収入保険のポイントまとめ
新しい作物を生産する。販路を拡大する。複合経営を行う。農業者の新たな試みを支える「収入保険制度」。そのポイントを改めて整理します。
収入保険制度のポイント
・原則としてすべての農業経営品目が対象
(米、畑作物、野菜、果樹、花、たばこ、茶、しいたけ、はちみつなど、ほとんどの品目をカバー)
・自然災害による被害、価格の下落、為替変動のリスク、販売先の倒産、従業員のけがや病気による収入減少など、農業者の経営努力では避けられない収入減少を補てんする(捨て作り、意図的な安売りは対象外)。
・農業経営全体として加入する。
さらに、
・農業者ごとの収入減少を補てんするので、取引先は選ばない。
・農作物の保管中の事故も対象(例:倉庫に保管していた米が浸水で売りものにならなくなる)
・加工品であっても、自ら生産し、加工・販売したものは保険の対象
・損害がなければ翌年の保険料率は下がる
という特長を備えています。
補てんされる収入の基準 その設定方法
収入保険は、農業者ごとに設定される過去5年間の平均収入を「基準収入」として、保険期間の収入がその基準収入の9割(補償限度額)を下回った場合に適用されます。基準収入を下回った額の9割(支払い率)について「掛捨ての保険方式(保険金)」と「掛捨てとならない積立方式(特約補てん金)」の組み合わせで補てんします。
1 基準収入の8割までを保険方式で補てん
2 9割までを積立方式で補てん
3 1割は自己責任部分
基準収入の設定
・農業者ごとの過去5年間の平均収入を基本にして、保険期間の営農計画も考慮し、基準収入を設定します。
・農業者が経営面積を拡大する場合や、過去の収入に上昇傾向がある場合は、客観的な算定ルールを用いて再設定します。
・経営面積を拡大する場合は、過去の単位面積当たりの平均収入と、保険期間の経営面積を使って上方修正します。
・過去の収入に上昇傾向がある場合は、過去5年間の平均収入および、各年の上昇傾向の平均値を用いて上方修正します。
・その反対に、経営面積を縮小する場合や単収・単価の低い作物へ転換する場合は、これらを加味して下方修正します。
収入保険の補てんされる範囲と、補てん金額のベースとなる基準収入の設定方法について確認したところで、次回は農業者が支払う保険料の算定方法と補てん方式についてお伝えします。「第3回保険料の算出方法と補てん方式」は2018年5月5日に掲載を開始します。