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販路を確保して栽培スタート クレアファームの静岡県産オリーブオイル(2/3)

販路を確保して栽培スタート クレアファームの静岡県産オリーブオイル

静岡県でオリーブ産地化プロジェクトを推進することを目的に、株式会社クレアファームを設立した西村やす子(にしむらやすこ)さん。現在は県内10ヶ所に農園を抱えて静岡県産オリーブオイルやオリジナル商品にこだわって、オリーブオイル専門店「クレアテーブル」などで販売しています。「農業が直面している様々な課題を解決するには、6次産業化が必要」という考え方の西村さんが考える、これからの農業についてうかがいました。

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思いを込めたオリーブオイル専門店をオープン

オリーブの栽培は、景勝地として知られる日本平(静岡県駿河区・清水区)で2015年4月に始まりました。2017年には藤枝市の畑が、静岡県が実施している「内陸フロンティア総合特区」の支援事業に認定され、現在は県内10ヶ所に農園を構えています。今年初収穫となった日本平の農園では、1.5ヘクタールから約3トンのオリーブが収穫できました。

栽培がスタートした当初、安定した収穫量を確保できるのは2018年秋を想定していました。本格的な収穫が始まる前の2014年に、先んじてオリーブオイル専門店「クレアテーブル」をオープンさせます。海外から集めた良質なオリーブオイルを取り扱いながら、静岡県産オリーブを使ったオリジナル商品を徐々に増やしていきました。

生産した農作物を流通させるためには、仲介業者を通すのが通例です。そこで手数料が発生し、結果として生産者の手元にはほとんどお金が残らないという状況に陥ります。一方で、商品の付加価値を高めなければ収益は上がりません。誰かに頼るのではなく自分たちで販売できる場所を確保しなければ、売りたいものを自由に売ることができないのです。

「私たちが農作物を適正価格で買い取り、付加価値のあるオリジナル商品へとプロデュースして販売する。仲介業者よりも高く買い取るということは、その差を付加価値で補わなければいけません。それと同時に『付加価値をつけた商品を販売する場所』つまり出口となる店を先に用意しておくべきだと考えました」。

プロデュース力が光る、オリジナル商品

田丸屋本店とのコラボレーション商品「静岡産わさびとしらすの食べるオリーブオイル UMAMI OIL」

商品を販売する場所を確保したクレアファームは、地元企業や生産者と協力しながら次々とオリジナル商品を開発していきます。

静岡県を代表するわざび漬けの老舗「田丸屋本店」とコラボレーションした「静岡産わさびとしらすの食べるオリーブオイル UMAMI OIL」や、焼津カツオを使った洋風酒盗 「Wine Do Robou(ワイン泥棒)」など、個性豊かな商品ばかりですが、どの商品もコンセプトが明確に設定されています。

オリーブオイルと夏びん長まぐろ

例えば、「オリーブオイルと夏びん長まぐろ」は、静岡県産エキストラバージンオリーブオイルと上質なまぐろを合わせた高級ツナ缶です。

開発するにあたり、まずターゲットとシチュエーションの選定を行いました。同商品は、大人の女性が週末に家飲みをするときにおつまみとして食べることを想定しています。

市場を絞って、ターゲットに響くものを作れば一定の販売数は見込めます。女性が手にしても違和感のないシックで洗練されたパッケージにこだわりました。「とにかく、女性に支持されるにはどうしたらいいかを考えました。そして自分へのご褒美として手にできるような、上品な缶詰にしたかったんです」と西村さん。

クレアテーブルで販売を開始してからは、フェイスブックなどSNSを使って商品のPRや、店頭で試食会をして食べ方の提案も行いました。

また、大人の女性がターゲットなので「雑誌『婦人画報』で紹介してもらえるような商品をつくる」を合言葉に、商品化を進めてきました。店舗での動向を見ながらタイミングを見極めて編集部に商品リリースを送った結果、『婦人画報』での掲載が決まりました。

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