オランダ農業は日本と何が違うの? ~栽培方法編~

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オランダ農業は日本と何が違うの? ~栽培方法編~

連載企画:オランダ農業の現場から

オランダ農業は日本と何が違うの? ~栽培方法編~
最終更新日:2019年04月22日

「農業先進国はどこでしょうか?」と聞かれると、多くの人が「オランダ」と答えるのではないでしょうか? 私は「トビタテ!留学JAPAN」(官民協働海外留学支援制度)7期生として、オランダのナスの農家で6カ月、パプリカの農家で3カ月研修をしています。テクノロジーと農業を融合させたアグリテックが盛り上がる昨今、オランダの農業はしばしば引き合いに出されています。「では、実際の現場はどうなっているか?」私の記事では、オランダの農業現場の「リアル」を伝えていけたらと思います。

研修先にオランダを選んだ理由

ハウスはフェンロー型と呼ばれるガラス製の温室で統一されている

私がオランダの施設栽培で研修をしようと思った理由は、大きく分けて3つあります。

1つは現場の“マネジメント”を見たかったからです。
私個人の印象ですが、日本の農家は“百姓”と言われるように、一人でなんでも行う職人さんというイメージでした。しかし今後、新規で農業に関わる人や他産業からの関わり合いも増えてくる中で、作業を分業化し、それぞれの得意分野で農業に関わっていくということが必要だと思いました。
オランダは経営者、栽培のスペシャリスト、営業など、分業化が進んでいることが有名だったので、どのようにしてそれを達成しているのか、またそれによってどのようなことが起こっているのかということを現場で体感したかったというのが、1つ目の大きな理由です。

2つ目に、「どこまで機械化できるのか?」という問いがあり、実際のオランダの現場レベルでどこまで機械化しているのかというのを、中に入ってみてその必要性なども含めて感じたかったからです。
日本はものづくりの国で、技術的には世界でもトップクラスだと思います。ただ、その技術を現場があまり欲していない、“一方通行的な技術”が多いのでは?という問いが自分自身にあったので、オランダではどこまで機械化しているのか?というところを体験することは非常に価値があることかなと思いました。

最後は、「いろいろ考えても、結局、やってみないとわからないな!」というところです。その現場を自分の目で見て、自分の体で体験して初めて何か感じるものがあるのではないかと思い、進路などを考えるこのタイミングで行きたかったというところです。

オランダの生産性の高さ

環境制御されている研修先のハウス

私が研修していたナスの農家を例に、オランダの施設栽培の現場から、どのようにして生産性を高めているかを紹介していきます。

私が研修していたハウスの大きさは8.4ヘクタールです。そこに約13万株のナスが植えられており、1平方メートル当たり約1.5株が植えられている計算になります。
この“1平方メートル当たり”という考え方は、オランダの施設栽培ではよく使われる指標で、例えば、この農家のナスの収穫量は年間で1平方メートル当たり50~80キロです。

ハウスは高さ5.5〜6メートルのフェンロー型と呼ばれるガラス製の温室です。ハウスの高さは環境制御を行う上で非常に重要で、最低でも4メートル以上必要だと言われています。
ハウス内の環境制御は、環境制御総合機器メーカー大手の「Priva」社のサービスによって行っています。ここではハウス内の温度、湿度、二酸化炭素濃度、外の天気、与える水の量、誰がどこでどのように働いているかを示す労働状況など、栽培に必要なあらゆるデータが一括でコンピューターにより管理されています。

ナスは、土ではなくロックウールというスポンジ状の培地で栽培されています。
与える水の量は天候や生育状態によって変わり、1日に1平方メートル当たり4~15リットルほど、15~60分ごとに肥料と一緒に与えられます。ここで使用される主な水は雨水から集めたもので、1000万リットルと3000万リットルの貯水プールに雨水が貯められています。
また、使用した水も30%ほど回収され、UV照射により殺菌されて、雨水と一緒に再利用されるという水の循環が行われるようになっています。

ハウスの中の温度や二酸化炭素濃度の調節は、ガスを燃やしてそこから熱と二酸化炭素を利用し、そのときに生じた電気は売るという仕組みになっています。

農薬に対する考え方も“最後の手段”という感じで、基本的には初期段階では害虫の天敵昆虫を利用し、それでも被害が収まらない時にだけ農薬を使用します。

情報の均一化

年に1度、ハウスを消費者向けに開放するイベント“Kom in de cas”

研修先以外の施設栽培の現場に行ってみると、ハウスの中は、先ほど紹介した設備と基本的に全て一緒だということに気づきます。つまり、施設栽培を行う上での基本的な土台はどこの農家も同じレベルで、どこも環境制御を行い、水の循環システムがあり、天敵昆虫を使用しています。
しかし、どうしても植物にはさまざまな要因が複雑に絡まるので、その時々の野菜の状態を見て適切に判断することは非常に重要になってきます。

私の研修先の農家では、ハウスの中だけを管理するための専門の勉強をしたマネージャーがいました。また、週に1回、日本でいうコンサルタントのような人をハウスに招き、環境のデータと植物の生育状況を照らし合わせて、今後の栽培方法を話し合っています。さらに週に1回は農家さん同士で各農家に訪問し、勉強会を行います。そのほか、毎年4月にはオランダ中で行われる「Kom in de cas」という消費者向けのハウスのオープンデーがあり、多くの人が実際にハウスに訪れます。

私がオランダの農家さんと話をしていて驚いたのは、農家さん同士のコミュニケーションが非常に密で、誰が何をしているのか?というのを全く違う地域の人でも知っていたということです。オランダの農家は、自分の持っている情報をオープンにし、情報を得やすい環境を作るために、時間とお金を使っているなという印象を持ちました。

次回は流通面からみた日本農業とオランダ農業の違いを紹介します!

 
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