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マグロ、タイ、スッポン…築地市場の「拾得物掲示板」がすごい!“即興料理”の匠も登場

マグロ、タイ、スッポン…築地市場の「拾得物掲示板」がすごい!“即興料理”の匠も登場

2018年04月25日

4月からの新生活も、そろそろ一カ月が経過。緊張がゆるんだ頃に増えるのは、「体重」か「落とし物」では。きょう4月25日は、1980年の同じ日に東京・銀座で、1億円の落とし物があったことにちなんで、「拾得物の日」に制定されています。とにかく落とし物の品目がすごい!という、奇しくも銀座のお隣にある “とある場所”を探訪しました。

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らしさ爆発!拾得物掲示板の“ラインナップ”とは

どこかといえば、東京観光の要所の一つ「築地市場」。

外国人観光客から「築地フィッシュマーケット」と呼ばれるなど魚市場のイメージが強いですが、
野菜や果物を扱う青果市場もあります。

正門前には、何やら異彩を放つホワイトボードが。

こちらは築地市場内での落とし物周知のため、その内容がリストアップされる「拾得物掲示板」。
正門巡視詰所常駐の都の職員さんが管理し、落し物の内容を書き上げるのですが、
その品目が「実に築地らしい」と、SNS上などで注目されています。

マグロ、タイ、毛ガニ、生ワサビ…などと、他の場所とは一線を画すインパクトの強さ。
落とし物が発生したら、見つかった場所と名目が場内アナウンスで知らされます。

落とし物のほとんどが、市場関係者が運搬時などに落としたものだといいます。
今まででインパクトの強かった落とし物は、「活きたスッポン」だそうです!

粋!“落とし物縛り”の食材で即興料理

日々更新される、インパクト大な看板。
眺めるだけでなく、驚きの方法で周知の一端(?)を担っている人が築地にいました。

始まりは、こちらの掲示板・・・2017年のある日のものです。

いわし、生パン粉、ちりめんじゃこ、オレンジ…。

この‟食材”にピンときてしまったのが、ウェブサイト「築地市場ドットコム」の運営などを行う
株式会社 食文化の小林乙彦さん。
現在は築地市場ドットコムのセールスマネージャーとして活躍されています。
飲食店の店長として働いたご経験をお持ちです。

築地市場ドットコムのTwitterアカウントでは、運営する「中の人」が毎朝の出勤時に撮影して、
ほぼ毎日掲示板の写真を公開しています。

築地らしい食材が並ぶ掲示板を見て、料理が得意な小林さんが思い付いたこととは…?

「築地ならではの落し物がわんさかの、ある種の名物ですが、
Twitterで特に多い反響が『一品できそう!』といったものです」
そんな声を受けて、一皿作ってみました」

と、‟落とし物食材しばり”で即興料理を作ろうということでした。

この日の掲示板を見た小林さんの脳裏に浮かんだのは、イタリア・シチリア島の郷土料理。
シチリアは、「地中海の豊富な海産物と、最近日本でも作られるようになってきた“ブラッドオレンジ”などの柑橘で有名です」(小林さん)。

開いたイワシにパン粉、アーモンド、松の実、ケッパー、オリーブ、レーズンなどを挟み、
アンチョビとレモン汁を加えて焼き上げる、伝統料理「ベッカフィーコ」の食材に似ていることに気づき、
「今回はそれぞれ、ちりめんじゃことオレンジで置き換えました」と、小林さん。

仕上げに、ドライオレガノとオレンジを搾ります。

地中海の風薫る、こんなに素敵な一品が出来上がりました!

ちなみに小林さん、料理に使う食材は律儀にも場外で仕入れているそうです。
もちろん落とし物の現物ではありませんので、ご安心を。

こちらをブログ上で公開しTwitterで拡散したところ、
Twitterのフォロワーからは、「落し物ご飯、わくわくする!」などのコメントが届き好評を集めます。
今では、ハッシュタグ「#落とし物でゴハン」を付け、即興料理を披露する“人気連載”となりました。

ここで少し、即興性と柔軟性、そして豊富な調理の知識が試される、
奥深い落とし物ゴハンの世界を覗いてみましょう!

ストイック!徹底したコンセプト

この日の掲示板には、築地の寵児・マグロの文字が踊ります。

そのほかの食べ物系落とし物は・・・長なす、ホンビノスガイ、ぶどう、葉生姜。
仲良く並ぶ「現金」には目もくれません。

本日の迷える主役たちの集合写真は、こちら!

まずは、付け合わせの薬味作り。下準備にも余念がありません。

「今回はぶどうが落ちていたということで、砂糖を使わずに、ぶどうの甘さとワインビネガーだけで2日ほど漬け込みました」(小林さん)。

あくまでも、落とし物食材にこだわる小林さん。ストイックすぎますっ!

ぶどうの皮も一緒に漬け込むことで、葉生姜が可憐な薄ピンクに色付きました。

この付け合わせのメニュー名は、「葉生姜のアグロ・ドルチェ」。こちらもイタリア・シチリア伝統の保存調理法だといいます。
「アグロ(酸っぱい)とドルチェ(甘い)ということで、つまりは『甘酢漬け』です」(小林さん)。

マグロは、ゴマをまぶしてレアステーキに。こちらもシチリアの伝統的な食べ方とのこと!

酸味の効いた爽やかなショウガと、香ばしいゴマに包まれたコクのあるマグロの相性が良さそうです!

もう一品は、とっても贅沢なマグロと貝のトマトソースパスタ!

「まずは、ホンビノスガイでスープを取り、フレッシュトマトのソースと合わせてボンゴレ・ロッソを作ります。
これに貝の身と多めの油で炒めた角切りの長なす、そしてマグロのタタキと合わせて、ラグーにしました」と、小林巨匠。

赤身の魚に合うフレッシュな赤ワインを添えて、華麗な食卓の完成です。

即興でこの出来。まるでベテラン俳優の巧みなアドリブ演技を見せられているようです。

しかし、これはまだまだ序の口・・・小林さんの腕は鳴り止むことを知りません。

モノクロの掲示板から生まれる、洒落っけたっぷりな食卓

この日の落とし物掲示板は、こちら。

甘えび、車えび、赤えび…とエビのレパートリーが色々あるのが築地らしい!
8月28日に迷子になった「ハーブ」は、西洋野菜とともに、築地の青果市場で多く取引されている作物です。

3種のエビと、フレッシュハーブをたっぷり用意した小林さん。

「エビ祭り」と称して、素敵なフルコースを作ってしまいました!

まずは、3種のエビを使った前菜3点盛りから始まります。

「甘えびは身と卵をシブレット、スペアミント、ペッパーミントと一緒に、オリーブオイルとピンクソルトで和えたカッペリーニに」。
巣にこもっているようで可愛いですね。

ハーブとエビをたっぷりつかったスープ、リゾット…と続き、

豪快なワイン蒸しでフィニッシュ!

お見事!としか言いようがありません。

「ここまでやりきった食卓は、それはそれは楽しいものでした!」と小林さん。
(フルコースの全貌はブログでどうぞ! )

隠し味は、トンチという名のスパイス

小林さんの対応力が炸裂したのが、こちらの掲示板から生まれた落とし物ご飯。

こういう余白が多めの日もあるんですね。本来は、何よりのことです。
年に何回かは、真っ白な日もあるんだそう。

ハマグリと、とびっこ・・・。こちらのお題から、和洋折衷の一品を思いついた小林さん。

ハマグリのスープで作ったリゾットを、セルクルに詰めて海苔を巻き巻き…

たっぷりのとびっこと、オリーブオイルと白醤油を掛けて焼いたハマグリを載せて、
へい、お待ち!「ハマグリととびっこのリゾット 軍艦仕立て」のできあがり。

もはや恐ろしいほどの応用力です!小林さん、仕事デキるんだろうなぁ・・・。

さて、ラストにご紹介するのは、掲示板の常連だという「交通系ICカード」にまつわる一品。

うーん、「Suica」って食べられるやつ?食べられないやつ…?ずっと眺めていると分からなくなります…。

「普通の場所での落とし物ならICカードに決まっていますが、ここは築地市場。
青果のスイカという可能性もゼロではない・・・どころか結構落ちてます」(小林さん)
ということで、食材に認定!

スイカ、マダイ、シャケを使った落とし物クッキングのスタートです。

魚は食べやすい大きさに切って、シンプルに塩とオリーブオイルを。

メイン(?)のスイカに、塩とレモン汁を加え、軽くミキサーにかけて冷凍庫へ。

通常は「グラニータ」というデザートとして食べますが、今回は冷たいソースとして使うので、
シャリシャリの状態で冷凍庫から取り出し、フォークで崩します。

紅白の魚の上に載せて・・・

掲示板から生まれた絶品料理「マダイとシャケのカルパッチョ suicaのグラニータ」の完・成です!
小林シェフのトンチという名のスパイスが、絶妙な隠し味に◎

モノクロの掲示板から、命を吹き込まれた新鮮な食材を使ったメニューの数々。
築地の“現在”と、“らしさ”が詰め込まれています。
SNSやブログを通して市場の日常と魅力を伝える、“築地の人々”のユーモアに脱帽しました。

くれぐれも、大切な物や人は肌身離さず管理して、楽しいGWを!

協力・写真提供:株式会社 食文化

【関連サイト】
築地市場ドットコム Twitterアカウント
築地市場の情報発信サイト TSUKIJI BLOG

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