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雑草に学ぶ! 小さい畑でたくさんの野菜を育てるポイント【畑は小さな大自然vol.23】

雑草に学ぶ! 小さい畑でたくさんの野菜を育てるポイント【畑は小さな大自然vol.23】

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。僕の畑の見学に来られた方がいつもびっくりされることの一つが、小さな畝の中で多くの種類の野菜を同時に育てていることです。1平方メートルくらいの小さなスペースでも3〜5種類ほどの野菜を所狭しと植えています。しかし、これをただ真似するだけでは失敗のもと。小さいスペースにたくさんの野菜を育てるためには、いくつかポイントがあります。家庭菜園にはとてもオススメの方法ですので、ぜひ今回ご紹介するポイントを押さえながら試してみてください。

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なぜ雑草は近い距離でも育つのか

小さいスペースにたくさんの野菜を植えるときに、まず疑問に浮かぶのは「栄養を奪い合ったりしないの?」ということでしょう。確かに植物は近くに植えていることで、栄養を奪い合うこともあります。ですから、普通の畑では野菜と野菜は離して植えていきます。
しかし雑草はどのように生えているでしょうか。地表を覆い尽くすように所狭しと生えていますよね。しかもそれでいてとても元気です。これが僕はとても不思議でした。そもそも野菜と雑草は違う植物ではありますが、単純に「距離が近い=育たない」ではないのではないかと思うようになりました。

地力が十分にあるとたくさんの植物を養える

ほとんどの野菜は地力レベル4以上が求められる。図は筆者作成

ではなぜ野菜では難しいのか。その答えの一つは土の地力(ちりょく)にあると考えています。地力はその土が持っている植物を育む力のことを言います。自然の中では、その地力のレベルに見合った種類の雑草しか生えません。所狭しと生えてきても大丈夫な種類の雑草しか生えて来ない、またはそこの地力に見合わない雑草が生えてきても淘汰されていきます。

野菜という植物のほとんどは、雑草よりも必要とする地力のレベルが高いです。しかし、地力に見合っていない状態で野菜を植えることが多いので、同じスペースでも植えられる野菜の量に限界ができるわけです。
逆に言えば十分な地力があれば、雑草と同じように同時にたくさんの種類の野菜が育ちやすくなります。その畑にどの程度地力があるのかは、「雑草で地力診断」の記事を参考にして判断してください。できるだけその畑の地力に見合った野菜を植えていきながら、少しずつ地力をあげていきましょう。

参考記事
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地力が高いとなぜたくさんの植物を養えるようになるのか

地力が高い土地では微生物と植物によるネットワークができている。これによって効率よく栄養素が分配されている。図は筆者作成

ここで注意して欲しいのは、「地力が高い=栄養の量が多い」ではないということです。確かに栄養の量が多いことは大事なポイントですが、それだけでは十分ではありません。土の中に野菜と共生する微生物が増え、それらが高度なネットワークを形成していることが必要となります。いうなれば栄養の流通ネットワークです。これらのネットワークが発達していることで、必要な野菜に必要なタイミングで必要な量の栄養素が分配されていけるようになります。十分な量の栄養が土に蓄えられて行くとともに、効率よくそれらを分配して行くネットワークがあることで、栄養を奪い合うことなく、同時に多様な植物が育つようになるのです。このような地力が高い土づくりのポイントは「耕す必要のない土づくり」の中で書かれている土づくりの仕方や手入れの仕方と同じですので、そちらを参考にしてください。

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野菜の組み合わせの選び方

メインとなる白菜・キャベツにコンパニオンプランツであるレタスやマリーゴールド。さらに下草として山東菜の組み合わせ

もう一つ雑草から学ぶポイントがあります。それは「雑草」という名前の通り、様々な植物が混ざり合って生えているということです。生えている植物が多様になることで、それぞれが求める栄養素、根に住み着く微生物が異なるため、それらの競合が起こりにくくなるのです。農家の畑では作業効率を高めるために、普通は1か所に1種類の野菜しか植えません。しかし、家庭菜園でしたらそこまで効率を求める必要はないと思いますので、できるだけいくつかの種類の野菜を組み合わせて同じ場所で栽培することで、空間をうまく活用することができます。

ただ多様であれば何でも良いかというとそういうわけにもいきませんし、より効果的な組み合わせがあります。組み合わせを選ぶ際は以下の2つをポイントにしながら合計3〜5種類くらいの野菜を組み合わせていきましょう。

①メインとなる野菜を決め、コンパニオンプランツを組み合わせる

メインのナスにコンパニオンプランツの落花生の組み合わせ。序盤は下草が雑草を抑え、後半は伸びてきた落花生が地表を覆う

まずは栽培したいメインとなる野菜を1つ決めます。そしてそれと相性の良い野菜を探していきます。
一般にお互いに良い影響を与え合う野菜の組み合わせをコンパニオンプランツと呼びます。このコンパニオンプランツを軸に2〜3種類の野菜の組みわせを考えていってください。同じ種類の野菜同士の距離は一般の野菜づくりの本やサイトに書かれているものと同じで構いません。その隙間を他の種類の野菜で埋めて行くような発想になります。
コンパニオンプランツの中でも、できるだけ背の高さが異なるものを選ぶなどして、平面だけでなく立体的な空間もうまく利用できるような組み合わせを探していきます。

下記のリンクにていくつかコンパニオンプランツの例が載っていますので、参考にしてください。

参考記事
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②下草栽培の活用

コンパニオンプランツで相性の良い野菜2〜3種類をメインとして、その周囲の空きスペースで下草栽培を行います。こうすることで雑草を抑制できるほか、より多様性が増します。またメインの野菜が成長するまでにこれらをベビーリーフとして楽しむことができます。下草として向いている野菜はレタス、ルッコラ、小松菜、水菜、山東菜などの葉物野菜です。これらは相性の悪い野菜がそこまでないため、スペースが空いている場合は、積極的に活用していきましょう。

参考記事
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たくさんの種類の野菜を植える場合の注意点

真ん中の紫キャベツは周囲の野菜に飲み込まれて育ち切らなかった

同じスペースに多数の種類の野菜を植える場合にいくつか注意点があります。

1)早めの間引き・収穫を心がける

野菜同士の距離が近くなるために、風通しや日当たりが悪くなりやすいというデメリットがあります。特に湿度が高く、雨の多い時期は蒸れやすく病気や害虫発生の原因となってしまう場合があります。そこで、早めに間引いたり、収穫することが大切になります。はじめは間引き・収穫のタイミングがなかなかわからないかもしれませんが、少しずつ慣れていきましょう。逆にやりやすいのは秋冬野菜です。雑草があまり生えないですし、野菜の生育もゆっくりなので、間引きや収穫もゆっくりしても間に合います。

2)どれがどの野菜か分かるように工夫しておく

列ごとに植えるわけではないので、芽が出てきたときに、どれがどの野菜の芽なのかがわかりにくくなります。慣れてきたら見ただけでもわかるようになりますが、最初は迷うと思いますので、名札を刺しておくなどして対策をしましょう。

さまざまな組み合わせを楽しもう

野菜とカラーリーフ、ハーブの組み合わせ

小さいスペースで同時にいろんな野菜を育てるのは、少し慣れや知識が必要になりますが、できるようになるといろんな組み合わせを楽しむことができます。上の写真のように野菜だけでなく、カラーリーフやハーブなども組み合わせることができますし、花なども入れることができます。それらを一緒に植えることで、華やかになりますし、成長するにつれて思っても見なかった景色を見せてくれることも。ぜひいろんな組み合わせを試して楽しんで見てください。
 
次の記事:農業も化学だ! 野菜づくりの3大栄養素【畑は小さな大自然vol.24】

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