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米からエタノールを作る!岩手県奥州市の地域循環プロジェクト(2/3)

米からエタノールを作る!岩手県奥州市の地域循環プロジェクト

日本有数の米どころ岩手県奥州市。増えていく休耕地を活用し、美しい田園風景を復活させたいという思いから始まったのが、米からエタノールを作るプロジェクトです。2013年4月からこのプロジェクトを引き継ぎ、さらにその製造過程でできる「米もろみ粕」を採卵鶏のエサとして活用する地域循環システムを実現させている、株式会社ファーメンステーション。代表の酒井里奈(さかいりな)さんに話を伺いました。

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増えて行く休耕地を活用したい

発酵
米からエタノールを作るプロジェクトが始まったきっかけは、増えていく休耕地を見かねた地元の米農家たちの声でした。水田をどう活用するのかアイデアがいくつか出た中、米からエタノールを作って燃料にすることを思いつき、岩手県奥州市の実証実験としてスタートしました。

まずは当時の胆沢町(いさわちょう:現奥州市)の農家、町役場の方々による勉強会から始まり、2007年より収穫米の作付けを開始。2010年に奥州市の事業として本格的に実証実験が始まり、2013年4月からはファーメンステーションがプロジェクトを引き継ぐ形で進めています。
発酵
現在も地域の農家と一緒に取り組んでプロジェクトを進めています。米は休耕田だった水田で、地元の仲間である農事組合法人「アグリ笹森」が栽培した非食米を使用。それを自社工場でゆっくりと時間をかけて、手作業で発酵・蒸留してエタノールを製造します。当初はエタノールの燃料利用を想定したそうですが、採算性を確保することが難しいことから発想を転換し、化粧品の原料とすることに決めたそうです。

ほんのり香るお米の匂いが特徴

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エタノールは、昔ながらの機械で丁寧に破砕した無農薬・無化学肥料の米に、麹や酵素、酵母を加えじっくり発酵させます。アルコール発酵したもろみを蒸留し、エタノールが生成されます。抽出されたエタノールは、ほんのりお米の香りがするのが特徴。化粧品原料として利用されるほか、自社商品として、消臭スプレー、アウトドアスプレー、ボディミルクなどに使われています。

米を利用した地域循環プロジェクト

発酵
このプロジェクトは、米からエタノールを作るだけにとどまらず、地域循環プロジェクトとしても機能しています。

米からエタノールを作る工程で発生するのが、やわらかい「もろみ」と言われるもの。もろみを蒸留した後に残る「米もろみ粕」は、発酵の過程で使われる酵母等が含まれており、栄養価の高い飼料として、近隣の養鶏農家「松本養鶏所」で利用されています。

この鶏の卵はコクがあると評判で、家庭用のほか、クッキー、ケーキなどに加工されています。また、鶏糞は田畑の肥料として利用され、米から始まり米に帰る地域循環システムを実現しています。今後は県内の牛への給餌も考えているそうです。
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