万1,869 人が来場
年一度の開放日
国内産の牛豚肉の消費拡大、市場の存在についての認知と役割の理解促進、「ブランド牛は、おいしくて安心」のイメージ確立などを目的として毎年開催。第36回を迎えた「東京食肉市場まつり」(一般社団法人 東京食肉市場協会主催)は、食べる・買う・楽しむも3拍子揃ったスペシャルイベントです。
しかもこの施設が一般に開放されるのは、1年のうち、このときだけ。市場の空気を感じながらイベントに参加できるという意味でも、特別な2日間です。
子供から高齢者まで
今年は2日間とも雨天というあいにくのお天気でしたが、それにも関わらず、2万1869 人(主催者発表)が来場。育ち盛りの子供たちから「お肉を食べて長生きするぞ」というお年寄りまで、場内は食欲旺盛な人たちでいっぱいです。会場内ではマスコットキャラクターの牛のモウ太、豚のトン吉もお出迎え。子供たちを喜ばせました。
福島県が協賛
今年の推奨銘柄牛は福島牛
この東京市場食肉市場まつりでは、毎回、その年の推奨銘柄牛があります。今年は「福島牛」がそれで、福島県が協賛としてタイアップしています。東日本大震災から6年、福島の農畜産物は、生産履歴の他に厳しい放射能検査も行っており、安全性は証明されていますが、風評はまだ消えません。福島県としてはこの機会をきっかけに福島牛をはじめ、県の農産物をPRし、さらなる復興をめざしていこうという狙いがあります。
食べる:無料試食
同まつりの目玉である無料試食コーナーでは、福島牛のしゃぶしゃぶ、そしてモツの煮込みを提供。さらに銘柄豚のとんかつも。これらは両日ともオープンと同時に長蛇の列ができ、すぐに完売となってしまいました。
その他にも世界の屋台料理コーナー、品川駅港南口町会も店を出し、賑わいました。
畜産農家と加工・流通業者の協働
と場と市場で構成
同施設は枝肉、内臓、原皮を生産する「芝浦と場」と、これらの製品を取引する「市場」の二つの部門から構成されています。
と場の建物の中には、と畜作業で使う近代的な機器・道具・設備がずらりと配備されていますが、この日はイベント仕様で紅白幕に覆われているため、来場者には見えません。
売る:販売コーナー
その紅白幕をバックに食肉、ハム・ソーセージなどの販売店がずらりと並びます。肉以外にも福島県物産販売コーナー、大田市場協会の野菜販売コーナー、革製品・革小物販売コーナーが設けられ、市価より割安な値段で販売しました。
また、ステージイベントでは福島県・相馬野馬追の勇壮な法螺貝によるオープニングセレモニーを皮切りに、大人も子供も楽しめるさまざまなショーが行われました。
大規模な加工処理工程が必要な畜産業
この東京市場食肉まつりは、畜産農家と加工・流通業者が一丸となって取り組んでいます。他の農産物と違って、食肉の場合は消費者の手元に届くまで、と畜解体という大規模な加工処理工程が必要です。牛や豚を丸ごと一頭売られても、消費者は家庭で口にすることができません。
そうした意味で食肉ビジネスは、生産者と加工・流通業者の協働体制が非常に重要なのです。それが毎年これだけのビッグイベントを行う最大の理由になっているのです。
今後のビジネスをより発展をめざして
同施設の中心となる食肉市場センタービル会議室で開かれた開会式(感謝の会)では、実行委員会の小川一夫会長が、「2020 年の東京オリンピック・パラリンピックなどで訪日外国人の増加が見込まれる中、国際基準に則ってHACCP(ハサップ)の導入が不可欠だ。取組みのスピードを速め、都民の皆さんの負託に応える市場作りを目指す」と話し、関係者の賛同を得ました。
HACCPとは、食品の製造・加工工程の段階で発生するおそれのある微生物汚染等の危害をあらかじめ分析。その結果に基づき、どの段階でどんな対策をすれば安全な製品にできるか重要管理点を定め、連続的に監視することにより安全を確保する衛生管理の手法です。
東京食肉市場まつりは消費者にとって楽しいイベントの場であるとともに、生産や加工流通業者にとっては、今後のビジネスをより発展させるための貴重な機会なのです。
まつりとともに認知度UP
大盛況だったまつりの会場には、翌日からまた全国から牛や豚が集まり、と畜解体作業と市場取引が行われます。
東京にと場ができてからおよそ150年。食肉文化はすっかり定着し、多くの人がより安全で、よりおいしい肉を求めるようになりました。生産者もその動向に応えようとしています。それとともに東京食肉市場協会は、加工流通業を担うこの一大拠点にももっと関心を持ってもらおうと努めています。
(東京食肉市場協会調べ)