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SNSで世界へ!「パクチーを核に広がるコミュニケーション」(2/3)

SNSで世界へ!「パクチーを核に広がるコミュニケーション」

2007年にオープンした、パクチー料理専門店「パクチーハウス東京」。オーナーである株式会社旅と平和の代表取締役社長・佐谷恭(さたにきょう)さんは、パクチーブームの火付け役とも言われる人物です。佐谷さんはこれまで、パクチーをキーワードにSNSによるネットワーク作りやイベントを開催し、様々なムーブメントを巻き起こしてきました。日本ではマイナーだった野菜が、なぜムーブメントの核となり得たのでしょうか。

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商圏は全世界!SNSの活用で世界中から人が集まる店へ


佐谷さんはもともとパソコンが好きで、アーリーアダプター(新商品やサービスなどを比較的早い段階で使い、受け入れる人)です。そしてTwitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)といったSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)での情報発信を積極的に行っています。

2005年に設立したコミュニティー「日本パクチー狂会(きょうかい)」では、SNSの「mixi(ミクシー)」をもじって「paxi(パクチー)」と名付けたサイトを活用して、情報を発信してきました。

「私はパクチー料理専門店を、広く知ってもらうためにSNSを利用しましたが、どの分野においても情報発信は必須でしょう。パソコンが苦手ということを言い訳にしていてはダメですよね」。

パクチーハウス東京のように個人経営の飲食店の場合、一般的に商圏範囲といわれるのは、店から半径350~500メートルだそうです。人が徒歩で通いやすい距離から計算されたものですが、パクチーハウス東京の商圏範囲は全世界です。世界中から訪れてくれるお客さんがいて、SNSで日々情報を発信している効果が出ています。

パクチー生産者との独自のネットワーク

パクチーハウス東京を始めたころは、佐谷さんが知るかぎり、個人経営の飲食店にパクチーを直で販売してくれる生産者はほとんどいなかったそうです。しかし、パクチー料理専門店を開くためには、大量のパクチーを確保する必要があります。日本パクチー狂会の活動を通して知り合ったタイ料理店の店主の紹介で、千葉県の生産者からパクチーを入手する流通経路を整えました。

しかしオープン当時は、思うようにパクチーが入荷されませんでした。スタッフ総出で、自転車を走らせて八百屋などを回って、かき集めるといった苦労もあったといいます。

インターネットで徹底的に調べて、生産していそうな方に片っ端から電話をかけることからはじめて徐々にネットワークを築いていきました。そして就農希望者が訪ねてきた場合は、すかさずパクチーの魅力を伝えることも欠かしませんでした。

お付き合いのある生産者の中には、パクチーハウス東京と同様にオリジナル商品を開発して小売店で販売したり、佐谷さんを招いて交流会を行ったりと、独自の活動を展開している方もいます。

全国展開するウルトラシャルソンで地域活性をめざす

こういった様々な取り組みを聞くと、ここまで順調に進んできたかのように感じます。ですがオープンしたばかりの頃は、初めての飲食店経営に苦心しました。気持ちが後ろ向きになっていたとき、2011年の東日本大震災が発生します。

震災後にボランティアで現地に出向いた方たちが、帰宅途中にパクチーハウス東京に立ち寄って被災地の現状を話してくれました。不思議なことに、そういった方たちの多くが被災地と関わったことを機会に、「以前から気になっていた」と店を訪れていただきました。

佐谷さんは、知人から声をかけられたこともあり「パクチーハウス東京として、できることがあるのかもしれない」という思いから、東北に足を運びました。そうして始まったのがソーシャルマラソン「ウルトラシャルソン」です。

被災地の沿岸を復興の状況を確認して走りながら、地元の方々と交流するというウルトラシャルソンは、2014年8月に開催スタート。初回は、岩手県釜石から宮城県気仙沼までを走りました。その後、7回に分けて千葉県犬吠埼までの約890キロの道のりを地元の方々と交流しながら走り、津波被災地をつなぎました。

ウルトラシャルソンは被災地だけでなく、ご当地ソーシャルマラソンとして全国各地で開催されています。走りながら地域の良さを再発見したり、地域の人たちと交流することで、地域おこしやコミュニティーの形成に一役買っています。

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