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遅れてきたキュウリの受難【枯れ専かーちゃんのベランダ菜園】

連載企画:枯れ専かーちゃんのベランダ菜園

遅れてきたキュウリの受難【枯れ専かーちゃんのベランダ菜園】

野菜を自分で育ててみたいけれど、畑を借りるのは少しハードルが高い。それならプランターで手間をかけずにプチ自給を叶えてみようと始めたベランダ菜園。昔から植物を枯らすばかりの“枯れ専”を自認しつつ、手探りでミニトマトとレタスを植えるところまでこぎ着けました。ところが、レタスはプランターの右半分しか芽を出さないし、トマトの脇芽はいまだ放置されたまま。先行きに不安を感じつつ、当初の計画にあったキュウリも植えることにしました。

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放置されたトマトとレタス、その後

菜園の世話のルール「平日10分、土日1時間まで」

「ちょっとママ、水やりしたの?」

トマトの苗とレタスの種を植えてから2週間。朝夕に長女が度々聞いてくるようになりました。それに対して「んー、おとといやったかな」「明日あげとくわ」と、のらりくらりと答えるうちに、見かねた長女が自発的に水やりをしてくれることが増えました。

ベランダ菜園を始めるにあたって、ゆるく決めていたルールがあります。それは、頑張ってやらないこと。忙しい平日は朝の水やりなど10分程度の世話にとどめ、少し手間のかかる作業は土日に行う。それもせいぜい1時間まで。最初から頑張ると続きません。顔を洗うくらいの手軽さで始めて、習慣化するまでゆるりと繰り返すつもりです。

植えてから2週間後のトマトとレタス。なんとか育っている

そんな適当な菜園主ですが、野菜はたくましく育っています。プランターの半分側しか芽を出さなかったレタスは、全面を覆うくらいに元気に生えてきました。プランターを傾けて種が寄ってしまったと考えていましたが、どうやら土のほうが寄って厚みが偏ったために、芽が顔を出すまでに時間差ができた様子。

トマトも植え付けた状態のまま、水やり以外は放置していましたが、青い実が9個に増えました。いちおう順調な育ちぶりに少し安心した休日、当初の計画にあったキュウリの苗を探しに出かけました。

なんと7割引のキュウリの苗を買う

残りものの苗に福はあるのか

「え、このキュウリの葉、色薄くない?」

いっぱしに長女が指摘してきます。意気揚々と訪れたホームセンターでしたが、元気なキュウリの苗が見つからないのです。目の前に並ぶ苗はどれも葉の色が薄くて弱々しい。前回学んだ苗選びの条件に照らし合わせると、初心者が選んではいけない苗のような気がします。うーむ。

ホームセンターに並んでいたキュウリの苗。大幅に値引きされていた

悩んで、前回もいろいろ教えてもらったマダム風の女性店員をつかまえて訊ねます。

「キュウリの苗が欲しいのですが、いいのが見つからないんです」

「そうなんです、だいぶ日が経って状態が悪くなっちゃって。だから値引きしているんですが……」

マダムが申し訳なさそうに答えます。見れば、値札の上から「80円」と書かれた値下げシールが貼られています。なんと71%引き。考えようによっては、これは“お得”と言えるのかもしれません。すかさず一番いい苗を選んで欲しいと頼んでみます。

「そうですね、新芽が出てきていて、勢いのあるものがいいと思いますよ。これとか、これとか」

「葉が小さめで色も薄いようですが、大丈夫ですか?双葉もないですね」

「それは大丈夫ですよ。植え付ければすぐに元気になりますよ。それより新しく葉が出てきそうなものを選んだほうがいいです」

そうアドバイスされて、勧められた中から2つ購入することにしました。このキュウリは弱々しいけれど、トマトもちゃんと育っているし、きっと大丈夫。今にして思えば調子に乗るのが早すぎなのですが、それはまた後の話として、このときは他にも見たい場所がありました。

ハーブのコーナーです。

コンパニオンプランツって?

バジルのほか、ミントやローズマリー、タイムなど豊富にそろっていたハーブのコーナー

「トマトを育てるなら、バジルも一緒に買う」という計画は当初からぼんやり頭にありました。一緒に植えるといいと聞いたことがあったからです。

このように、相性のよい植物を組み合わせて混植することを“コンパニオンプランツ(共生植物、共存植物)”といい、病虫害を減らしたり、成長を促進したりする効果が期待できるそう。

代表的な組み合わせとしては、長ネギやニラなどのネギ属とスイカやキュウリなどのウリ科、キャベツやブロッコリーなどのアブラナ科とレタスやシュンギクなどのキク科、インゲンマメや大豆などのマメ科とナスやピーマンなどのナス科など。

【参照】
『コンパニオンプランツ コンテナでつくる家庭菜園』(木嶋利男、マイナビ)
農家も実践したい!コンパニオンプランツ5選【上級者向け】

一緒に植えるだけでメリットがあるし、トマトとバジルを同時に収穫できたら、サラダにもピザの具にもなりそう。なんて、一石二鳥なの。主婦心をくすぐられてバジルを加えることにしました。

弱ったキュウリの苗を植える

トマトとバジルの共存……できませんでした

余っていた野菜用の培養土を使い、ダメ押しで肥料も加えた

翌日、キュウリの苗を植え付けます。レタスに使った残りの野菜用培養土をプランターに投入し、今回は最初から肥料も加えます。

キュウリは20センチほど株間をとって植えた

ついでにトマトにも肥料をあげて、ようやく脇芽を摘んで支柱を立てます。

伸び放題ではみ出していたトマトに支柱を立てて縦方向に誘引した

ボーボーに生えてきたレタスは適当に引っこ抜いて間引き。抜いた小さな葉はもったいないので夕食時にサラダにして食べました。

間引きしたレタスはサラダにして食べた。味が濃くてなかなか美味だった

植え付け以来のお世話をして、いざ、バジルを植えようと手にしたところでハタと気がつきます。

これは……どこに植えればいいのかしら?

それなりに立派なバジルです。トマトの根本になんて、植えるスペースがありません。土だって深く考えずにトマト用の土を使いました。しかも、植え付け後かなり経ってしまっています。本来なら一緒に植えるつもりでハーブの種類やプランターの大きさ、土の種類まで最初に考えておくべきものだったのでしょう。今更気づくとは。我ながら計画性のなさにあきれます。

一緒に植えられなかったバジル。近くに置いて気持ちだけでも寄り添わせてみた

仕方がないので、バジルは後日また別のプランターに植えました。もはや“共存”していないのですが。

菜園に異変が訪れる

順調に見えた菜園の雲行きが怪しくなってきたのは、キュウリを植えてから10日後のことです。時々ベランダのパトロールをしている長女が、網戸越しに成果を報告してきました。

「ねーねー、アブラムシが一匹いるよー」

けれど、母のほうは夕食の準備に忙しく、上の空です。

「ふーん。一匹くらいいても大丈夫だよ」

「それにキュウリの葉っぱ白いよー」

「へー、そういうこともあるよね。まあ、大丈夫だよ」

「えー、大丈夫かなあ?」

……ん?……白い?

そこでようやく事態を理解して、慌てて見に行きます。すると、キュウリの葉の表面に明らかに白いものが浮いているではありませんか。なんじゃこりゃあ!

異変に気がついた翌日のキュウリの葉。明らかに様子がおかしい

日も暮れかけていたので一晩様子を見ることにして、翌日に恐る恐る確認してみてもやっぱり白い。むしろ明るいところで見ると、より一層、異変が際立って見えます。

こ、これは一体……!?

これまでの自分の「甘さ」を実感し、新たな闘いが始まった瞬間でした。

◆不穏な気配が漂ってきたベランダ菜園。次回、【畑は小さな大自然】でおなじみの“そーやん”さんに助けを求めます。

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