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神戸オーガニック農家6人組のCSAファームシェアが近郊農業を変える

神戸オーガニック農家6人組のCSAファームシェアが近郊農業を変える

CSAとは何でしょうか。コミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャーの略で、消費者が前もって野菜代金を農家に支払い、農家はそれで種や苗を買うという仕組みです。日本ではまだ珍しいCSAに取り組む有機農家グループ「ビオ・クリエイターズ」。発起人であるナチュラリズムファームの大皿一寿(おおさら・かずとし)さんに活動の全貌を伺いました。

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「ビオ・クリエイターズ」結成

──「ビオ・クリエイターズ」とは何ですか。
神戸市西区の「ビオ・クリエイターズ」は、農薬、化学肥料を使用せずに米や野菜を栽培する有機農家のグループです。現在のメンバーは6人で、そのうち4人が就農5年以内の新規就農者です。

なちゅらすふぁーむの石野武(いしの・いさむ)さんは20代

グループ結成のきっかけはCSA(シー・エス・エー)に挑戦するためでした。日本ではまだ知られていませんが、アメリカ西海岸で広がっている先進的な農業のシステムです。コミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャー(Community Supported Agriculture)の略で、「地域が支える農業」という意味ですね。

──CSAについて詳しく教えてください。
お客さんに数ヶ月分の野菜代金を先払いしてもらい、私たちはそれで種や苗を買ったり、初期の設備費に充てたりします。育児世代でもある若い新規就農者の暮らしを安定させ、離農を防ぐのが最大の目的です。

私は脱サラして就農し、自分自身が販路開拓に最も苦労しました。「若手の農家に同じ苦労をさせてはならない」という思いがずっとあるんです。CSAという仕組みを知ったとき、近郊農業の神戸に適していると考え、ぜひ実践してみたいと思いました。

「ビオ・クリエイターズ」独自のCSAシステム

──価格帯はどうなっているのですか。
販売価格は10週分を2万円、5週分を1万2,000円で設定しています。現在26名のお客さんと契約しており、なかには年間契約の方もいます(2018年4月30日現在)。

お客さんには週に1回、決められた曜日に「ピックアップステーション」という場所に野菜を取りに来てもらいます。私たちは神戸市内に4つの「ピックアップステーション」を設けました。野菜の内容は毎回おまかせで、約10種類の季節の野菜をセットにしています。

──野菜セットには何が入っているのですか。
ラディッシュ、ニンジン、ホウレンソウといった定番の野菜から、ビーツ、ルッコラ、カーリーケールなどスーパーでは手に入りにくい珍しい野菜も入ります。

自分1人でCSAをやろうとすると端境期に野菜がなくなる可能性があります。グループで取り組めば、より多くのお客さんに、毎週、野菜のセットを届けることが可能になります。

お客さんにとってのメリット

ナチュラリズムファームのヤギは大人気

──お客さんは先払いが負担になりますね。
確かにそうかもしれません。でも、今まで契約してくれたお客さんは、ほとんどの方が更新してくれていますよ。やはり「顔が見える安心感」があるのだと思います。農家とお客さんが仲良くなり、共に地域の農業を守っていこうという仲間意識も強まっています。

──CSA限定のファームツアーもあるようですが。
4月初旬に、かねてから企画していたファームツアーを開催しました。農家とお客さん、総勢27名でビオ・クリエイターズの畑を巡り、収穫体験をします。今回はナチュラリズムファームと谷下農園に行きました。最後は神戸市内のレストランでCSA野菜を使ったランチを食べ、楽しい時間を過ごしました。

CSAが近郊農業の未来を変える

──CSAのお客さんはどんな人ですか。
オーガニックに関心の強い女性や、若いファミリー、熱心に家庭菜園をされている方などです。CSAは子供たちの食育にも非常に有効ですよ。ファームツアーなどを通じて友達の輪が広がり、新たな地域コミュニティも生まれています。

──どうやってお客さんを集めたのですか。
今までは口コミやファーマーズマーケットなどで告知してきました。末永く続けるために、もう少しお客さんの数を増やすのが次の目標ですね。PR活動にも力を入れたいので、クラウドファンディングサイト「Readyfor」で支援を募っているところです(2018年4月30日現在)。

──オーガニックにCSAは適していますか。
私たちは農薬や化学肥料に頼らず、自然環境と食の安全を守ることを優先しました。経営上は、どうしても非効率になってしまいます。有機農業は主に家族単位の小規模農家からなっていますので、継続していくには地域の仲間が必要なんです。CSAはオーガニックの販路として非常に有効だと思います。

CSAは楽しいですよ。お互いの顔が見えるからこそ、やりがいを感じています。昔から大切にされてきた日本らしい農業、つまり身近な人が食べるものを作るっていう食の原点に帰れるような気もしていて。「ビオ・クリエイターズ」は近郊農業の未来を変えていきます。

ビオ・クリエイターズ
ナチュラリズムファーム

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