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「トレーサビリティ」とは? 生産者を守る?導入方法とは

連載企画:農業キーワード

「トレーサビリティ」とは? 生産者を守る?導入方法とは

普段スーパーに売られている野菜や米がどこからやって来たのか、ふと気になることはありませんか? 消費者にとって、口にするものがどうやって作られ、どこからやってきたのかは、大きな関心事の一つです。食品の流通経路を把握できるようにすること、またその仕組みを「トレーサビリティ」と呼び、万が一食中毒が発生したときなど、原因究明に役立つシステムとして知られています。導入することで生産者にも大きなメリットがあるといわれている「トレーサビリティ」、今回はその内容に迫ります。

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「トレーサビリティ」とは

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トレーサビリティとは、生産者を含む“食品を扱う事業者”が、食品を取り扱ったときの記録を作成・保存しておくことで流通経路を明確に把握できるようにすること、またその仕組みです。万が一、食中毒など消費者の健康に影響を与えるようなトラブルが発生した場合、その食品の残りがどこに行ったかを追跡し回収したり、どこで作られたものなのかをさかのぼって調べたりできるなどのメリットがあります。

2011年、放射性物質に汚染された稲わらを食べた可能性のある牛がいることが発覚しましたが、トレーサビリティによって、問題の牛やその肉がどこにあるかを速やかに追跡することができました。おかげで、消費者に対する注意喚起や、商品の回収を滞りなく進めることができたのです。

トレーサビリティはどのように導入すればいいのか

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では、生産者がトレーサビリティを導入するにはどうしたらよいのでしょうか?

まずは「1.いつ」「2.どこから・どこに」「3.何を」「4.どれだけ」入荷・出荷したかを記録することが大切です。生産者の場合、入荷の場合は生産に必要な種苗など、出荷では農作物などが対象となります。

その上で、同じ条件下のものが一目で分かるように識別番号を付けてグループ化します。例えば、入荷ならば、種苗の品名・入荷日・入荷先が同一のものなど。出荷ならば、農作物の品目や品種・作付日・栽培方法が同一のものや、栽培記録が同一のものなど。それに加えて、それぞれがどこに出荷されたかを対応付けるようにします。

こうしたデータを管理することで、万が一トラブルが発生した場合、問題発生の箇所を速やかに把握でき、回収を依頼する際も素早く連絡先を特定することができます。

生産者を守ることにもつながる

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トレーサビリティは、消費者の安全や安心を確保することはもちろん、生産者の経営も守る心強い仕組みです。

例えば、生産者が育てた農作物によって食中毒など何か問題が発生した場合であっても、トレーサビリティがあればどの段階でトラブルが生じたかを調べやすくなります。出荷日からかなりの時間が経過していることが明らかになれば、他の事業者が小売店などへの卸を滞らせ、作物が傷んでしまったことが判明するなど、生産者の責任ではないことが証明されます。また、素早く回収範囲を特定することで、経済的な損失を抑えるだけではなく、消費者や取引先の信頼もつなぎ止めることができるでしょう。

生産者が栽培した作物は、消費者に届くまで、いろいろな人の手を経ることになります。万が一の場合、あらぬ疑いを持たれないためにも、トレーサビリティの導入を考えてみることをおすすめします。気になった方は農林水産省のホームページなどで検索してみましょう。

参考
食品トレーサビリティ「実践的なマニュアル」総論(PDF):農林水産省
食品トレーサビリティ「実践的なマニュアル」各論 農業編(PDF):農林水産省

上記の情報は2018年7月9日現在のものです。

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