パクチーだけでは人は集まらない だからイベントと絡めた
2007年に「パクチーハウス東京」(東京都世田谷区)をオープンした佐谷さんは、周囲の人から「絶対に失敗する」「パクチーなんて売れるわけがない」と言われていました。
「そんなことは、言われなくてもわかっていると思ってました。パクチー料理専門店と聞いて自発的に来店する人は、僕のようなパクチー好きか、旅先で食べて懐かしいと思っている人、そして新しいモノに対する感度の高い人くらいです。私自身も、最初からパクチーだけで人が集まるとは思っていなかったです」。
パクチーハウス東京に集まってもらうために、無料で店内を貸し出して写真展や絵画展、ライブなどのイベントを定期的に開催。作品を展示している作家に会いに、知人が集まるので、より多くの人にパクチー料理を知ってもらえました。「交流する飲食店」をコンセプトに掲げて、この場で知り合った客同士が友達になるなど交流の輪も広がっていきました。
お店では相席が基本です。初対面の人とも話せるようにという考え方からですが、こうした仕組みも出会いを演出することにつながりました。パクチー料理が好きなことも大事ですが、「店の雰囲気がいい」「スタッフと話せる」「あの店に行けば友達に会える」といったつながりも大事にしています。つまり「店のファンになってもらうこと」を大切にしたのです。