納豆消費額の全国1位奪還をめざして

水戸市のマスコットキャラクター「みとちゃん」
昔から納豆が身近な食材であった水戸市では、納豆の消費量が全国でもトップクラスです。総務省家計調査(※1)で、1世帯(2人以上)あたりの納豆に関する年間支出金額で見ても、2014年から2016年の水戸市の平均は5,404円と全国でトップレベルを維持しています。
しかし、各年の消費量では、2013年は5,916円で全国1位になっているものの、2014年は5,424円で2位、2015年は5,226円と4位まで順位を落としてしまっています。
「2015年に消費額が少し落ちてしまった原因は不明です。ですが、昔から水戸は納豆の町として広く知られていますし、市民の納豆への愛は日本一と自負しています。そこで、水戸市と茨城県納豆商工業協同組合が力をあわせ、納豆消費額1位を奪還することを目標に、さまざまなイベントなどを企画するようにしました」。

2012年から行われている「納豆列車」のイベント
毎年7月10日の「納豆の日」は、水戸駅前で納豆のイベントを茨城県納豆商工業協同組合が実施しています。水戸市のマスコットキャラクター「みとちゃん」が登場するほか、納豆の早食い大会や県内各メーカーの納豆を試食できる「納豆食堂」、納豆PRパネル展示といった企画が行われています。
さらに、2012年から毎年行われている「納豆列車」の企画も継続して実施。
「これは、ひたちなか海浜鉄道湊線の車両の中で、納豆とごはんを配り、無料で地元の納豆を食べてもらうという人気のイベントなんです」。
その他、他県で開催されるイベントへの出店や水戸市の観光課、水戸観光コンベンション協会と連携した地元商業施設での納豆イベントの開催など、様々なPRイベントが行われました。
このようなプロモーションの成果もあって、2016年は5,565円と全国1位に返り咲いたのです。
贈答品や土産品で大手メーカーとの差別化を図る
昨今は納豆市場が右肩上がりで拡大しているといいますが、それは大手メーカーが主体の話だそうです。大手は生産量も多く低価格で提供できますが、中小メーカーでは価格競争で大手と張り合うことは難しいのが現状です。
そこで、水戸市の納豆メーカーでキーとなるのは、大手メーカーの納豆と差別化を図ることです。贈答品や土産品などに力を入れて販売を促進したり、国産大豆を積極的に使用したり、大豆の品質にこだわったり、様々な取り組みが各メーカーで行われています。
「わらに詰められた納豆やおしゃれなケースに入った納豆などは、自分では買わないけれど人からもらうと嬉しい物なのでしょう。大豆や納豆菌など原料にこだわった納豆も、手土産品に最適と喜ばれているようです。
さらに、調味した納豆を干して作り、お茶請けや酒の肴になる「ほし納豆」のほか、ふりかけやチョコレート、せんべいなどに納豆を使用した各種加工品も水戸市では開発され販売されています。普段の食卓に納豆を利用するだけでなく、お茶菓子やスイーツなどでも納豆の消費量をあげようという試みが広がり始めています」。
全国納豆協同組合連合会が毎年実施している「全国納豆鑑評会」で認められると、知名度アップや品質への信頼なども上がることから、入賞を目指して商品開発などに励んでいる地元メーカーも多いようです。