試行錯誤を繰り返して行われた「すいおう」の開発
「すいおう」の開発は1995年にスタート。まずは、優良なサツマイモの系統を選ぶために、国内外の多数の既存品種や、食用・加工用として育成中の系統について、茎葉部の収量性や食味、成分含有量などが調査されました。
次に、大学や野菜・茶業試験場の協力のもと、選び抜いた系統の食味試験を実施。加工適性や機能性、栽培法の研究に関しては、農林水産省のプロジェクトや企業との共同研究「機能性を持つ農林水産物・食品開発プロジェクト」等で実施されたといいます。
「開発段階では、サツマイモの茎葉のえぐみや青臭さが不評で、食味試験のパネラーを集めるのが大変だった」。また、開発当初は茎葉利用研究に賛同する研究者が少なく、理解と協力を得るまでに時間がかかったそうです。
その後、試行錯誤を重ねた末、ついに収量性や食味に優れている品種の開発に成功。葉が大きく、濃厚な翠色をしていることから『すいおう(翠王)』と名付けられ、2004年に品種登録されました。
※1反あたりの収穫量になります。
一般的なサツマイモと「すいおう」の違い

べにはるか
「すいおう」の見た目は一般的なサツマイモと異なり、表面が黄色みを帯びた白色で、少しガサガサしています。
葉が大きく茎葉が良く繁茂し、収穫量が多くなりますが、ツルは長く伸びません。「すいおう」のように、茎が少し立ち上がり、あまり地面を這わない特徴を持つ草型(※)は「やや立ち型」と呼ばれ、サツマイモの中ではコンパクトな草型だといわれています。
※草型 茎や枝張りなどの特性による分類。草姿。
「芋の部分は筋が多く甘みも弱いため、そのまま食べると芋の部分は筋が多く甘みが弱いですが、調理素材として使うことは可能です」。焼酎の原料として利用することもできるそうです。
「茎葉の風味は、くせがなく、香りもありません。焼き肉などを巻いて、生のまま食べる方もいますね。葉柄(※)の皮を剥いて調理すれば、様々な料理に使うことができます」。
※葉柄 葉を茎や枝と繋ぐ、葉の細い柄の部分。
また、生の茎葉を炒め物や和えものなどに使えば、葉柄のシャキシャキとした食感が、料理のアクセントになります。そのほか、茎葉を粉末にして、お茶やもち、パン、パスタなどの製品の原料に用いている例もあるそうです。