未熟なウメは毒に注意
ウメは、梅干しや梅酒といった家庭用の保存食に活用できる果物です。10グラム以下の「小ウメ」、10~25グラムの「中ウメ」、25グラム以上の「大ウメ」と大きさによって分けられます。代表品種である南高や白加賀は大ウメに分類されています。未熟な種子は青酸系の強い毒を発生するおそれがあるため生食はできません。梅酒のように加工することで、毒性が抜けていくといわれています。
鮮度の良いおいしいウメの見分け方
鮮度の良いおいしいウメは、果皮にハリがあり、表面に傷がありません。梅酒にするときには青くて硬いものを選ぶようにしましょう。梅干しやジャムを作るときには、黄色みを帯びたものが良いといわれています。
ウメの栄養
青ウメには、青酸配糖体の「アミグダリン」という成分が含まれており、摂取した場合、青酸中毒を引き起こす危険があります。青ウメ100個から300個が致死量といわれています。生食をすることは控えましょう。
ウメ干しの酸味の元となっているクエン酸には、疲労回復効果や食欲増進効果が期待されています。血圧調整やむくみの解消に効果があるといわれているカリウムも多く含んでいます。
ウメの旬と時期
加工品は1年を通して出回りますが、生のウメが出回る時期は5月下旬から。6月上旬から中旬が最盛期です。産地として有名なのは、和歌山県です。
ウメの保存方法
生のウメは日持ちしないため、購入したらすぐに加工する事が大切です。やむをえず保存する場合はダンボールや紙袋に入れて冷暗所に保存しましょう。冷蔵庫で保存すると、果皮が黄色くなることを防ぐことはできますが、褐色に変色する事があるので注意が必要です。
ウメの賢い使い分け
ウメ酒
ウメ酒を作る際に使用するウメは、熟度70%で青く光沢のあるものを使用するようにしましょう。外観が丸みを帯びているものは肉厚なので、ウメ酒に向いています。
梅干し
熟度80~90%のやや黄色いウメは、シロップや梅干し作りに最適です。
ウメの豆知識
梅干しをお弁当に入れる理由
梅干しに含まれるクエン酸は、殺菌効果が期待できるため、お弁当やおにぎりに入れることで食材が傷みにくくなります。
ジッパー付きポリ袋で作れる! 梅干しの簡単な作り方
梅干しを漬けるのは大変というイメージがあるかもしれませんが、初めてでも簡単にできる梅干しの作り方を紹介します。梅干しは、下漬けを行う「白梅干し」と、その後赤シソで漬ける「赤梅干し」の2つの工程があります。
【下漬け】白梅干しの手順(ウメ1キロを使用する場合)
1. ウメのヘタを取り外し、水洗いして一粒ずつ水気を拭き取り、大さじ2の焼酎をまぶします。
2. 1のウメをジッパー付きポリ袋に入れ、200グラムの塩を入れて全体に行き渡るようにします。カビ防止のため、塩の目安は重量の20%。減塩の場合でも15%は必要です。
3. 空気を抜き、袋の口を閉じてボウルに入れて、1キロの重しをして冷暗所で保管します。
4. 4日間程待ち、ウメが隠れるくらいの水分(梅酢)が出てきたら重しを外して冷蔵庫で梅雨明けまで保管します。
5. 梅雨明け後、晴天が続く時期に3日間天日で干します。全ての実に太陽が当たるように裏返しながら干し、夜は取り込みます。これで「白梅干し」の完成。そのまま食べることもできます。
【本漬け】赤梅干し(本漬け)の手順
1. 赤シソの葉1束はよく洗って乾かします。大さじ1の塩を入れてよくもみ、出てきたアクを捨てます。さらに大さじ1の塩をまぶして再びもみ、かたく絞ってアクを捨てます。
2. 1に下漬けでできた梅酢を注いでよく混ぜ合わせ、下漬けの袋に戻して空気を抜き口を閉じます。500グラムの重しを乗せて冷蔵庫で梅雨明けまで保存し、その後天日で3日間干せば完成です。
ウメの種類
ウメの種類は多種多様。それぞれどんな加工が向いているのかも合わせて紹介していきます。
南高
大型で、日に当たった果皮は赤く染まります。肉厚で梅干し向きのウメです。
白加賀
関東で主に栽培されており、果肉が緻密で繊維が少なく、梅酒や梅干に最適な品種です。
古城(ごじろ)
鮮やかな緑色で、香りがいい品種。梅酒やジュースなどの飲み物向きです。
紅王
主に弁当用の梅干しに多く使われます。日が当たった部分が赤く色づきます。
白王
弁当用の梅干しに加工されることが多いです。和歌山県の小梅の主力品種です。
剣先
青みが強く、果肉は肉厚なのが特徴。梅酒やシロップ作りにおすすめです。
鶯宿(おうしゅく)
果肉が硬めでカリカリとした歯ごたえになるウメです。梅酒に最適です。
改良内田(かいりょううちだ)
ウメには珍しく、自分の花粉で果実ができる性質があります。
梅干しや梅酒を手作りすると、一年を通して楽しむことができます。健康効果の高い果実であるウメを、積極的に食生活に取り入れてみませんか。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)