有機肥料とは? 化学肥料との違いについて
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有機肥料とは? 化学肥料との違いについて

有機肥料とは? 化学肥料との違いについて
最終更新日:2019年07月02日

肥料をどう使うかは、農作物の生育を左右する重要なポイントです。肥料にはさまざまな種類がありますが、大きく「有機肥料」と「化学肥料」の二つに分けられます。この二つには、どんな違いがあるのでしょうか?
ここでは、有機肥料の役割と特徴を化学肥料と比べながら紹介していきます。

生物由来の有機物が原料の「有機肥料」

有機肥料とは、油粕や魚粉、鶏糞など、植物性または動物性の有機物(炭酸そのものを除く炭素を含む化合物)を原料にした肥料のことです。
これに対し、鉱物などの無機物を原料として、化学的方法により製造された肥料を化学肥料といいます。

有機肥料の役割は栄養補充と土壌改良

有機肥料の役割は、主に土への栄養補充と土壌改良です。農作物は、土から根を通じて窒素やリン酸、カリウムなどの無機養分を吸収して育ちます。しかし、土の中の養分には限りがあるため、放っておくと養分がなくなってしまいます。そこで、肥料を使って土に養分を補います。有機肥料は、土の中の微生物の働きで分解されることで、植物が吸収できる養分に変わるため、一般に即効性はありませんが、効果は長く続きます。一方の化学肥料は、水に溶け込むことですぐに植物に吸収されるため、即効性が高い反面、特殊な加工を施した肥料を除き、効果が続く期間は短いのが特徴です。

有機肥料は土の中の微生物の餌になることから、微生物の種類が増えて農作物が育ちやすい土になることが期待されます。微生物で分解されなかった有機物の一部は土に残り、団粒形成の促進に寄与します。その結果、土の物理性(通気性や保水性など)が高まります。化学肥料にはこの効果はありません。

有機肥料の種類

主な有機肥料には、次のような種類があります。

油粕

油粕とは、大豆や菜種などから油を搾った後に残る、搾りかすのこと。植物に必要な三大栄養である窒素・リン酸・カリウムのうち、葉・茎の生育を促す窒素を多く含んでいるのが特徴です。油粕は、多量にまくと分解の際にガスが発生して作物の生育を阻害したり、土の表面にまくとコバエが発生したりすることもあるので、使用には注意が必要です。

鶏糞

鶏糞は、養鶏所から出るニワトリの糞を乾燥・発酵させた物です。窒素・リン酸・カリウムをバランスよく含み、マグネシウムやカルシウムも豊富に含んでいます。比較的低価格で扱いやすく、乾燥鶏糞(鶏糞ペレット)、発酵鶏糞(鶏糞堆肥)、炭化鶏糞などの種類があります。

魚粉

魚粉は、イワシなどの魚を煮て水分と油分を取り除き、乾燥させた後に粉砕したものです。窒素とリン酸を多く含み、窒素はタンパク質の形であることから、土壌中での分解は速やかに進みます。有機肥料の中では窒素の即効性が高いため、元肥のほか追肥にも使われます。

骨粉(こっぷん)

骨粉は、豚や鶏などの骨を乾燥させた後、細かく砕いた物です。多少の窒素と多くのリン酸を含んでいます。少しずつ分解されて吸収されるため、効果は非常にゆっくりと現れ、長続きするのが特徴です。

米ぬか

米ぬかは、玄米を精米する際に出る粉です。窒素・リン酸・カリウムのほか、ビタミンやミネラル、糖分も多く含んでいます。脂質が多いため、油粕よりも分解はゆっくり進みます。水田では、除草の目的で表面施用されることがあります。

草木灰(そうもくばい)

落ち葉や枯れ草などの草木を燃やしてできるのが草木灰です。カリウムを多く含むほか、石灰とリン酸も含んでおり、酸性の土壌を中和するためにも使われます。即効性が高いため、元肥のほか、追肥にも使われます。

有機肥料と化学肥料の特徴

即効性は低く持続性が高い有機肥料と、即効性は高いが持続性はない化学肥料。それぞれのメリットや特徴をまとめました。

有機肥料の特徴

・原料は、植物性または動物性の有機物
・肥料の種類によって違いがあるが、全体的に即効性は低く持続性が高い
・銅、亜鉛など、植物の微量必須要素の給源としての効果も期待できる
・利用することで土壌が改良されるメリットがある
・微生物の働きによって分解状況が変わるので、量の調整が難しい
・過程でガスが発生したり、においが強かったりする物もある
・自然の素材を発酵・熟成させて作るので、肥料ができるまでに時間がかかる
・原材料に限りがあるために大量生産は難しく、その分価格は高め

化学肥料の特徴

・原料は空気中の窒素や鉱物などの無機物
・全体的に即効性が高く、持続性は低い
・微生物の影響を受けず、植物に吸収されやすい
・臭いやガスが発生しない
・有機肥料のような土壌改良効果 はない
・過剰使用すると「肥料やけ」(根が障害を受け、しおれたり枯れたりすること)が起こりやすい
・工場で大量生産が可能なため、安定した品質のものが安価に手に入る

肥料は状況に応じて使い分けを

有機肥料・化学肥料と聞くと、生物由来の素材から作られている有機肥料のほうがいいと思いがちですが、有機肥料は即効性が低く持続性が高い、化学肥料は持続性が低く即効性が高いと、性質が異なりますのでどちらが良いというものではありません。
例えば、元肥には有機肥料、追肥には化学肥料を使うなど、それぞれの特徴を踏まえた上で使い分けることをおすすめします。

監修:農研機構 中央農業研究センター 川崎 晃

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