なぜ農業をやりたいか。それを考えることが成功の始まり?
独立就農したいと考えたとき、その理由として何が挙がるでしょうか。農業を成功させる上で、このような「動機」を明確にすることはとても大切です。
どんな仕事にも、自分の思い通りにいかない瞬間はありますよね。農業も、順調にいくこともあれば、うまくいかないこともあります。自然が相手なので、予想外のケースやどうにもならない場合も出てきます。何年か経ってから成功する人も少なくありません。
そんなとき、途中で「もうイヤになっちゃったな…」と考えるか、それでも「頑張って続けよう」と思えるかは、「なぜ自分が農業を選んだのか」という動機にも関係してくるのです。
会社員ではない農家を、ポジティブに見れるか
では、どんな動機が考えられるでしょうか。農家は会社員ではないので、上司がいるわけでも決まった時間に働くわけでもありません。たとえばそこに魅力を感じる人もいるでしょう。
けれども、“農業の魅力”といっても捉え方は人それぞれ。「会社員がイヤ」「人間関係が面倒」と考えて農業を選ぶ人もいれば、自分で物事を決められ、努力次第で収入を伸ばせる楽しさから選ぶ人もいるかもしれません。
決まった時間に働かないスタイルについても、「定時で働くのはイヤだからマイペースで働ける農業がいい」と考える人もいれば、「定時がない分、決まった休みは取れないかもしれないけど、手間をかければ成果が出るから魅力的」と思う人もいるかもしれません。
さあ皆さん、今挙げたいくつかのパターンについて、どう思いますか。「会社員がイヤ」「人間関係が面倒」などは、今のネガティブな状況から逃れたくて農業を選んでいますよね。対して、「自分で物事を決められ、自分の努力で売り上げを伸ばせる楽しさ」などは、農業が持つポジティブな魅力や可能性に着目しています。
どんな仕事も簡単にできることはありません。農業は、起業して新規事業をスタートさせるようなもの。そのとき、現状のネガティブなことから避けるために農業を選ぶと、続けられません。農業の魅力に着目して、ポジティブな動機を持っている人が、より成功につながるのではないでしょうか。だから「ネガティブよりポジティブ」なのです。
動機だけでなく、リスクを見るのも忘れずに
さらに土地や作物を選ぶ際も、「動機」がカギになります。自分がなぜ農業をやりたいのか、将来どんな農家を目指すのか。これがハッキリしていると、その動機に合う土地や作物が見えてくるからです。
たとえば、「売り上げを追求したい」なら、広い土地を使って、なるべく手のかからない作物を大量生産することも考えられます。「オリジナルブランドの作物を開発したい」なら、小規模の栽培で試行錯誤を重ねていき、開発したオリジナルブランドの作物が売れれば目標達成となります。
流通・販売についても、直接お店と作物の契約をし、人脈を育みたい人もいるでしょう。あるいは、「イチゴ狩り」や「ぶどう狩り」のような観光農園を開き、一般客と触れ合うことに重きを置く人もいるかもしれません。そのような、自分が求める“農家像”を明確にすべきです。
なお、動機を考える上で注意点があります。それは、農業のリスクも合わせて考えること。田舎に住むことや、初期はうまくいかない可能性などを自分で確認して、その上で判断しましょう。
農家になりたい動機とリスクを並べると、自分のやる気がより分かりますし、トラブルやリスクへの心構えもできます。良いことだけでなく、不安や怖さに目を向ける方がむしろ成功につながるでしょう。
「どの土地で始めるか」「どの作物を育てるか」も大切ですが、まずは「なぜ農業をやるのか」について、きちんと考えるのが大事。そこから次のステップに進むと良いのではないでしょうか。
次回は農業での長期的な成功を左右する「土地選び」について取り上げます。
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