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【農業マーケティングの現場からVol.1】なぜ博報堂DYグループが農業を?

【農業マーケティングの現場からVol.1】なぜ博報堂DYグループが農業を?

最終更新日:2018年09月19日

博報堂DYグループが農業界へ ──。2018年6月、多くの人を驚かせるニュースが舞い込みました。農産物の生産だけでなく、販売や加工など6次化に取り組む生産者が増えている現在、情報発信やマーケティングの大切さは高まる一方です。そこで、プロが考える「農業マーケティング」とは?や農業への思いを、農業経営を支援するマーケティング企業「株式会社ファーマーズ・ガイド」(博報堂DYグループ)の中島慶人(なかしま・よしと)代表に、全6回にわたって発信していただきます。

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なぜ博報堂DYグループが農業を?

はじめまして。博報堂DYグループより農業者を支援するマーケティング会社「ファーマーズ・ガイド」を設立しました、代表取締役社長 の中島と申します。今回より数回にわたってわたしたちが考える『農業マーケティング』についてお伝えさせていただければと思います。

最初に、少し自己紹介をさせていただきます。私の出身は鳥取県です。祖父母の代まで兼業ですが、農家をしておりました。小さい頃は毎日のように畑に連れて行かれ、野原を走り回って育ちました。幼い頃に畑から見た木立や夕焼けは原風景として、心に刻まれています。日が暮れてから山道を帰るときの軽トラのガタガタ揺れる感触や音を、今でも懐かしく思い返すことがあります。

今では耕作放棄地となっている、鳥取市国府町の畑と町の眺め(左)。畑の横の木立の風景(右)

ちなみに祖父母の本業は製パン所を営んでおりました。畑で採れたよい芋は農協へ出荷し、規格外のものは工房の釜 で、焼き芋にして配達先や自宅で販売していました。いわゆる6次化に30年以上前から取り組む家庭環境で育っています。

数年前、祖父母ともに農業から離れ、畑は今では耕作放棄地となっています。実家に帰省してそれを目の当たりにした時の寂しさは何とも言えないものがありました。日本各地でそのようなところが増えている、何とかしなくてはいけない、そのような思 いでファーマーズ・ガイドを設立起案しました。

なぜ博報堂DYグループが農業をやるのか、と聞かれることが多いですが、このような個人の思いがスタートになっています。その上で、大きく変わりつつある農業の在り方に、広告会社ならではのアイデアと発想で、貢献していくことができればと思っております。

6次化について、言われて久しくなりましたが、農業者が農産物の生産だけでなく販売まで手掛けるようになる中で、生活者を意識することが増えてきました。

農業者の都合だけで販売を進めてもうまくいくことは難しいでしょう。生活者から選ばれる商品を開発すること、販売流通網を新たに構築することは容易ではありません。

わたし たちファーマーズ・ガイドは、農業者と生活者とのより良い関係づくりを支援してゆきます。博報堂DYグループとして、農業におけるマーケティングを体系化、それを農業者が実現・実行できるマーケティングツールを開発、提供してゆきます。

農業マーケティングとは

まず申し上げたいのは、農業者だからマーケティングをやらないというのは、違います。確かに、農業経営者がマーケティングにかけられる人手や予算は、限られているかも しれません。だからやらなくていいのではなく、一般の企業とはやり方が違うはずだ、と考えるのが正しい姿勢です。つくってからどう売るかを考えていないのは、もったいない話です。

また農業において、マーケティングとセットで「儲(もう) かる」というフレーズが出てくることが多いように感じていますが、ビジョンとしてそのように語られるのには違和感があります。マーケティングとは、儲けるためだけの手法ではないと考えています。それぞれの農業者の目指すべき理想の姿を実現するためにマーケティングが有効なのであって、PL(損益計算書) 上で儲かっているかは(当然大切ですが)本質的に別の話です。

例えば、高い値段で売らずとも「●●さんのつくる野菜(果物)がどうしても食べたくて、車で3時間かけて買いに来ました」こんな風に言ってもらい、ファンつまりリピーターを増やす のも、マーケティングで達成したい理想の一つです。

農業マーケティングとは、農産物の価値を伝えること

われわれは農業におけるマーケティングを、農産物の価値を伝えることで“顧客を創造する活動”であると考えています。
価値は伝わらなければ、ないのと同じです。「食えばわかる」では、購入されるに至らなかったり、高いと言われて、悔しい思いをしたりします。反対に、価値がきちんと伝われば、生活者は喜んでお金を払います。農業者と生活者との間にWin-Winの関係を築くことが、わたしたちが考える農業マーケティングなのです。

いまは、食糧が足りずつくれば売れた時代とは違います。農産物を生活者目線で価値あるものにしていく、消費環境の変化に対応していくことが求められています。農業者の会計項目に「広告宣伝費」があって然るべき時代です。

直売所・インショップ・体験(観光)農園・マルシェ・ECなど、農業者と生活者との“顔の見える取引”が市民権を得ました。これからの農業には均一・画一の規格品が産地と価格を基準に選ばれるだけでなく、農業者一人 一人の思いやこだわり、農産物一つ一つの違いを価値に変えていく発想が求められます。

農園のホームページやSNSアカウントを持つ農業者が増えました。複数販路をマネジメントする農業者も増えています。高品質・安心安全な農産物をつくることに加え、その情報発信と販路開拓を行う次世代農業者を支援する、農業者のマーケティング活動の投資対効果(ROI)を高めることが、ファーマーズ・ガイドのミッションであり、存在意義です。

次回以降、農業経営へいかにマーケティングを取り入れるかを、具体的にお伝えしていきたいと思います。

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