北海道の農産物と主な取り組み
北海道は言わずとしれた農産物の宝庫です。日本各地で行われる北海道物産展はいつも大人気で、「おいしいものがあるところ」として常に注目を浴びている場所です。
北海道の主要の農産物は、生乳やジャガイモ、タマネギや小麦などが挙げられ、この4品目においては全国のシェア率が1位となっています。
幻のタマネギ「札幌黄」
札幌黄の特徴
札幌市東区の札幌村郷土資料館に、「我が国の玉葱栽培この地に始まる」という石碑が残されています。北海道にタマネギが伝わったのは1871(明治4)年。アメリカから「イエロー・グローブ・ダンバース」などの品種が持ち込まれたとされ、1906(明治39)年に「札幌黄」という名前が生まれました。その年に同試験場から発行された「北海道農事試験場彙報」に「『エロー・グローブ・ダンバース』なる原種が多年栽培の結果本道の風土に馴化するものとする」と紹介されました。
しかし、1970年代後半になると、病気に強く収穫量の多い一代交配種との入れ替わりが進み、栽培量が大きく減少。札幌黄は幻のタマネギと呼ばれるようになってしまいました。
生産状況
札幌黄は一代交配種と比べると収穫できる数が2割ほど少ないのですが、食味はオリジナルの良さを残しており、りん葉(※)が厚くて柔らかく、糖度と辛みのバランスも良いといわれています。加熱すると甘さが引き立つ特性から飲食店や加工業者に熱烈なファンを持っています。
2012年に「札幌黄ふぁんくらぶ」が飲食店や野菜ソムリエ、研究者を中心に発足。活動に刺激を受けた北海道の若手タマネギ農家に札幌黄の存在が注目され、再び脚光を浴びています。
※りん葉 うろこ状に重なる厚い葉のことで、普段食べている部分
でんすけすいか
「でんすけすいか」の特徴
上川郡当麻町で生産されるでんすけすいかは、皮が黒く、中身はシャリッとした食感で人気です。果肉は鮮やかな赤色をしています。出荷時期は真夏の7〜8月です。
名前の由来
でんすけには2つの意味が込められています。一つは、ユニークな演技で人気者だった今は亡き喜劇俳優の「でんすけ」こと大宮敏光さんの舞台名にあやかったもの。また当時は水田の転作がはじまった頃で、稲の代わりになるものを模索していた時期でした。稲の代わりにスイカを植えて「田を助ける」という意味を込めて「田助」なのだとか。
生産状況
現在はハウス栽培が増えて、安定した生産体制が整っています。首都圏などから需要が高いため、将来性がおおいに期待できる北海道の特産品です。
知内ニラ「北の華」
「北の華」の特徴
上磯郡知内(しりうち)町で生産される知内ニラ「北の華」は、北海道一の生産量を誇り、全国的にもその名が知られ、高い評価を受けています。葉幅が広く肉厚で、甘みが強いのが特徴です。北海道の雪の中で寒さに負けずに頑張って育ったことから「北の華」と名付けられました。
北の華のおいしい食べ方
おひたしやギョウザ、卵とじなど通常のニラと同じように楽しむことができるほか、地元の通な食べ方として「ニラしゃぶ」や「ニラ入りお好み焼き」などが開発されています。幅広い食材に手軽に利用することができます。
生産状況
「北の華」を生産する知内町ニラ生産組合は、「人の和」による組織活動を展開しています。1997年より始まったニラの鮮度を保つための100グラムごとのフィルム包装による品質管理を徹底した結果、販売金額もぐんぐん伸び、2010年には販売額10億円を突破しました。現在でも町全体で規模拡大へと努めています。
にいかっぷピーマン
「にいかっぷピーマン」の特徴
産地である新冠(にいかっぷ)郡新冠村は、日本有数の馬の産地として知られています。その土地の馬ふん堆肥をふんだんに使用した有機質たっぷりの土壌で育てられたのが、にいかっぷピーマンです。緑色が鮮やかに濃く、果肉が柔らかくて苦味が少ないのが特徴です。
名前の由来
ピーマンに限らず、新冠村では、この村で生産されたブランド農産物の頭にひらがなで「にいかっぷ」とつけることで、統一し、ブランディングを図っています。
にいかっぷピーマンの加工品・土産
「にいかっぷピーマン羊羹」「にいかっぷピーマンチップス」などの少し変わった加工品が、町内温泉施設と道の駅限定で販売されているためお土産に最適です。
生産状況
にいかっぷピーマンは全道一の生産量を誇り、町の主要農作物として新規就農者や経営転換による作付面積が年々増加しています。市場からの評価は高まる一方で将来性がおおいに期待できる特産品です。
※ 各品目の内容は、本調査時点(2014年9月~2015年)のものをベースに作成しています。一つの目安としてご理解下さい。
参考:『日本の地域食材2015年版』(NPO法人 良い食材を伝える会)