保険料の算出方法と補てん方式
これまでの2回で、収入保険制度の特長や、補てんされる金額、そのベースとなる基準収入について触れてきました。第3回は農業者ごとに異なる保険料の算出方法と補てん方式について、例を交えて紹介します。
・保険料が経営にとって、過度な負担にならないようにするため、支払い保険料は「掛け捨ての保険方式」と「掛け捨てとならない積み立て方式」の組み合わせを基本に算出します。「掛け捨て部分」と「積み立て部分」の保険比率、積立方式への加入は農業者が選択します。また、加入者が補償限度額を選択することによって、保険料は個別に異なります。
・自動車保険と同じように、保険金の受け取りが少ない場合、翌年以降、保険料(掛け金)率は段階が下がります(事務費は別途必要)。
※保険方式と積立方式の違い
・掛け捨て保険方式
保険の補償限度額を大きくするほど、掛け捨ての掛け金が高くなります。
収入が安定するように努力している経営者は、掛け金を毎年払うものの、保険金を受け取る可能性は少なくなります。
・積立方式
積立の補償限度額を大きくすると、積立金の掛け金が高くなりますが、経営者自身の積立金になるので、掛け捨てにはなりません。
参考試算
農業者の保険料・積立金と補てん金額の試算
〇基準収入が1,000万円の農業者が、補償限度9割(保険料8割+積立1割)、支払い率9割を選択した場合の試算
保険料・積立金の計算方法
・保険料=基準収入×補償限度(0.8を上限に選択)×支払い率(0.9を上限に選択)×保険料率
・積立金=基準収入×積立幅(1割)×支払率(0.9を上限に選択)×1/4
保険料率(試算)
補償限度・80%
保険料率・2.0% / 国庫補助(50%)後の保険料率・1.0%
※調査事業において収集した2006年(平成18年)~2014年(同26年)までの農業者ごとの収入データに基づく試算。今後、引き続きデータ収集などを行い、変更があり得る。
保険料・積立金の金額
農業者が用意すべきお金は
保険料 72,000円(掛け捨て)
積立金 225,000円(掛け捨てではない)
合計 297,000円
※掛け捨て部分については50%、積み立て部分については75%を国庫で補助する。
※保険料は掛け捨て。積立金は補てんに使わない限り、翌年に持ち越されます。
※農業者は別途事務費を支払います。
出典:農林水産省Webサイト(http://www.maff.go.jp/j/keiei/nogyohoken/syu_kyosai.html)
収入保険制度の特長や、補てん、保険料の算定方法などに触れてきた連載の最終回は、制度導入のスケジュールと、それまでに必要な準備についてお伝えします。「第4回収入保険制度の加入条件とスケジュール」は2018年5月6日に掲載を開始します。