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新しいスーパーフード!? エチオピアのインジェラ~世界主食発見!~

連載企画:世界主食発見!

新しいスーパーフード!? エチオピアのインジェラ~世界主食発見!~

「インジェラ」という、私たち日本人にとってはあまり聞き慣れない食べ物を主食にしている国があります。それは、東アフリカの国、エチオピア。インジェラは、エチオピアのみで食されるため、世界的にも非常に珍しい主食だといえます。そのインジェラの原料は、イネ科の穀類「テフ」。テフはエチオピアを起源とする栽培植物であり、大変に希少価値の高いもの。「世界主食発見!」第3回の今回は、インジェラとテフに迫ります。

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エチオピアの代名詞「インジェラ」

丸められたインジェラ。広げた状態で、食べられる皿として使われることも

インジェラとは、テフの粉を原料としたクレープのように薄い円盤状の発酵パンです。トウモロコシやソルガムなどの穀物で作られることもありますが、テフで作ったインジェラは、ふんわり柔らかな手触りと独特の食感があり、エチオピアでは大変好まれ日常的に食されています。

インジェラの作り方は、地域により多少の差があるといいます。一例としては、テフの粉を水で練り、数日間置いて発酵させたとろみのある生地を、粘土製の焼き板に垂らして焼き上げるというもの。焼きあがったインジェラは、表面に「アイン(目)」と呼ばれる小さな穴があり、灰色に近い黄土色をしています。発酵食品のため、独特の酸味があるのも特徴です。

インジェラに合うとされている料理・ワット

インジェラに合うとされるのは、味の濃いおかず。エチオピアの人々は、代表料理であるワット(肉や野菜にトウガラシなどを入れて煮込んだ、水気のない辛いシチュー)などをインジェラに包み、手でちぎりながら食べます。地域によっては、1日3食(朝、昼、晩)食べられているインジェラですが、それに加えておやつとして食べられることも珍しくありません。

主食用穀物テフは見失うほど小さい

インジェラの原料となる穀物・テフ

インジェラの原料であるテフとは、一体どんな穀物なのでしょう。一説によれば、テフという呼び名は、もともとエチオピアの公用語「アムハラ語」で“見失ってしまう”を意味する言葉。その名の通り、驚くほど小さな種子をつけるテフ。その大きさは、なんと長径2ミリにも満たないといいます。

テフは、エチオピアで古くから栽培されてきた歴史を持ち、現在も国内の低地部などで広く栽培されています。赤色種と白色種の二つの品種群に分類されており、インジェラを作るには、白色のものが最適とされています。

テフには鉄分が多く含まれていることがわかっており、そのことと、エチオピア高原が高地であるにもかかわらず貧血で悩む人が少ないことは、少なからず関わりがあるともいわれています。

スーパーフードとして世界中が大注目

農業

豊富な鉄分、そして、タンパク質に、カルシウム、ミネラル、食物繊維を含み、さらには“グルテンフリー”でもあるテフは、近年その栄養価の高さからスーパーフードとしてにわかに注目を集めることとなりました。しかし、それにより、テフは価格が高騰。2006年より輸出を禁じる措置がとられてきたため(現在は一部解禁)、エチオピア産のテフは市場における“幻の穀物”ともなっています。

エチオピアでは、近代的農機具が小規模農家に行き渡っておらず、いまだ原始的な道具を用いて農業を行う人々が大半。国民の約80%が主に農業に従事しているにもかかわらず、国土のうちわずかの土地しか耕作されていないというデータもあり、国内で栽培される作物の多くは自家用だといいます。テフもまた、現地の人々が食べる分だけで精いっぱいの生産量ということなのでしょう。

エチオピアでは、むしろに積み上げたテフを牛や馬に踏ませて脱穀したり、機械を使わずに風選(風を利用して種子を選り分ける)する様子もいまだ健在。もしかすると、エチオピアの人々がより画期的な農機具や改良された肥料を手に入れさえすれば、テフの生産量も飛躍的に増えることになるのかもしれませんね。

参考
「エチオピアを知るための50章」
著者:岡倉登志(編著)
出版:明石書店

「世界の食文化11 アフリカ」
著者:小川了
出版:農山漁村文化協会

「目で見る世界の国々 57 エチオピア」
著者:ダニエル・アベベ(著)、山田一廣(翻訳)
出版:国土社

上記の情報は2018年6月13日現在のものです。

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