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川越いも、のらぼう菜など伝統野菜を復興! 地域の味がある埼玉県【47都道府県の地域食材】

連載企画:47都道府県の地域食材

川越いも、のらぼう菜など伝統野菜を復興! 地域の味がある埼玉県【47都道府県の地域食材】

埼玉県では伝統的に栽培されてきた小麦やクワイ、のらぼう菜、川越いもなどを復興させ、地域の特産物とする取り組みが盛んに行われています。また、小麦の生産も多く、うどんなど地粉を使ったものが学校給食にも提供され、地域の味や食文化が継承されています。埼玉県の伝統野菜を中心に紹介します。

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伝統野菜と農産物のブランド化

埼玉県では、ネギ、サトイモ、コマツナの生産量が全国1位を誇る他、キュウリとホウレンソウの生産量も全国2位とランクインしています。また、のらぼう菜、クワイなどの県内の伝統野菜を復興させ、特産化する取り組みも始められています。さらに、伝統野菜に加えさまざまな野菜や卵、肉などのブランド化も推し進められています。

比企のらぼう菜

特徴

江戸時代の古文書にも書かれている比企(ひき)地域に春を告げる伝統野菜で、栄養価が非常に高い葉物野菜です。東松山市、比企郡で生産されています。お浸し、炒め物、かき揚げなど、味にくせがないためさまざまな料理に利用することができます。ケーキなどの菓子類、コロッケ、うどんなどにも加工され、販売されています。

生産状況と将来性

2014年には、比企地域で82人の生産者が5.2ヘクタールで生産をしています。青果のほか加工原料としての需要もあり、生産振興が図られています。2014年には、35トンが生産されています。

富の川越いも(サツマイモ)

特徴

入間郡三芳町上富(かみとめ)を中心に生産されています。紅あずま、紅赤などが主な栽培品種で、江戸時代に三富開拓として開拓された土地で、落ち葉堆肥を肥料として栽培されるサツマイモです。焼き芋、てんぷらなどの料理、菓子類の原料などとして利用されています。

名前の由来

旧川越藩上富村の一字をとり、商標登録されています。

生産状況と将来性

都心に近いため、県外からも訪れる消費者が増えてきており、直売のほか、宅配便による販売も行われています。

ニホンナマズ

埼玉県

特徴

吉川市、加須市が主な生産地です。古くから親しまれてきた川魚ですが、共食いが多く養殖が難しかったものを、埼玉県農林総合研究センター水産研究所が養殖化に成功させました。天ぷら、つみれ、かば焼きなどとして食べられています。

生産状況と将来性

川魚料理店の多い吉川市においては、駅前にナマズのモニュメントを作るなど、ナマズ料理のPRを行っています。食用魚生産組合も組織し、ナマズの生産と消費に努めています。

あんぽ柿

あんぽ柿

特徴

秩父市、秩父郡小鹿野町・皆野町が主な産地です。半乾き状態の干し柿で、室内で乾燥させるためみずみずしく、柔らかな質感であることが特徴です。

名前の由来

天干し柿と呼ばれていたものが変化して「あんぽ柿」となったといわれています。

生産状況と将来性

生産量は年々増加しており、将来的には秩父地域の代表的な産物となるよう加工農家の推進と普及を図っています。2013年の生産量は、約5万個程となっています。

クワイ

特徴

越谷市、さいたま市、草加市、川口市で主に栽培されています。古くから縁起物として使われるクワイは、独特の苦みが特徴です。正月のお節料理など、祝い事に使用することが多く、含め煮、唐揚げ、クワイチップスなどとして料理されます。

加工品

クッキー、焼酎、くわい大福などの加工食品も生産されています。

生産状況と将来性

埼玉県は、全国有数のクワイの生産地であるものの、種苗の入手が難しく、新規栽培者が増えないため、栽培者が減少しているのが現状です。2010年の収穫量は、153トンとなっています。

小麦

小麦

特徴

熊谷市、深谷市、行田市、鴻巣市、児玉郡美里町などが主な産地です。埼玉県は、乾燥した風が吹いて晴天が続くなど、麦の栽培に適した気候であり、第二次世界大戦前から小麦の作付けが盛んな地域となっています。地粉を使ったうどんの生産も盛んです。小麦粉(中力粉)に加工されることが多く、学校給食用のパンやうどんとして地域の学校に提供されています。

生産状況と将来性

県内で収穫された小麦は、製粉されて小麦粉となります。グルテンの性質から中力粉という、うどんなど麺類に適したものになっています。2013年には、2万400トン程が収穫されています。

彩たまご

彩たまご

特徴

熊谷市、狭山市において、徹底的な安全・衛生管理の元で飼育された卵です。卵を産んだ鶏、エサ、生産地、農場などの衛生状態、サルモネラ対策などさまざまな安全や安心に関わる情報をインターネットに公開しています。安全・安心・新鮮な埼玉産のパック卵を「彩の国埼玉産彩たまご」として販売しています。

生産状況と将来性

趣旨に賛同している生産農場やGPセンター(※1)などが安全対策を徹底し、より多くの人に埼玉産の安心な卵を提供できるよう努めています。2013年に、566トンが生産されています。

※1…「グレーディング・アンド・パッキングセンター」鶏卵の格付(選別)包装施設のこと。

彩のかがやき(米)

特徴

減農薬栽培を基本とし、県下で統一された栽培指針のもとに、食味にこだわった栽培が行われています。埼玉県全域、主には北埼玉地域や県東部地域が主な生産地です。

名前の由来

埼玉県農林総合研究センターが育成した埼玉県オリジナルの品種です。県を代表する米になるようにとの願いがこめられ、県民公募から選ばれました。

生産状況と将来性

2004年に本格的な栽培が開始され、年々作付け面積が拡大されています。県のブランド米として定着してきています。2013年に5万5,300トンが生産されています。

狭山茶

狭山茶

特徴

入間市、所沢市、狭山市、秩父地方、本庄市などで生産されるコクと深みのある味わいが特徴の日本茶です。農家が生産から販売まで行うことが多く、独自の味・ブランドを作り出しています。

生産状況と将来性

2014年には埼玉県茶業青年団体に62人を有し、後継者も多く、技術の向上に向けて積極的な活動を行っています。2013年の収穫量は、537トンとなっています。

※ 各品目の内容は、本調査時点(2014年9月~2015年)のものです。一つの目安としてご理解下さい。

参考:『日本の地域食材2015年版』(NPO法人 良い食材を伝える会)

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