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自然派ワイン酒屋に学ぶ! 有機農業マーケティングが儲かる3つの理由

自然派ワイン酒屋に学ぶ! 有機農業マーケティングが儲かる3つの理由

農業が注目される昨今。今では、若い世代を中心に就農希望者や新規開業へチャレンジする人たちも少なくありません。そうした中、自身の農家経営に有機栽培を取り入れる動きも多く見られます。有機栽培は病害虫やコスト面、販路開拓など数多くの障壁のある農法です。実は、有機栽培へのチャレンジは今が絶好のタイミングです。今回は自然派ワインの酒屋業を営むかたわら、実家の広島県でもブドウの有機栽培を始めているという酒屋「no.501」オーナーの尾藤信吾(おとうしんご)さんに話をうかがいました。

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自然派ワインの角打ち「no.501」オーナーに話を聞いてきた

ワイン

今回訪れたのは、東京でもおしゃれな店や高級な住宅が立ち並ぶ街「外苑前」。裏通りにひっそりと佇み、開店1年ですでに名店の香り漂う「no.501」。本当に酒屋なのかと目を疑うほどアーティスティックに設計されたセラーには、常時600種類以上もの自然派ワインが陳列されています。
もともとイベントプロデュースを本業としていて、クライアントと話すためにワインに興味を持ったと語るオーナー、尾藤信吾さんは自然派ワインの魅力についてこう教えてくれました。
「自然派ワインは従来の量産型のワインと比べても、味わいが全然違います。自然派ワインを口に含むと、ブドウをそのままかじったようなフレッシュさがあります」。
店で使う食材も広島県の実家で育てた無農薬野菜を使って故郷の活性化を目指していると語る尾藤さんに、売り手側から見た消費者のオーガニック需要について聞きました。

まさにオーガニックブーム!広がる日本での自然派人気

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オーガニック(有機栽培)の意味とは?

オーガニックとは、化学肥料や農薬に頼らず自然の恵みを生かした農林水産業や加工方法を意味します。食品の安全性などもありますが、もともとは化成肥料や農薬、遺伝子組み換えの技術を避けることで、地球上の生態系を自然本来の形で守ることを目的としています。

オーガニックワインをはじめ、増え続ける自然派食材の需要

自然派のワインを求めてやってくるお客さんはやはり多いのでしょうか。

「消費者のオーガニックに対する意識は確実に高まっていると感じます。むしろ、それ以外のものは拒否しているようにも思えます。結婚をして、子供がいて、東京に住んでいるとなると、基本的にその意識は高くなります」。
農林水産省によるレポート「有機農業の推進に関する現状と課題(平成25年)※1」によれば、有機食品を現在購入している消費者の割合は44%、条件が揃えば購入したいという消費者は55%。オーガニックに対する国民の関心や需要は確実に存在しているということが分かります。

今や当たり前?世界規模のオーガニック需要の高まり

根強い外国人のオーガニック意識と自然派への関心

来店者の2~3割は外国の方だと尾藤さんは話します。オーストラリアやアメリカ、フランスなど。自分の国で自然派ワインのお店を始めたいという韓国の方が来店したことも。
ワインはヨーロッパ発祥ということも関係しているかもしれませんが、オーガニック意識は広く海外の方たちに浸透していることがうかがえます。

海外では持続可能な有機農業が主流になりつつある

オーガニックが根付く世界各地では、持続可能な有機農業が主流になり始めています。図はFiBL(有機栽培の実態調査機関)※2 による、ヨーロッパ・オセアニアの有機栽培面積の広がりを表したデータです。

FiBL 公式ウェブサイトを参考に作成

図から分かるように、2007〜2015年にかけて有機栽培の面積は着実に広がっています。世界の、ひいては日本のオーガニック需要は今後さらに高まっていくことは明白と言えるでしょう。

波に乗れ!今すぐ有機栽培を始めるべき3つの理由

1. 東京オリンピック開催により需要と必要性が押し上げられる

東京オリンピックの開催に伴い、政府は食品安全の確保を目的に、有機農業を推進するための次のような取り組みを進めています。
・農家への付加価値の付け方や新ビジネスの提案
・生産、実需、消費の関係者の交流会やシンポジウムを開催
・地域での栽培技術実証や有機JAS取得のための講習会開催

オーガニック需要はもとより、その必要性が高められることで有機農業への参入はこれまでになく障壁の少ない状況になっています。

2. 有機農業者への新設補助金も利用できる!

これまで農林水産省は、化学肥料や化学合成農薬をなるべく抑えて生産する農業者に対して「環境保全型農業直接支払交付金」を給付してきました。しかし、平成29年には産地販売力を強化するための取り組みを行う生産者や、環境に優しい新品種や新技術の導入検討者に対して新たな補助金メニューを追加しました。※3
こうした補助金制度も上手く活用すれば、有機栽培へ踏み切ることはさらに容易なものとなるでしょう。

3. 卸業者などを利用した販路開拓(マーケティング)が成功の鍵!

「オーガニック農産物が日本でしっかりと作れたら、絶対儲かると思います。問題は販路をどう開拓するかですね。レストランなどの飲食店は卸業者から仕入れているので、卸を通じた販売ルートなどを自分で開拓していくことが大事になるでしょう」と尾藤さん。
有機農業成功の鍵は何と言っても販路開拓。これまで、販路開拓の難しさは有機農業最大の課題でした。しかし、政府は解決策としてe-コマース(通販)の利活用や各種業界との連携の支援、またインショップや直売所等による取り組みの強化によって地域内流通の拡大を推進してきました。
こうした後押しにより、販路開拓も努力次第で十分に可能となってきています。

利用できるものはとことん利用して有機栽培を始めよう!

有機栽培は今、これまでにないほど始めやすい状況と言えるのではないでしょうか。すでに農家を経営している方、これから農業を始める方も、まわりの環境や支援も余すことなく活用し、有機栽培への参入にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

※1 有機農業の推進に関する現状と課題(平成25年)

※2 FiBL The World of Organic Agriculture 2017 February 9, 2017

※3 環境保全型農業直接支払交付金 平成29年度 新設メニュー

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