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食通を虜にする完熟イチジク。収穫と販売のこだわりとは

食通を虜にする完熟イチジク。収穫と販売のこだわりとは

宮城県亘理郡にある「やまうち農園」は、ご家族で約20種類ものイチジクを栽培しています。生食用の完熟イチジクが味わえるとあってSNSや口コミで評判が広がり、予約完売してしまう程の人気です。最近始めた加工品も好調な「やまうち農園」。その人気の秘密を山内裕貴(やまうち・ゆうき)さん、理恵(りえ)さんご夫婦に伺いました。

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完熟の美味しさを届けたい。収穫時期へのこだわり

「やまうち農園」は、7年前にお父さんの啓二(けいじ)さんが早期退職をしたことをきっかけに、趣味でイチジク栽培を始めたことが始まりでした。最初は、宮城県内で生産量の多いブルンズウィックから始めていたそうですが、少しずつ種類を増やし、今では『幻の黒イチジク』といわれる希少なビオレソリエスまで手がけています。趣味で始め、どうやって予約完売をする人気農園までに至ったのでしょうか。「最初は細々とやっていたのですが、4年目になった頃に知り合いの料理研究家の目に止まり、その方を通して食への関心が高い方に知っていただき、遠方の方から「配送して欲しい」とご連絡が入るようになりました。最初は断っていたのですが、とても熱心だったので直接配送をすることになったんです」。食通を虜にする美味しさの秘密は、今にも破れてしまそうな程に薄い皮と、甘く完熟しきった実です。「市場に出回っているものは、日持ちさせるために早く収穫するのですが、そうすると未熟で固くて美味しくないんです。父は、イチジクを一番美味しい状態で食べて欲しいというこだわりがあり、完熟した日に収穫をして、その日に発送しています」。実が柔らかくなったイチジクは、配送の際にキズがついてしまうこともありますが、そうしたイチジクのデリケートさを理解してくれるお客様にだけ予約をしてもらっているそうです。

幻といわれる黒イチジク。完熟して皮がとても薄く、甘みが強い。

自宅に加工場を作り、6次産業化に挑戦

生食が売れると加工品も売れます。やまうち農園では、イチジクを使ったグラッセやセミドライ、ジュレ、イチジクのお茶も作ります。当初は啓二さんのお手伝いをしていた理恵さんですが、6次産業化に挑戦することになってからは、責任者として忙しい日々を過ごします。「商工会の方から、加工品をしないかと声をかけていただき、3年前に自宅の横に加工場を作りました。経験がないので本当にできるか不安でした。今でも苦手意識はあります」。理恵さんは謙遜しますが、イチジクで作ったグラッセは、第4回新東北みやげコンテスト(2017年)に入賞。「素敵なパッケージデザインは、お願いしました。それぞれの分野にプロがいますので、無理に全てを自分達でやろうとせず、お願いすることも大事だと思います」。

入賞した「完熟いちじくのグラッセ」

栽培、加工、販売のバランス

家族で生食イチジクと加工品を年間通して届けることは、想像以上に大変そうです。販売先はどうしているのでしょうか。「生食イチジクはシーズンがありますので、収穫時にサイトを通じて予約をとって個人に配送します。完熟ギリギリまで収穫しないというこだわりもありますし、台風などの影響で収穫が出来ない種類も出てくるので、お送りする種類はお約束出来ません。お任せでお送りすることにご納得いただいて、予約を受けるようにしています。加工品は、商談会に参加して仕入れ先を見つけることが多いですね。最初は都内のマルシェにも出展していたのですが、梱包準備や店頭に立つことを含めると、丸1日以上取られてしまうので、私達には無理だなと気づきました。今では、地元のホテルやデパートで扱って頂けるようになり、バランスが保てるようになってきたと思いますね」。自分達にできることと人に任せること。その客観的な判断によって、無理なく継続できているようです。

美味しいイチジクを届けることだけに集中する

最初は啓二さんの趣味から始まったイチジク栽培ですが、今では家族全員で美味しいイチジクを届けようと努めています。その力の源は何でしょうか。「美味しいイチジクを届けたいという気持ちだけですね。宮城県では、「イチジクといえば甘露煮」と言われるくらい甘露煮が伝統料理となっているのですが、砂糖とイチジクを1:1で作るので、とても甘いんです。実は、甘露煮を食べてイチジクが苦手になったという人もいるくらい…(笑)。私も正直、あまり好きじゃなかったんです。だからこそ、生の美味しさを知っていただきたいし、加工品は甘露煮よりも甘さ控えめのグラッセを作りました。自分達が美味しいと思うものを届けたいという思いはありますね」。
山内一家の真摯な想いが美味しいイチジクをつくる源であり、ファンがつく最大の秘訣のようです。

やまうち農園

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