“水やりっ放し”の弊害とは
便利グッズは“禁断の果実”?
漫画やアニメで心の葛藤を描く典型的な表現に、天使と悪魔が脳内で戦うイメージがあります。夏の旅行のために水やりグッズを使い始めてからというもの、その天使と悪魔がいつも舞台袖にスタンバイしている感覚がつきまとっていました。
悪魔
任せておけば楽できるぞ。
イッヒッヒ……。
ちゃんと気にかけてお世話してあげなくちゃ。
あなたならできるわ!
天使
使い方さえ間違えなければいい具合に自動給水してくれる優れモノなのです。また、今回は使う機会がなかったのですが、土に混ぜて使う保水剤などもあり、選択肢に事欠きません。
そんな便利グッズに感動しながら、ふと、これは禁断の果実だったのではないかとの考えが頭をよぎったのです。これらを普段からセットしておけば水やりを忘れても枯らさずに済むのかもしれない。今度こそ“枯れ専”の汚名返上です。「それどころかサボって楽できるぞ」。悪魔がささやきます。
しかし、水やりをサボり始めた途端、プランターの存在が意識からすっぽり抜け落ちて、他の世話もおろそかになりそう。「そんなのダメよ。ちゃんと気にかけてあげて」。今度は天使が引き戻します。
野菜も子どもも甘やかし過ぎてはダメ
芽生え始めた怠け心をオブラートに包みきれぬまま、そーやん師匠こと橋口創也さんに尋ねてみました。
きくち
①根が伸びない
②好気性菌が増えず、嫌気性菌が増えやすくなる
という大きく2点があります。
そーやん
きくち
そーやん
きくち
そーやん
きくち
師匠に尋ねてから改めて【畑は小さな大自然vol.1】を読むと、あくまでも畑の話ですが「水やりはしない方がいい」とも書かれています。野菜も子供も手をかけ甘やかし過ぎず、じっと見守ることが大事。水を探して根を張った野菜は丈夫に育つ、と。
水やりグッズ差しっぱなしは、言わば子供に飴を与え続けるようなものなのかも。そう考えると、顔を出しはじめた怠け心の芽が急速に萎れていきました。
秋シーズンを前に菜園を再始動!
ベランダに訪れた変化とは
水やりの心配と実験に明け暮れた盛夏が過ぎ、夏のレジャーもひと段落した8月中旬。朝、ベランダに出るたびに頭の隅の方にちらりと何かが引っかかるようになりました。
何かが違う……。
その時にはハッキリ分からなかったものの、違和感はどんどん大きくなっていき、1、2週間のうちにその理由が判明しました。
日が伸びてきたのです。
我が家のベランダは南向きで光はよく入るのですが、下の3分の1ほどが厚いコンクリート壁に覆われています。そのため、初夏から8月上旬までの日が高い時期には、床部分に直射日光が差す事はありませんでした。キュウリを育てているときにあんなに欲した、その直射日光が、床に広がってきているのです。
何年も同じ部屋に暮らしていますが、そんな変化にいままで気がつきませんでした。ベランダ菜園というと春から夏がベストシーズンと言われることも多いようですが、むしろ柔らかな日が差し、虫が少なくなる秋シーズンの方が作りやすいのかも。いまならせっかくもらった水やりのアドバイスも生かせそう。そう考えてベランダ眺めると、空いた陽だまりのスペースがもったいなく感じられます。
そろそろ新しく何かを植えたい。できれば枯らさずに育てたい。もちろん収穫だって得たい。かといって上手く世話をする自信もなければ、マメさもない。しかも季節はまだまだ残暑厳しい夏の終わり。自分にも育てられる都合のいい野菜はないものか。またまた、そーやん師匠に聞いてみました。
8・9月に植えられるオススメの野菜は?
きくち
そーやん
きくち
そーやん
きくち
そーやん
きくち
師匠のアドバイスを聞いてから、外出のついでに少しずつ種を買い集めてきました。この中から時期に合って育てられそうなものをドンドン植えていき、我が家のベランダでも育つものを見つけていこうという考え。言うなれば“数打ちゃ当たる”作戦です。
果たしてどれだけ育つのか。はたまたどれだけ枯らしてしまうのか。ベランダの神様の機嫌を伺いつつ、せっせと植えていくつもりです。
◆種を買い集めたはいいが、こんなに育てられるの?次回からいよいよ秋シーズンがスタート!