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第1回 あなたの農業が変わる。クラウドファンディングの仕組みを解説

連載企画:クラウドファンディングの仕組みを解説

第1回 あなたの農業が変わる。クラウドファンディングの仕組みを解説

「クラウドファンディング」という言葉を聞いたことがありますか? 最近ではクリエイターの作品づくりから町おこしまでさまざまなことに使われるようになり、ニュースでこの言葉を聞くことも多くなりました。しかし、その仕組みやノウハウをきちんと知らない方はきっと多いはず。この連載では、農業に関わる方にとって役に立つクラウドファンディングのことを少しずつお伝えしていきます。

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私はクラウドファンディングが日本に持ち込まれた2011年に、その立ち上げメンバーとしてこのサービスに関わり始めました。2011年から5年間、国内最大級のクラウドファンディングプラットフォームでそのノウハウや掲載するプロジェクトの開拓を担当するチームのマネージャーを務めた後、雇用形態を変えながら今でもクラウドファンディングのプロジェクトのアドバイスや制作を行っています。現在クラウドファンディングのサイトには多くのプロジェクトが掲載され、そのノウハウも共有されていますが、それらは私を含めたクラウドファンディング黎明期のメンバーが試行錯誤を繰り返して得たものです。

農業に関わる方にとってのクラウドファンディングのテクニックを紹介する前に、今回はクラウドファンディングの基本的な仕組みをご紹介します。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングの語源を知っていますか? 「クラウドコンピューティング」などに使われている「クラウド」は英語で雲を指すcloud。しかし、クラウドファンディングの「クラウド」は英語で「群衆」を指すcrowdです。ファンディングの意味は「資金調達」。つまり、クラウドファンディングとは、「群衆」から「資金調達」をする仕組みのことです。

そう言われてもちょっとピンと来ないという方のために、ここで簡単な例をあげてみましょう。

クラウドファンディングの2つの魅力

クラウドファンディング

例えばリンゴ農家が、とっておきのリンゴジュースを作るレシピを開発したとします。収穫期に余ったリンゴを使えば、このリンゴジュースを100本くらいは作ることができそうです。しかし、もしも売れ残ってしまったら赤字が出てしまう。そんな時にクラウドファンディングを使うことができます。
クラウドファンディングのサイトに、リンゴジュースを作るための応援を呼びかけ資金を募るプロジェクトページを掲載します(ページはクラウドファンディングの応募フォームで応募し、審査を経て掲載することができます)。
プロジェクトでは、リンゴ農園のこと、今までどんな気持ちでリンゴを育ててきたか、このレシピの素晴らしさを伝えます。
ここで言う支援とは、金銭的な支援のことですが、ただお金をくださいとお願いするだけではありません。金銭の支援をしてくれた人には、金額に応じてお返しを用意するのです。たとえば1000円支援してくれた人にはリンゴジュースを2本セットで、5000円支援してくれた人には家族で飲めるようにリンゴジュースの5本セットとリンゴを3つといったように、金額に見合った魅力的なお返しを用意することで、お金を集めることができるのです。
一見通販でリンゴジュースを売るのと変わらないように思えますが、クラウドファンディングではまず初めにお金を集めて、そのお金でリンゴジュースなどの商品を作り、一年以内にお返しを発送すればよいことになっています。最長で一年後に送られてくるリンゴジュースにどうやってお金を払ってもらうかというテクニックは今後紹介するとして、このように前もってお金を集めることと、販売のめどを前もって立てることができるのがクラウドファンディングの魅力です。

クラウドファンディングのルール

クラウドファンディング

さきほど通販とクラウドファンディングの違いに少し触れましたが、クラウドファンディングには、チャレンジの方法が2つあります。実施確定型チャレンジと、オールオアナッシング型チャレンジです。ちょっと聞きなれない言葉が出てきましたが大丈夫、そんなに難しいことではありません。

クラウドファンディングのプロジェクトには、通販サイトと違い、「サクセス(成功)」という概念があります。さきほど、プロジェクトで応援を呼びかけ金銭の支援(購入)を募っていくとお話ししましたが、やみくもにだらだらと支援(購入)を募っていても、商品開発やプロジェクトの実施をしていいものかどうか、なかなかめどがつきません。リンゴ農家の例でいえば、リンゴジュースを作り始めるめどが立たないのです。

そのために、クラウドファンディングにはルールがあります。
・いくら集まればプロジェクトを実施するかの「目標金額」を決める
・いつまでにお金を集めたいかの「募集期間」を決める
募集期間中に、目標金額まで集まることを目指す

また、3つ目の「募集期間中に目標金額まで」についてですが、
集まった額だけもらってプロジェクトを実施する「実施確定型」
お金が集まらなければお金ももらわないしプロジェクトも実施しない「オールオアナッシング型」
をあらかじめ選ぶことができます。オールオアナッシング型を選んだ場合は、返金は自動で行われるのであなたが一つ一つ返金する必要はありません。

クラウドファンディングの手数料

最後に、クラウドファンディングの手数料についてご紹介します。

クラウドファンディングのサービスを運営するクラウドファンディングプラットフォームは、プロジェクトに集まったお金のうち決められたパーセンテージを手数料としてもらうことで運営を行っています。この運営には、プロジェクトを掲載するまでのサポートなどが含まれています。そのため一般的な通販サイトよりも割高になるところもありますが、その手数料はプラットフォームによりまちまちです。

この記事が掲載されている「マイナビ農業」が運営しているクラウドファンディング「マイナビ農業クラマル」の手数料は23%(決済手数料込み)です。例えば100万円集まった場合は、23万円の手数料を差し引いた77万円があなたの手元に振り込まれるという仕組みになっています。

一見すると少し割高なようですが、クラウドファンディングのプロジェクトを行ってみると、そのアドバイスなどが貴重であることも理解できるかもしれません。

第1回は、まずは基本的なルールなどをご紹介しました。あなたのまわりのちょっとしたアイデアも、クラウドファンディングで後押しされることで実現することができるかもしれません。クラウドファンディングは誰もが必ず行う必要があるものではありませんが、このような選択肢をひとつ持っているだけでも、世界が変わってくるはずです。

写真:出川 光

>> 第2回 生産前?収穫期? クラウドファンディングを行うのに最適な時期とは

【クラウドファンディングの仕組みを解説】シリーズ一覧はこちら!

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