1.日本の農場の実態は?
これまでのGAPの説明から、読者は「日本の農場は安心・安全が保証されていない」という印象を抱かれたかもしれません。実際、GAPの基準で、実際の農場をチェックしてみると、安心・安全が保証されている要素とそうでない要素に分かれています。福井県のGAP推進責任者によると、「農薬使用履歴、農機具のメンテなどはすでに取り組んでいる農場は多い。一方、土壌分析、残留農薬分析、農薬保管庫施錠、トイレの設置、危険物保管場所設置は、費用がかかるので、すぐには取り組みにくい。また、リスク評価、施肥計画、IPM(総合的病害虫管理)はコンサルタントや営農指導者など外部の者が、教育などを通じて少し手助けすれば取り組みが進みます」(2017年度GAPシンポジウム、一般社団法人日本生産者GAP協会主催)。今回は、手助けすれば、取り組みが進みやすいリスク評価と施肥計画を取り上げます。
2.リスク評価とは?
リスク評価とは、ハサップ【HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)】と言い、「食品の安全性にとって重大なハザード【危害要因】を特定し、評価し、コントロールするシステム」です。たとえば、ハンバーグを出すレストランでは、ハンバーグ由来の食中毒を防ぐために、その加熱時間・加熱温度・測定箇所を決める仕組みです。
このHACCPがGAPに応用されています。ただし、HACCPは食品工場やレストランなど、天候の変化や外部からの細菌の侵入などをコントロールすることが可能な環境で開発されたものです。ですから、天候に左右されやすい農場では、作物(食品安全)、作業者(労働安全)、農場の周りの環境(環境保全)に対して、どういうリスク(以下のリスク評価の例を参照)があるか、栽培・収穫・取扱いという各工程について、働いている人が話し合いをすることがHACCPと考えてよいでしょう。そして、そのリスクが発生しないような作業(管理手段)を決め実行します。













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