アブなすぎる害獣図鑑!農家の敵とその撃退方法 ~タイワンリス編~

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アブなすぎる害獣図鑑!農家の敵とその撃退方法 ~タイワンリス編~
最終更新日:2019年10月17日

近年の異常気象による大雨や台風などの農作物への被害とともに、農家にとって害獣による被害は深刻です。2017年度の農林水産省の調べでは、野生鳥獣による農作物への被害状況は、金額にしておよそ200億円で、その6割が獣類、4割が鳥類(※1)によるものとなっています。代表的なものはイノシシ、シカ、サル、クマ、カラスですが、他にも意外な生物が農作物に大きな被害をもたらしているのです。

シリーズ記事「アブなすぎる害獣図鑑」第六回は、観光名所でも人気のあるタイワンリスの生態と農作物への被害、その撃退方法に迫ります。

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愛くるしい姿でちょこちょこいたずら 特定外来生物のタイワンリス

神奈川県の鎌倉や江ノ島をはじめ、日本各地の観光名所で多く見られ、可愛らしい風貌から観光客からかわいがられているタイワンリス。在来種であるニホンリスとは異なり、観光用として飼育していた個体が放たれたり、逃げ出したりして野生化した結果、全国各地で繁殖し続けている特定外来生物です。ニホンリスよりも一回り大きく、足や耳が短く、褐色のおなかが特徴です。

台湾固有の亜種といわれるタイワンリスは昼行性で、山林や造営林、市街地の緑地や公園に生息し、樹上での動きはちょこちょこと俊敏で、跳躍力が優れています。樹木の種子や果実、花、葉、芽、樹皮などを食べるほか、昆虫やカタツムリ、その他小動物、鳥の卵などを捕食します。

タイワンリスにとって日本は温暖な気候で、えさが豊富、天敵である猛禽類やヘビ類が少ない住みやすい場所です。そのため個体数が増え、生態系に影響を及ぼす危険や農作物への被害が拡大し、2005年に環境省の特定外来生物に指定されました。

※1 鳥獣被害の状況:農林水産省

生態系、農作物など 小さなタイワンリスの被害は大きい

国内でタイワンリスが増えると、在来種であるニホンリスの生態系が脅かされる恐れがあります。また、メジロやコゲラ、シジュウカラなどの卵を食べるため、野鳥の個体数が減ったり、木の樹皮を食べて立ち枯れが起きたりと、山林の生態系が変化するおそれがあります。

農作物への被害も深刻で、ミカンやブドウなどの果実の食害や樹皮剥ぎによる立ち枯れ、ダイコンやトマトといった野菜の食害、スギやヒノキなどの苗木の食害が多発しています。それだけではなく、個体数の多い伊豆大島では、特産のツバキ油の原料となるツバキの実が食べられたという報告もあります。

この他、電線や電話線をかじられてライフラインに被害が及ぶケースも出ています。

各地で成果が現れる タイワンリスの撃退方法

タイワンリスは小さく動きが素早いので、捕獲や駆除が難しいとされていますが、それでも各地では様々な工夫をして撃退に成功しています。例えば鎌倉市では市民に捕獲許可を出し、ねずみ捕り器などを貸し出して積極的に捕獲を推進、年間500匹以上を捕獲しているそうです(※2)。ただし、鎌倉市には10倍にあたる5,000匹が生息しているという予測もあります。

熊本県の宇土半島では、タイワンリスの捕獲推進月間を定めて、市民や農家に情報提供をしながら集中的に捕獲活動を行っています。個体数が多いとされる伊豆大島では、箱わなによる捕獲や猟友会による駆除を行い、年間1万匹近いタイワンリスを撃退しています。箱わなは、各自治体での捕獲作戦に必ず使われるほど効果的な手段です。

ほかにも、タイワンリスの嫌がる木酢液などを田畑のまわりに散布する、あるいは防護ネットを使用することが有効です。また、移動経路となる樹木の剪定や下草刈りなどを行って、タイワンリスを寄せ付けないようにする環境整備も求められます。

タイワンリスは生後約1年で繁殖を開始。通常は年に1回、秋ごろに1~2頭を生みますが、えさなどの条件が良ければ年3回の繁殖で4頭ほどを生むこともあります。

驚異の繁殖力で増え続けるタイワンリスの撃退には、地域で協力しあい、対策を取っていく必要があります。農家への多大な被害と奮闘ぶりを知ったら、愛くるしい姿でも見方が変わってくることでしょう。間違ってもえさは与えないようにご注意ください。

次回も深刻な被害をもたらす、農家にとっての意外な害獣をご紹介します。

※1 鳥獣被害の状況:農林水産省
※2 鎌倉市クリハラリス(タイワンリス)防除実施計画を策定

上記の情報は2018年1月1日現在のものです。

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