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幻の酒米『強力(ごうりき)』を無農薬で――鳥取大学・創立70周年の記念酒づくりを三菱農業機械がサポート

幻の酒米『強力(ごうりき)』を無農薬で――鳥取大学・創立70周年の記念酒づくりを三菱農業機械がサポート

三菱マヒンドラ農機株式会社は、2018年から鳥取大学の創立70周年記念事業のひとつである『無農薬酒米プロジェクト』を機材提供でサポートしています。鳥取で幻の酒米といわれる『強力(ごうりき)』を学生たちが無農薬で育て、地元の蔵元である有限会社山根酒造場に協力を仰ぎ、2019年の秋に記念の日本酒を醸す足掛け2年のプロジェクト。この記事では、2018年の酒米づくりの様子をダイジェストでレポートします。

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育んできた「地域とのつながり」が醸す記念酒づくり

人と人とのつながりが生んだ酒米『強力』の復活

三菱マヒンドラ農機株式会社

2019年に創立70周年を迎える鳥取大学は、記念事業のひとつとして、学生たちが無農薬で育てた酒米で日本酒を醸す『無農薬酒米プロジェクト』を2018年から進めています。

副学長でプロジェクトの推進役である農学部の山口教授は、「記念酒は、鳥取にしかない酒米で、本当の地酒をつくろう…」と目標を掲げます。鳥取には、酒造家垂涎の酒米とも呼ばれた『強力』という品種があり、戦前は奨励品種として親しまれていましたが、稲丈が約150㎝と高いうえ、大粒なことから栽培が難しく、戦後には姿を消していました。

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そんな『強力』を復活させ、現代の吟醸技術で酒づくりをしたい―と、今から30数年前に種探しを始めたのが、今回の記念酒づくりにも協力している有限会社山根酒造場の先代たちです。数年にわたって種探しに奔走する中で、鳥取大学が種を保管しているとの情報をつかみ、大学に頼み込んだといいます。

その熱意に応えたのが、山口教授の恩師である木下教授。保管する貴重な種を大学の試験圃場で発芽させて栽培した一握りの『強力』の種もみを1988年に提供します。その後、山根酒造場らは生産者とともに『強力』を大切に育て、現在では鳥取の9つの蔵元が『強力』で日本酒づくりを行うまでに広がっています。

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(左)鳥取大学 副学長 山口武視 教授<農学博士>・(右)有限会社山根酒造場 代表取締役社長 山根正紀 氏

記念酒づくりへの協力を依頼された当代の山根社長は「まさに『強力』の里帰り…、役に立てればそんな光栄なことはない。」―と恩返しに意気込むとともに、「米や酒づくりは、作り手のキャラクターが出ます。学生たちのお米で仕込む酒がどんなものになるか楽しみだ」と期待を寄せます。

大学と三菱農業機械の共同開発で生まれた『再生紙マルチ田植機』

三菱マヒンドラ農機株式会社

無農薬栽培における最大の課題は除草作業で、農薬を使用しない田んぼでは雑草との闘いです。鳥取大学では農薬を使わず、さらに除草作業も軽減できる栽培方法を長年研究し、試行錯誤を続けてきました。

「苗を植えた場所以外の光を遮れば、雑草は育たない」―という大胆な発想から、さまざまな実験を行い、ある学生の「新聞紙はどうだろう?」というアイデアから、敷いた紙の上から苗を植える『再生紙マルチ水稲移植栽培法』が誕生しました。

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そして、この移植技術の機械化を1997年の製品化まで、10年あまり大学と共同開発を行ったのが三菱マヒンドラ農機の前身である三菱農機なのです。その縁もあり、三菱マヒンドラ農機株式会社は『無農薬酒米プロジェクト』に機材提供で協力することになり、最新機種の『再生紙マルチ田植機LKE60D』が鳥取大学に里帰りすることになりました。

<2018年春>田んぼの準備に始まり育苗、そして田植え―学生たちの酒米づくりがスタート

三菱マヒンドラ農機株式会社

記念酒づくりのもととなる酒米は、学生たちが無農薬で栽培します。まずは、田植えを行う前段階として、育苗箱で苗を育てながら土づくりを行います。荒起こしや耕うん作業では、冬の間に固まった土に空気や水を加えることで、柔らかくして微生物の活性を促し、稲が育ちやすい環境を作ります。

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田んぼに水を入れ、わらや雑草をすき込み、田んぼの土をドロドロの状態にする代掻き作業が完了したら、いよいよ『再生紙マルチ田植機』による田植え作業です。まだ田んぼに入り慣れていない学生も多く、紙を補給する際に足をとられる学生もいましたが、自ら田植機を運転し、整った田面に『強力』の苗を植え付けていきます。

田植機を使った感想の中には、「もっと多くの人が『再生紙マルチ田植機』の良さを知れば、無農薬での米づくりが広がるのでは…」という頼もしい声もあり、無農薬栽培への関心も高まったようです。

<2018年春~夏>稲の成長を見守る毎日-『再生紙マルチ水稲移植栽培法』の雑草防除の効果は?

三菱マヒンドラ農機株式会社

稲の育成には、水の管理がとても重要です。田植え直後は極浅水にして、根付きと分けつを促しながら再生紙の浮き上がりを抑え、田面への密着を促進することで、風などで飛ばされないように管理します。

田植えから1カ月後には「中干し」を行いながら、水はけをよくするための「溝切り」の作業を行います。2週間ほど水を入れず、田んぼを乾かしたのち、再び水を入れて「湛水管理」を行います。その間、畔草の管理や除草作業など、学生たちは小まめに田んぼを確認しながら、稲の成長を見守ります。

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(上)再生紙マルチ不使用 (下)再生紙マルチ使用

再生紙を敷くことで、田植え直後の雑草の生育を抑えることができ、再生紙は40~50日程度で溶解します。雑草は土に日が当たることで増殖するので、稲が影を作れるぐらいに成長すれば、その後の雑草の成長も抑制することができるのです。

学生たちも稲の成長や雑草の状態を自分の目で確かめているので、収穫への期待が膨らみます。初めて作る品種とあって、稲が無事に育つかどうかを心配しつつも、学生からは早くも「収穫が楽しみだ」「お酒の出来上がりが待ち遠しい」といった期待の声が多く寄せられました。

<2018年秋>稲丈が140㎝を超える『強力』の収穫―刈り取りには『小型汎用コンバインVCH750』が活躍

三菱マヒンドラ農機株式会社

2018年は酷暑や台風など、不安の多い1年でしたが、大きな被害もなく無事に育った黄金色の稲穂たち。稲丈が伸びすぎないように追肥をせずに育てたにもかかわらず、そこは『強力』、大きな稲は140㎝ほどの高さにまで成長しました。

『強力』は粒が大きく、背丈があるので、今回の収穫には蕎麦や大豆など、背の高い作物の刈り取りに対応する、三菱農業機械の『小型汎用コンバインVCH750』を使用しました。刈り取りを行ったのは、田植えを行った15 人の学生。「想像より大きい!」「実際に操縦してみて理解できたことがたくさんあった」-など、初めて乗り込むコンバインに興味津々。

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収穫した籾(もみ)はすぐに乾燥機に搬送して、約10時間かけて処理します。乾燥後は、籾から籾殻を取り除く作業です。できるだけお米を傷つけずに籾を外せるよう、お米の状態を確認しながら割れなどに注意して調整していきます。籾殻を外して玄米の状態になったお米は、今回は酒づくりに使うため、5割程度を目途に精米する予定です。

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学生たちの『強力』の収穫量は約1t。その酒米から2019年の秋には約3000ℓの日本酒が醸される予定です。今回のプロジェクトでは、学生たちが自らの手で酒米を栽培し、農業の魅力や難しさを肌で感じる良い機会となったようです。詳細や今後の進展は、『無農薬酒米プロジェクト』の特設Webページに随時公開されます。記念酒の完成まで、学生たちの活動は、まだまだ続きます。

【関連リンク】

無農薬酒米プロジェクトについてはこちら

三菱マヒンドラ農機株式会社についてはこちら

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国立大学法人鳥取大学についてはこちら

有限会社山根酒造場についてはこちら

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